【ニンジャと司教の再出発! 1 レトロゲー迷宮に殴り込み】 のか/クレタ レジェンドノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

上級職の「ニンジャ」でありながら、「冒険者の酒場」で無為な日々を過ごすプレーヤーがいた。彼の名は「ああうあ」。実戦経験なし、レベル1。冒険者のアイテムを管理するためにパーティーに所属している補欠メンバーだ。「ああうあ」の正体は、前世でプログラマを務めるサラリーマンだったが、不幸な事故で命を落とし、女神の力によって、この世界に転生していたのだった。そんなある日、女神に会った「ああうあ」は、この世界がレトロゲーム風に改造されたことを知る。女神が世界をアップデートするまでに自分のレベルを上げなければ、命が危ない!似たような境遇で過ごすレベル1の「司教」職の「ああういあ」と共に、新たな歩みをはじめるが…。

おおっ、ちゃんと名前変わってくれた。さすがに「ああうあ」とか「ああういあ」では読みづらいし、脳内で上滑りしてしまう所でした。
でも、この前世を元にした名前の方も、どうにも意味深な話になってくるんですよね。前世から直通でニンジャになったわけじゃなさそうなんだよなあ。
一方で「ああういあ」事、アーウィアちゃんは純粋な現地の人間らしく、そういう裏事情には一切通じていない。ひらがなでああういあだと頭に入ってこないのに、アーウィアだと普通に頭に入ってくる不思議。
しかしこのアーウィアちゃん、メインヒロインらしい立ち位置で「ああうあ」事オージロ・カナタの相棒になる重要人物なのだけれど、基本三下っぽいのが玉に瑕。いやね、「……っス!」という語尾が常についてたら、そりゃあねえ。性格もお調子者だし、聖職者ぇぇ。
まあニンジャもロジカルにゲーム攻略するかのようにダンジョンの攻略、急速レベルアップのための行動をシステマティックにしていく論理的な一面とは裏腹に、あれでIT土方の暗黒面に支配された、訳の分からんノリで稼働しているところもあって、時々ボケとボケでツッコミがいない状態のまま進撃していくことがあるので、なんか妙な勢いのある作品になっている。
件のダンジョンではベテランの善属性のパーティーと途中から合流して一緒に行動していくことになるのだが、掣肘役になるのかと思われたこの人たちも、エルフのルーなんか、あれ頭なんか湧いてたり冒険者としては非常に頼もしいものの、理性の縁としてはコイツラもわりと勢いで生きてる感じなので頼りにならなくて、ノリとボケ要員が増えるだけに終わっているような気がする。
メンツの中で一番まともであるがゆえにボケに振り回されて苦労を背負い込む担当の人、が誰も居ないぞこれw
毎回「ご安全に!」との掛け声とともに繰り返される打ち合わせも、うん事前の打ち合わせは大事よ。ニンジャ、ナチュラルにこなしていて、攻略のために頭を悩ませ心すり減らして、という背負い込むようなメンタルはまったくなく、非常に元気の良い掛け声混じりに標語が叫ばれるのである。
でもほんと事前の項目確認は大事、ほんと大事。


タイトルにもあるレトロゲーとしての要素で一番厄介なのが、兎にも角にも「アイテム所持は8個まで」でありましょう。ダンジョン潜って宝物拾って帰るのが探索の目的の一つのはずなんだけれど、回復アイテムや装備品とか持ってってたら、ほとんど何も持ち帰れないし、持って帰ろうと思ったらアイテム捨てなきゃいけないし、で鬼畜である。そも、生存性を高めるための回復などの補助アイテム持っていくだけでも8個は少なすぎるて。
基本WIZネタがベースとなっているようなのだけれど、初期のゲームではアイテムを数持てないというのはよくあったので、懐かしいやらあの頃の虚しく辛いせせこましくなる気持ちが蘇ってきて、なんともはや。でもそれが当たり前だったから不思議と受け入れていたのですが。
ただ、ドット絵のキャラが会話もなくプレイヤーの操作のもと黙々と動いている、という風体ではなく、ちゃんと普通に登場人物が雑談もしーの、冒険から帰ってきたら宴会して宿屋に止まって、という日常風景もしっかり描かれているので、傍目にはあんまりレトロゲーの世界、という感じはしなかったんですよね。アーウィアちゃんも、ちゃんと田舎から出てきた上京娘という過去背景もしっかりありましたし。

まさか、そんな世界そのものにディティールが欠けていた、とか実際にアップデートされて色々変わるまでわかりませんてー。いや渦中にいるニンジャにとっては世界が見るからに作り物っぽかった、なんてのは中にいるとわからなくて、世界そのものが激変してからようやく気づく、というのもわかるのですけれど、もうちょっとそれらしい描写があっても良かったような気がします。
ってか、酒場でクダッてたときとかメシも食ってなかったのかよ! 酒普通に飲んでるから、一緒に食事もしてるのかと思ってた。
ともあれ、プレイヤーであるニンジャのみならず、世界中の人々が一夜にしてなんか見た目から内実までリアル志向になってしまった世界に戸惑い混乱する中で、果たして人々はどう適応していくのか。
なんかここまで変わると、ゲームのジャンル、というか作品そのものの雰囲気も変わりそうで続きどうなるのか興味深い。登場人物の見た目の描写から緻密さが全然異なってしまったもんなあ。