【デッド・エンド・リローデッド 2.不倶戴天のトゥーム・レイダー】 オギャ本バブ美/ NiΘ HJ文庫

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時空支配技術をめぐり、夕陽が宿敵と激突!超絶タイムリープアクション、第二弾!
失われたはずのヒトガタ【旭】の頭部パーツが、海中から引き上げられた挙句、何者かに強奪された!?
激戦を終えたばかりの夕陽(ゆうひ)と契那(けいな)のもとに、息つく暇もなく、そんな情報が飛び込んでくる。
二人は、直ちにその情報の発信源である東南アジアの街・ザイコンに向かうことに。
そこで夕陽は、かつて自身が所属していた傭兵部隊「葬儀社」を裏切った男「墓荒(はかあらし)」と激突する!
謎めいた美女・西比嘉(にしひが)その他、新キャラも多数登場する超絶タイムリープアクション、第二弾!

そう、そうなんだよ。重火器やヘリでドンパチ、さらに人型ロボットまで出てきて市街地で交戦、となるとそれなり以上に発展していてほしいんですよね。そして治安が悪く、街のどこかしこでケンカどころか発砲音が響いていたらなおよし。雰囲気的には無国籍都市、という風情ならとびっきり。
と、まあスパイ・アクション! エージェント同士が街中で命がけで機密や最重要人物を奪い合うというシチュエーションとしてはこの東南アジアの海辺の若干リゾート地が入りつつも警察が役に立っていないような治安最悪でマフィアやギャングが街を支配している都市、というのが最高の舞台の一つなんですよ。分かってる、うん分かってるね。
前回はいわばタイムリープによる繰り返しモノだったのが、今回大胆にスパイ・アクション映画にフォームチェンジ。こうなると、メインとなる登場人物も夕陽と契那というある意味二人だけに限定されていた所から、夕陽たちが追うことになるテロリストグループに、夕陽たちに協力してくれる元戦友の葬儀社以来の仲間たち。そして夕陽たちと同行しながら社の幹部として彼らを監視し、一方で独自に暗躍する謎の仮面の女。と、重要キャラが一気に登場してくるわけだけれど、これが全員個性的で存在感があって、登場するだけでシーンが華やぐピリッとしたキャラクター揃いで、わんさかと作中のキャラを増やしてもごちゃごちゃになるどころか、余計勢いづける書き手だったのだと再認識することが出来た。
敵であり夕陽にとっては妹の仇でもある裏切り者の「墓荒」。こいつがまたとびっきりの変態で、言動が突き抜けてぶっ飛んでいるのがある意味分かりやすい悪役として跳ね回ってくれる。対して、かつての戦友たちであるドゥウェインとジョーがまたこれ、強いわ頼もしいわ、何より見た目のゴツさとは裏腹にまだ18歳な夕陽のメンタルを気遣い、色々と配慮してくれる大人として得難いキャラなんですよね。また見た目からしてごっついしw うん、オネエキャラは古来より敵でも味方でも極めて強キャラであると同時に精神面での支えにもなるんだよなあ。
とまあ、敵味方の陣営が揃ったところに、さらにCIA(ラングレー)の特殊作戦チームが別件から墓荒を追いかけて街に現れたものだから、獲物を奪い合う三つ巴の争いに。そうそう、別の勢力が首突っ込んでくるのもアリなんですよね。さらに背景となる街の様相は、新旧のマフィアとギャングが街の支配権をかけて抗争中、というドンパチ真っ盛りなものだから、治安的にも火を吹く寸前なところに火の付いた火薬を持った三者が飛び込んでくるものだから、大爆発ですよ大爆発。
この街中でもお構いなしのド派手なアクションの連続。潜伏先をそれぞれが探し回る探索パートから、一転カーチェイスあり、地下鉄での追いかけっこあり、重火器にヘリに人型ロボットになんでもござれの市街戦。逃げ惑う市民たち、打ち合うマフィアたちをかき分けながらの、追跡劇。
うんうん、これぞエンターテインメントアクション映画でありますよ。

意外だったのが、夕陽たちの監視役でもあった皇和重工の秘書である西比嘉実麻が予想以上に表では動かなかったこと。彼女の正体については、次巻以降か。ってか、ほぼ登場した時点で予想はしてしまえるのだけれど。それを補完するような情報が、彼女の僅かなアクションからえらく克明に描かれていましたし。
今回は相手が夕陽の仇という事もあり、夕陽もメンタルに余裕なく切羽詰まっていたのですが、それを癒やして慰めてほぐしてみせる契那さんの言動が、完全に幼女じゃなくて「女」なんですよね。アクション主体ということで研究者である彼女は同行しつつも出番はやはり限定されてしまったのですが、その少ない出番でスナイプ決めてきましたがな。
ほんと、この娘さんメンタルにも幼いところないですし、精神面は完全に大人であると同時に女としての武器や長所も弁えきっていて、その上で純粋に夕陽を愛している事を偽らずまっすぐ指し示しているわけで、そりゃ年に似合わぬ妖艶さも兼ね備えてしまいますわー。
夕陽くん、あれでまだ18歳の初心な少年なのですから、ちょっと敵わないでしょう。絵面は完全に犯罪なのですが。作中でも敵味方問わずに、顔面ゴリラすぎて見た目と年齢があってなさすぎる、と言及される彼ですが、実際こいつ20代にすら見えないんだよなあ。30代でも全然不思議でない見た目なのですけど!

さて、内容としては派手なアクション映画さながらのドンパチで楽しかったのですが、話としては次回に続く伏線回であり、新しい登場人物の紹介でもあったのでしょう。墓荒の依頼人が気になるところであり、実麻がどうしてそのポディションにいるのかも興味深いところですが、ともあれ次回が楽しみです。うん、面白かった。