BOOK☆WALKERではじまったKADOKAWA“超”合本フェアを何となく見ていたら、【デート・ア・ライブ】の橘公司さんのデビュー作にして大怪作たる【蒼穹のカルマ】が全8巻で1000円ちょい、という値段になってて、安いーー! と思わず目を見張ってしまったのですが、よくよく見てみるともう何年も前、ものによっては十年以上も前に夢中になってた懐かしいシリーズが幾つも散見されまして。

ちょっと、これにかこつけて過去の名作を振り返ってみようかな、と。

【蒼穹のカルマ】 橘 公司/森沢 晴行(富士見ファンタジア文庫)

Kindle B☆W
先日、【デート・ア・ライブ】という大作を完結させた橘公司さんのデビュー作であり、人によっては此方の方を最高傑作と呼ぶ人もいるんじゃないだろうか。
一巻から度肝を抜かれる怒涛の展開に白目剥くことになるのですが、ちと日和ったような展開だった2巻を除いて、三巻から最後の八巻までノンストップで常に予想の斜め上を行き続けるトンデモ展開の大風呂敷を、見事に綺麗に畳み込んでハッピーエンドまで仕上げてしまった作者の辣腕はのちのデート・ア・ライブの終盤近くでも見事に発揮されたとも言えますし、ある意味デートはこれを越えられなかったとすらも言えるかもしれません。まー表紙絵が巻数進むにつれてどんどん頭悪くなっていく様子から、少しでも内容を察していただければと(無理
この6巻なんか、その意味でも最高潮だった。

今なお、遺影(しかもアヘ顔)で表紙を飾った主人公はさすがに居ないんじゃないだろうかw
何言ってるか分からない各巻のあらすじが、読み終わってみるとこれ以上無くすべてを言い表していた事に気付かされるあの頭の痛さは、未だに忘れがたいです。




【お・り・が・み】 林トモアキ/2C=がろあ〜 (角川スニーカー文庫)

Kindle B☆W
【戦闘城塞マスラヲ】【レイセン】【ヒマワリ】と続く「精霊サーガ」と呼ばれる一連の物語のすべての始まりとなる作品がこの【お・り・が・み】であり、借金の方に悪の組織「魔殺商会」に拉致された名護屋河鈴蘭が、のちに「魔殺商会」のメイド長にして総帥へとのし上がり、初代聖魔王となるまでの物語である。あのヤクザの女組長みたいな鈴蘭が、初登場の頃は儚く内気でオロオロと濃すぎるメンツに振り回されて涙目になってるようなキャラだったとは想像も出来ないでしょう。あのキャラの大変換は今なお忘れられない衝撃でした。何気に精霊サーガシリーズで最もインフレした作品でもあるんですよね。これ以降、能力者バトルとしてはデフレの一途を辿りより頭脳戦の様相を呈していくわけですけれど、アウターというとんでも戦力が暴れ狂う無制限バトルとしては本シリーズが最高潮でもありました。億千万の眷属の本領を見れる数少ない作品の一つ。みーこが億千万の口としての本性を現した時のあの途方も無い絶望感は凄かったなあ。
まだマメに感想を書いていなかった時代に出版されたシリーズなので(1巻が2004年である)、このシリーズの感想記事は書いていないんですよね。機会があれば再読して、感想も書いてみたい。


【影執事マルク・シリーズ】 手島史詞/COMTA (富士見ファンタジア文庫)

Kindle B☆W
これも【魔奴愛】こと【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?】の手島史詞さんのデビュー作であり、原点とも言えるシリーズでした。【魔奴愛】は、この【影執事マルク】の原点回帰とも言えるんですよね。というのも、この【影執事マルク】は【魔奴愛】並にカップルが凄く多い! 話が進むにつれて登場人物の総数が増えていくのですけれど、その個性的な面々があっちこっちでくっついて、ラブラブカップルが大量発生するんですわ。カップル厨の読み手の人ならもう目移りしそうな甘酸っぱさがわんさかと。また、メインの登場人物はヴァレンシュタイン家使用人一同という事になるのですけど、これも主人と使用人というよりも凄く家族然としたファミリーみたいな関係で、それも【魔奴愛】のザガン一党と重なるんですよね。
【魔奴愛】のイラストレーターのCOMTA さんがこのシリーズのイラストも手掛けていた、というのを見ても【影執事マルク】シリーズへの意識はあったのでしょう。【魔奴愛】好きの人なら、まずもってオススメです。




