【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 8】 細音 啓/猫鍋蒼  富士見ファンタジア文庫

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魔女の楽園の崩壊で、新たな始祖の血脈たちが動き出す!
魔女狩りの夜が明け、混乱の責任を問われ政権が大きく揺らぐ中、女王代理であるアリスは、シスベル奪還をイスカに託す。イスカもまた自分たちの目的のため、ヒュドラ家の研究施設『雪と太陽』への潜入を試みる!

上半身裸にロングコートを直接羽織って腰骨より下まで下げたローライズのパンツという大胆セクシー衣装で登場し、俺のミラになに手ぇ出してんだこらー! と暴れだすサレンジャーさん。

なんかすごい。

ちょっと語彙が削れちゃったよ、うん。
自分が陥れられて拷問され三十年近く捕われていた事には美学的に怒らなかったのに、ミラベアが傷つけられた途端に、激おこである。いやもうこれ、大胆告白以外の何ものでもないと思うのですけれど、相手人妻であるよ? いや、そう言えばアリスたちの父親については全然言及された憶えがないのだけれど、既に故人かなにかなのだろうか。未だにミラベアもサリンジャーのこと引きずってるっぽいからなあ。
アリスたち娘さんたちはサリンジャーと自分の母親の事は知らないんだっけか。今のミラベアは精神的にもへこみ切ってて落ち込んでるわ弱気になってるわ、という状態なので、サリンジャーの大胆なセリフ直接聞いちゃったらイチコロになってしまうんじゃないだろうか。なにしろ、チョロい事この上ないアリスやシスベルの母親であるからして。絶対妄想癖もあるに違いないw
まあサリンジャーもあれ、一つ間違えるとなんか中二病っぽいのを拗らせてるおじさんだしなあ。いやそれを言ってしまうと色々とお終いな気がするので、触れてはいかん。
それはそれで置いておくとしても、あの超上から目線な態度でこちらも超調子乗って傲慢に振る舞う魔女ヴィソワーズやヒュドラの王女ミゼルヒビィと言った小娘たちを弁舌では言い負かして負け惜しみを言わせ、実力では徹底的に足蹴にして踏みにじる、という蹂躙をかましてくれたのはちょっと痛快ですらあった。イスカみたいなくせのない爽やかな青年に任されるより、あのやたらと偉そうなおじさんに超馬鹿にされまくりめたくそにやられるのって、プライドずたずただろうし悔しかろう悔しかろう、わははは。

一方で、今皇庁内でめたくそに政治的にやられてしまっているのは、帝国軍の侵入を許し、王族たちの誘拐を見逃し、女王自身傷を負わされ権威を傷つけられたルゥ家である。意気消沈してしまった女王ミラベアは発言権を失い、ヒュドラの謀略だとイスカたちのお陰で気づけたアリスだけれど、それを手繰り寄せて武器として振り回してヒュドラに対抗するには政治スキルが皆無なアリス。
……アリス、この娘女王にして大丈夫? 脳筋よ、この娘。どんな詐欺にも簡単に騙されそうよ? なんでも信じちゃうよ??
それを言ってしまうとミラベアも政治力あんまりあったようにも見えないんですよね。世論を操作し謀略をはかるヒュドラのタリスマンといい、領袖を失いながら果敢に主導権を握ろうとするゾア家の仮面卿といい、他家には寝業師というべき政治力の持ち主が力を握ってるのに、アリスたちのルゥ家にはそれらしい存在が見当たらないんですよねえ。唯一、その手の手腕に長けていたと思われる長女のイリーティアは盛大に出奔してしまいましたし。しかも、星霊力の欠如のみを理由とした待遇の悪さが原因、というありさまで。星霊の力を重視する皇庁全体の思想ではあるものの、ルゥ家としてはこの娘を逃しちゃあかんでしょうに。長女どころか、姉妹同士で内紛まではいかないけれど権力争いをしていて、お互い信用も信頼もせずに牽制し合ってたんですよね。そりゃ、身内でこれだけ争ってたらヒュドラ家やゾア家といった他家に付け込まれて追い落とされるの、当然じゃないかしら、と思えてくる。少なくとも、ヒュドラとゾアは身内では一致団結しているように見えますし。少なくとも意思統一はされている。
挙げ句に、ルゥ家の娘たちは密かに帝国の元とはいえ使徒聖と通じちゃってるわけで。
いやこれ、客観的に見ると擁護のしようなくなくない?w 帝国軍引き込んだヒュドラもバレたら言い訳難しいだろうけど、こっちはこっちでバレたら同じくらい言い訳不能っぽいのだが。
それはそれとして、イスカのシャワー後の全裸シーンを監視カメラの映像でガン見してぶっ倒れるアリスさん、それはそれでアウトです。いや、ガン見してたのは直接ラッキースケベした燐の方かw

ちなみに、イスカが常々目指していた皇庁の王族を捕まえたら停戦交渉できるよね、という状況は叶っちゃったんだけど、イスカ的にはどうなんだろう。イスカは王族捕まえたら戦争終わらせられる、と言ってたわけだけど、やっぱりどう考えてもこれ終わらないですよね。どころか、より関係悪化しましたよ?

次回はようやく舞台を帝国に戻しての、今度は燐を伴っての珍道中と相成りそう。ってか、燐はあんな提案しておいて、自分が行くつもり欠片もなかったんかい。流れ的に自分が行く、と主張するものかと思ってたのに。わりとこの人もポンコツだよなあ。