【処刑少女の生きる道(バージンロード) 4.赤い悪夢】 佐藤真登/ニリツ GA文庫

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「メノウちゃんが死んじゃうくらいなら世界なんて滅んでもよくない」?
アカリとモモが消えた。信頼する後輩の裏切りに混乱するメノウは、教典から響くサハラの声に悩みつつも2人を追跡しはじめる。
その頃、アカリとモモは、衝突を繰り返しながらもメノウからの逃亡を続けていた。絶望的にウマが合わない2人による、異世界人×処刑人補佐の禁忌のタッグ。しかし、“メノウ第一主義"な2人がなぜか逃亡中に始めたのは、モモによるアカリ強化スパルタトレーニングで――?
交錯する異世界人、「第四」、そして第一身分。少女たちを待つのは希望か絶望か――。彼女が彼女を殺すための物語、赤に染まる第4巻!

混ぜるな危険、の典型的……いや、見事なくらいの傑作例というべきか。モモとアカリの相性が素晴らしく悪すぎる! 
険悪で仲が悪い、どころじゃないじゃないですか。二人が一緒に居るシーン、ほぼすべて罵倒で埋め尽くされてるんですけれど。ひたすら罵り合い煽りあいマウントを取り合いながら、他のことをしているという感じで、移動している時も食事している時も観光している時も暴漢に襲われている時も逆に暴漢を襲っている時もひたすら罵り合ってるこの二人。いやちょっと黙ったら? と、思うほどお互い無視せず、ちょっとでも会話が途切れると別のメノウネタで突っかかる、というループである。
というか、殆ど話題がメノウだけで埋め尽くされているあたり、二人ともメノウ好きすぎてキモい。
ほんとに嫌いなら無視し合えばいいのに、メノウネタを出されると無視出来ないんですよね、二人共。おかげでやってる事はノーガードの殴り合い。そして牽制フェイントこそ介在するものの、攻撃狙いは殆ど急所。お互い、急所狙いすぎ!! 急所ばっかりエグリすぎ!
自分へのダメージも顧みず、ひたすら相手に痛撃加えられるなら自爆気味の自分も致命傷を負いかねないネタでも構わず叩き込む殺意の応酬である。
それでいて、メノウ命メノウ至上主義は完膚なきまでに一致しているので、行動原理はほぼ一緒、思考パターンもほぼ一緒、なので共感度は留まる所を知らない勢いで高くなる。果たして、これは意気投合していると言えるのだろうか。
今まで考えてみると、自分以外で一番メノウに近しい存在という意味でお互いを察知しながら直接対面せずに、遠回しに牽制や嫌がらせなんかをするくらいだったのが、こうして顔を突き合わせてしまったわけで。まさに不倶戴天、同じメノウを戴けず、なのだけれど同時に同志である事も否応なく実感してしまうわけですよ。これ、一応仲良くなってるんだろうかw
ともあれ、このモモとアカリのコンビは相乗効果で思わぬ面白コンビであることが発覚してしまいました。いやこれは予想外の化学反応。

一方で、置いてけぼりをくらったメノウ。即座にモモの残した妨害……持ち金全部盗んで持ち去る、という悪辣な妨害をクリアして追撃に移るあたり、モモよりも遥かに上手なんだけど、これって結局姫ちゃまに身売りしたってことですよね。男装執事メノウ、ごちそうさまでした。モモとアカリが血の涙と鼻血を出して見れなかったことを悔しがるコスプレである。
そんなこんなしているうちに、同じ街に集まってしまった万魔殿とマノウに第四身分の盟主、そしてメノウの師匠「陽炎」との遭遇を通じて、幾つもの真実に行き当たってしまうメノウ。
ただ、思えば彼女の中で変化は既に3巻で生きたいと願った時にはじまり終わっていたのではないだろうか。3巻の身体を起こしながら、降りかかる光に眩しげに手をかざす姿は思えば、メノウ自身の中からはじめて生まれた願望を、受け止める姿だったのではないだろうか。
ならば、この4巻の膝に手を置き、伝う汗を拭いながら線路の先を見据える姿は、新たに見つけた道を歩みだす、その仕切り直しの瞬間を切り抜いた姿と言えなくはないだろうか。
メノウの前に突き出された幾つもの真実。魔導が生み出される方法、アカリがなぜ見逃され続けたのか、そしてアカリがすべてを知っていてメノウを救おうとしていた事。
メノウは死にたくないと思った。生きたいと願った。それは、いつだって他人の色に染められていた「白」であるメノウにとってはじめて自分の根源から湧き出した想い。
メノウが知った幾つもの真実は、彼女の奥から湧き出した想いを前に踏み出させる後押しになった。彼女の想いをどう叶えればいいのかを示す、道筋になったと言っていい。それが正しいか間違っているかは、メノウにとっては師匠の下す罰によって定まるのだろう。彼女と戦い、生き残れればそれはきっと……。
メノウは言われた通りに生きる道を見つけた。生きてきた意味を見つけた。その先にあるのはアカリと共にゆく幸福な破滅なのか、それとも……。

いずれにしても、終わりは近いに違いない。