【神明解ろーどぐらす】 比嘉智康/すばち (MF文庫J)

Kindle B☆W
【僕は友達が少ない】や【生徒会の一存】などを代表に、一時期流行った「駄弁り系部活もの」。その中でも自分にとって飛び切りの一作となったのが【ギャルゴ!!!!!】などでその尖りに尖った才能を見せつけてきた比嘉智康さんが満を持して送り出してきたこの【神明解ろーどぐらす】だったわけです。
なんの部活かというと、ろーどぐらす……つまり道草。帰宅部なのである。それも、ただ家に帰る事が目的ではなく、学校が終わり家に帰るまでの「下校」という時間帯に青春の情熱を燃やし尽くす池田十勝という男と、彼のその情熱に惹かれて下校の魅力にとりつかれた少女たちが織りなす、輝かしい帰宅の日々。もうシチュエーションといい掛け合いといいセンスがぶっ飛んでるんですけど、ラブコメとしても素晴らしく甘酸っぱいキュンキュンさせてくれるものを見せつけてくれるんですね。
それだけならまだしも、シリーズ終盤からさらに物語として凄まじいどんでん返しをやってくれて、度肝を抜かれるわけですよ。あれは正直、とんでもない展開だった。部活モノとしては今なお最高傑作の一つだと思っています。





【Dクラッカーズ】 あざの耕平/村崎久都 (富士見ファンタジア文庫)

Kindle B☆W
そうかー、新装版は富士見ファンタジア文庫から出版されてるんだ。自分が読んだ時は「富士見ミステリー文庫」という今は亡きレーベルだったのですよ。
言わずとしれた不朽の名作。【東京レイヴンズ】のあざの耕平さんの初の長編シリーズであり、その名を不動のものにした傑作である。自分にとっての「バイブル」の一つであり、こと「好き」という点にのみ関しては、数あるあざの作品の中でも自分にとってはこれなんですよ、【Dクラッカーズ】。
幼馴染モノとしても歴史に残る最高傑作の一つであることは言うに及ばず、ドラッグによって能力を顕現させるというダークな世界観に、それを吹き飛ばすような熱く切ない青春の疾走劇。実に粋な作品でした。



【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園】 物草純平/藤ちょこ(電撃文庫)

Kindle B☆W
薩摩の侍少年、ヨーロッパで虫愛ずる少女と出会う。自分の中の「示現流」という流派へのイメージを根底から一変させ、その魅力を教えてくれた一作であり、こと剣劇アクションという側面で言うならばライトノベル界隈で屈指、最高峰と呼ぶに相応しい激烈可憐な剣劇描写で魅せてくれた作品なんですよね。
もうあのヨーロッパという異国の地を舞台にした「示現流VS薬丸自顕流」の決闘の凄まじさ、迫力、スピード感。静から動の動きの野性的で美しい描写は、いまだに思い出して震えます。
また開国して間もない日本からやってきた異邦の侍が、欧州という異国の地を訪れるというシチュエーションの濃さもいいんですよね。ヨーロッパの情景描写がまた素晴らしくて、研究家でありながら冒険家的な気質の強いヒロインとの絡みで冒険譚としての雰囲気も色濃く出ていて、ボーイ・ミーツ・ガールの素敵さも相まって、様々な側面から堪能できる名作でありました。
古い歴史情緒を感じさせる旧大陸から舞台を移しての新大陸・合衆国編も楽しみにしてたんだけどなあ。




【子ひつじは迷わない】 玩具堂/籠目(角川スニーカー文庫)

Kindle B☆W
自分の中では日常学園ミステリーの中で最高傑作なのがこれ。最近では【好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる】や【探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】を書いている玩具堂さんですけど、デビュー作でありスニーカー新人大賞を取った作品がこれでした。このときからセリフに頼らない繊細な仕草や表情などの細やかで丁寧な描写によって、具体的に語らずに明晰に物語る、読者に想像させるという表現手法は素晴らしく映えていて、あの心擽るような届くか届かないかのギリギリで触れてくるような恋愛描写は、もう最高の一言でした。もうこの人の物語、私ってばホント好きでねえ。大好きでねえ。



と、これら以外にも他にも過去の名作が結構なラインナップ並んでいます。これかなり手頃な値段で確保できるんじゃないでしょうか。ちょっとこれ、自分も山積みの中に埋もれてて容易に取り出せない作品がたくさんあるので、電子書籍で買い直そうかかなり強烈な誘惑が〜