【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 3】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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エロゲ学園の劣等生が圧勝劇を巻き起こす!!

ななみとの絆を深め、自由気ままにヒロイン達とのダンジョン攻略や鍛錬の日々を満喫する瀧音。
しかし、学園の生徒達からは授業に出席しない"落ちこぼれ"と厳しい視線にさらされてしまう。
水守雪音はそんな状況でもまるで意に介さない瀧音の胆力と破天荒ぶりに驚きと尊敬の念を抱いていた。
そんな中、花邑家に呼ばれた雪音は「実はコウちゃんが常軌を逸したことをする予定であることが判明しました♪」と告げられて――!?
「理由があるんだろう? 瀧音……きみの成功を祈ってる」
学園最速の記録達成の為、無謀と言われる攻略に挑む瀧音。
劣等生が今、誰も想像できなかった圧勝劇を巻き起こす!!


ショーツダンジョン、エロゲのイベントとしてはギミックでパンツを捧げる、というのは大人しいくらいな気がするけど、現実で同じことをするとなると抵抗あるわなあ。
ダンジョンでさらに奥に進むためにそんな無体なお願い事をする幸助に、誰も怒らずに恥じらいながらもパンツ捧げてくれたのは、それだけ幸助がこれまで培ってきた信頼度のお陰なのでしょう。これがスケベ小僧な真似をずっとしてきたなら、最終的にパンツ捧げてくれるにしても一発二発ぶん殴られてもおかしくないわけですから。
このショーツダンジョンに関しては、どうしても欲しいものがあったためにみんなから嫌われるの覚悟でエッチなお願いをしてしまった幸助ですけれど、今回を除けばリュディたちと同居しているというシチュエーションにも関わらず、ラッキースケベどころか非常に女性陣に配慮した生活を続けてるんですよね。
強さに関してストイックなくらいの鍛錬中心の生活を送っている、というのもあるのですけれど、エロゲが元ネタという世界でありながら、幸助ってエロイベントに関しては積極的に首を突っ込もうとしない。そりゃ年頃の男の子なのだから、とびっきりにかわいい身近な親しい女の子たちの艶姿に興味ないわけじゃあないのですけれど、元ネタがエロゲであっても今登場人物の一人である幸助にとってはこれは現実の世界でもあるんですね。画面越しのゲーム内の女の子ではなく、リュディや雪音先輩は現実に顔を合わせ親しい付き合いをしている仲の良いリアルの女性であるのだ。そんな彼女たちが、エロイベントに巻き込まれて恥ずかしい姿を晒してしまう。それを眼にするのはごっつあんです、てなもんだけれど、相手が望まぬ恥ずかしい姿を見てしまうというのは現実には罪悪感や後ろ暗さを感じてしまうものなのだ。それが、起こると知っているイベントを見過ごして黙認してしまうのなら尚更に。
そりゃあ、イベントに巻き込まれないようにサポートもするし配慮もしますよ。友達なんだから。ともすれば、もっと近しい家族とも友達以上とも言える仲なのですから。
エロゲが元ネタのわりに、全然えっちいイベントとかシチュエーションが起こらないなあ、とちょっと微妙に思っていた所もあったのですが、現実にこの世界に生きている幸助のスタンスとして、その女性陣へのスタンスは納得も理解も出来るものだったので、これは仕方ないかー。
幸助のその誠実さが、リュディたちの信頼に繋がる一端でもあるのは自明のことですし。下心丸出しだったら、こうはいかないでしょうし。
ただ突発的なエロイベントはともかくとしても、ちゃんと恋愛パートは段階踏んで進展していって欲しいですね。現在のところは、幸助は最強を目指すことに一心不乱で恋だのなんだのは眼中にないようですけれど。
ヒロインたちの未来を守りたい、というプレイヤーとしての想いと、実際に身近に付き合っているリュディたちへの親愛からくる大切にしたい、という想いはあるんでしょうけれど、幸助自身が友人キャラという元の立場でヒロインを攻略する立ち位置になかったので、そういう考え自体が思い立っていないのかもしれませんが。
でも、リュディと雪音先輩、はつみ姉にななみの四人がどうやら幸助にとってのメインヒロイン、という事になるんでしょうね。クラリスやカトリナはサブヒロインという感じで。
そう言えば、本来の主人公である聖伊織も、幸助みたいなゲームの手順飛ばして枠外に飛び出すようなそれとは違うけれど、順調に本来のゲームのストーリーを踏襲しているようなので、誰かのヒロインルートに入ってるんだろうか。そのへん、詳しい情報はまだ出てきてないのだけれど、こっちはこっちでちゃんと進展していて欲しいですねえ。ちゃんと主人公らしくイイやつですし、良き好敵手となってほしいですし。いや、最強云々だけじゃなくてエロゲの主人公としても、ね。

これまで悪目立ちはしているものの、その時が来るまで雌伏するかのように準備を整えてきていた幸助だけれど、試験を機についにその規格外さをみんなに見える形でお披露目することに。
といっても単に目立ちたいから、というのではなくてゲーム攻略情報を元にした先着攻略特典目的だったわけですね。でも、それを達成することは幸助の実力を、ついに学園全体に見せつけることになるわけで。そうなれば、自然と周りには影響が出始める。その突出した成績に、混乱が巻き起こり「引きずられる」ものが出始める。良い影響も悪い影響も、どちらも含めて。
間近に幸助の努力と実力を見続けてきたリュディたちにとっては、刺激そのものでしょう。雪音先輩など、完全に精神面でも引っ張られて一足飛びに覚醒の予兆を見せていますし。
まさしくド派手な爆弾そのものでした。これは否応なく、学園全体の空気が変わるでしょう。台風みたいに、動き出す。その中心にいるのが今、幸助なのだ。その動向を、誰もが注視する存在になってしまった。そして、特典アイテムによってサブキャラという軛を脱することになった幸助。制限解除された、というべきか。自分を形作っていた檻から抜け出した以上、足踏みしているはずがこの向上心の塊みたいな男にあるはずがなく、際限なく突っ走りはじめるでしょう。そうなったら、もう学園全体が止まってはいられなくなる。ワクワクしてくるじゃないですか、物語が今まさに動き出した。一人の男によって引きずり回されだしたのですから。

作品そのもののギアが変わった感がある、ターニングポイントにも見える回でありました。うん、これは面白くなってきたぞ。と、人間関係も引っ掻き回しそうなゲーム主人公の妹、なるキャラも登場しましたし、恋愛パートの方でも何らかの動向があればよいのですが。