【ロクでなし魔術講師と追想日誌(メモリーレコード)6】 羊太郎/三嶋 くろね 富士見ファンタジア文庫

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グレンとシスティーナのデートに父親同伴!―『お父様が見てる』。大天使ルミアが、ついにグレる!?―『名無しの反転ルミア』。グレンの仮病を暴くため、三人娘がアルフォネア邸へと突撃!!―『仮病看病☆大戦争』。そして再び登場するフェジテの華麗なる魔導探偵(笑)ロザリー=デイテート、その活躍を描く『魔導探偵ロザリーの事件簿 無謀編』。人気を博した傑作短編を同時収録!そして―「貴女に託すわ…私が誇りに思うイグナイトの名を」魔導の名門・イグナイトの次期当主イヴ=イグナイト。彼女の知られざる過去もついに明らかに。

イヴが実質メインだと思しき本編の最新刊を前に、どうやらイヴの過去編があるらしいこの6巻を先に履修しておかないと、という事でここしばらく積んでいた【追想日誌(メモリーレコード)】を崩してこの6巻まで到達。いやね、本編16巻読んでいたらいきなり知らないイグナイト家のお姉さんが出てきて、誰よこれ!? と、なったんで、これ短編集の方も読んでおかないと、となってたんですよね。
お陰様で突然現れたリディア・イグナイトがどういう人物だったのかわかったわけですけれど、これ本巻読んだ後だったら彼女が本編に登場した時の印象全然違ったんだろうなあ。

と、短編の方はいつもの便利なレギュラー、セリカと教授がほぼお休み、という異色のラインナップながら面白さはさらに勝るという、ここまでシリーズ来るともうキャラが活き活きしていていいですねえ。



『お父様が見てる』
白猫のパパさんが、娘のデートをストーキングする、という展開だけなら馴染みのものだと思うんですけど、まさかのママさんご同伴の夫婦で、という展開にママさんはストッパー役なんですねわかります、と思ってみていたらまさかのママさん、ストッパーどころか何かある度にパパさんの脇腹にナイフぶっ刺してグイッとひねるトドメ役だったよ!
レナード氏、まさかの魔術講師時代に生徒に手を出していた案件発覚である。ママさん、マシンガンさながらの怒涛のパパさんの過去へのアウト判定、笑った笑った。そりゃ、手を出された本人ですもんね。パパさんがグレンにダメ出しするたびに、貴方の時はもっと酷かったですけどね、とばかりにニコニコと指摘されていく黒歴史の数々に、レナード氏完全沈黙である。娘のデート覗きながらここまでボコボコにされるパパさん、はじめてみたよ。
しかしこれ、どう言い繕ってもパパさん、グレンのこと一ミリも非難できないんですけどっ。
とまあ白猫パパとママの方にばかり目がいってしまうデート回でしたけど、白猫パパのプレゼント探しという名目とはいえ、何気にグレンと白猫の雰囲気とても自然でお似合いなんだよなあ。


『名無しの反転ルミア』
悪堕ちルミナ、と見せかけたナムルスのセンスが爆発する回。単にいつも外から見ているばかりなのが寂しくなったナムルスがルミナの体を借りてグレンたちと一緒の日常を体験する、というだけの話しだったはずなのに、ナムルスの訳の分からんファッションセンスと女王様プレイのおかげでまるでルミナが悪堕ちしてしまったかのようになって、学園が阿鼻叫喚に包まれるという。
クールで頼りがいのあるキャライメージ……は、本編でもあんまりなかったか。やたらとチョロいツンデレムーヴを本編でもカマしていたけれど、さらにド級のポンコツ属性までここまで見せてくれるとは。あと、嫌い嫌いと言いながらこの娘、ルミアの事好きすぎである。


『仮病看病☆大戦争』
この教師、薬まで使ってガチで仮病使ってサボりやがったw
ロクでなしの面目躍如である。いや、まじで家でダラダラ過ごしたいだけで、そこまでするか、と。
……うん、まあわからなくもないけれど。休みたい時は休みたいよね。ただそのために生徒の前で急病のふりをして本気で心配させたのはアウトですね。システィが怒るのも無理はなく。
ただ、気づいたシルフィもさることながら、仮病をつかうグレンを見て本当の風邪の前兆症状を見抜いていて本気で看病しにくるルミアさんもやはり侮れません。


『魔導探偵ロザリーの事件簿 無謀編』
名探偵の要素とは推理力云々じゃなくて、事件そのものにぶちあたる引きの強さかー。まず事件を見過ごしてしまったら、推理も解決もあったもんじゃあないですもんなあ。
もっとも、ロザリーの場合はグレンが助手についていないとせっかく事件にぶち当たっても解決能力皆無なので、ほぼグレンに丸投げ、というのがなんだかなあ、という所ですけれど。
とはいえこれ、結局システィのお屋敷侵入編、みたいになってて、システィ、ルミア、リィエルの三人娘の家での様子をグレンが覗き見てしまう、みたいな話になっとるやないけ。


『炎を継ぐ者』
徹頭徹尾、イグナイト卿がクズ・オブ・クズすぎてドン引きである。
先代イグナイト卿、どういう教育施したんだ、この男に。さすがにちょっと歪みすぎじゃあなかろうか、まともじゃないぞ。長姉リディアには尊敬されていたみたいだけれど、息子の教育をここまで過たせた廉は無視できないですよ。
イヴもこれ、酷い境遇じゃないですか。これを見ていると、むしろよくあれだけマトモに育ったな、というふうにしか見えなくなってくる。それもこれも、リディアという姉がいたからであり、イヴがイグナイトに拘るのは父親ではなく姉の愛情があったから、というのはよくわかったのだけれど。
それで真のイグナイトを目指しておきながら、結局最初の志を忘れてしまって父親の劣化イグナイトに成り果ててたの本末転倒すぎて、さすがイヴさん、というほか無い。
まあ父親のプレッシャー、のみならず呪詛での強迫で常に圧迫を受け続けていたのを思えば多分に同情の余地もあるのでしょうが。何気にセラの一件を除けば一線を越えたことはないようですし、セラの一件も援軍を「送れなかった」という方が正しいですしね。