【アラフォーおっさんはスローライフの夢を見るか? 】 サイトウアユム/ジョンディー HJ NOVELS

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おっさんだけど若返ったし、異世界で第2の人生やり直します! !

人生に疲れていたおっさん・マコト(38歳・独身)は夜の公園で暴漢に襲われて死んだ。
かと思いきや、目覚めればそこは異世界のダンジョン! しかも、体は若返ってるし、黒炎を操る精霊術士の力まで持っていた!!
これ幸いと、日本での最悪な日々とはおさらばしたマコトは、魔女帽を被ったツンデレ気質の訳アリ女子高生・ユウカと手を組み、新たな人生をやりなおすことに。
モンスターを倒し、依頼をこなし、スローライフを実現するのだ! そのために――まずはダンジョンを脱出せよ! !
「モンスターからあたしを守る仕事よ、簡単でしょ」「?アラフォーに何を期待してるんだよ!」
喧嘩するほど仲がいい、元おっさん×女子高生の凸凹コンビが、スローライフのために最強を目指す、人生リスタート系ファンタジー開幕!!

家族に自分の人生を台無しにされ、浪費されて、それを悪いとも思われない、というのは地味だけれどとてつもない精神の疲労を招く。他人ならそこまでダメージ受けないことでも、家族だともう取り返しがつかないんですよね。失望、それがどれだけ心を蝕むものか。
マコトが抱いていた人生そのものへの疲労感というのは、ブラック企業で働いていただけではなく、いやそういう所で働かざるを得ない形に追い込んだ家族への失望が多くを占めていたのではないだろうか。
そう考えると、彼のユウカへの寛容さというのは大人としての器の大きさというよりも、他人にはもう期待しないという諦めに近いものだったのかもしれない。でも、咄嗟に見捨てずに命をかけて庇ったり、と諦めに根ざした無関心に近い寛容さだけでは説明できないのも確かなんですよね。
物事を斜に構えて見ていて、ネガティブな考え方をしていて、明るさとは程遠い皮肉めいた性格をしている主人公だけれど、悪い人間じゃないんだよなあ。ユウカへのあの気遣いは本物なのだろう。
問題は、そのユウカ。マコトが目を覚ましたダンジョンで出会った一人で迷子になっていた女子高生が、性格最悪だった件である。マコトは相手が子供だから、まだ女子高生だから、こんな命がけの状況に追い込まれて余裕なんかモテないだろう、と彼女の最悪な態度にもおおむね寛容で適当にあしらって流しているけれど、まあ控えめに言っても根性ひん曲がった最悪のガキである。
自分に甘く自分以外には徹底的に厳しい。マコトの気遣いもそれを当たり前のことどころか足りないかのように振る舞い、受け取るばかりで自分からは何も与えようとしないんですよね。ささやかな感謝や気遣いすらも。吐く言葉は毒舌を通り越してただ相手を傷つけるだけのもので、自分を擁護するだけのもの。相手のことを考えない無神経さ、自分のことばかりのワガママさ、礼儀知らずで相手を悪しざまに罵ることで無意識にマウントを取ろうとする。相手を信用せずに敵意ばかりを浴びせて、そのくせ相手からは見返りばかり要求する。
これを好意的に見るのは無理でしょう。彼女と一緒にダンジョンに潜ったクラスメイトたちが、彼女を置き去りにしたのもこう言っちゃなんですが、無理からぬことだとすら思ってしまいます。和を乱すどころじゃないもの。こんな言動ばかりだったら、ヘイトどころか憎悪すら集めてたんじゃないだろうか。
いや、なんでマコトはこれスルーできるんだろう。まあ必要以上に親身にはなっていないのだけれど。命がけで助けただけでも過分だよなあ。
ユウカのそれを子供だから、まだ高校生だから、とは思えないです。思春期の尖った振る舞い、の領域をちょっと越えてしまっている。むしろ、高校生にもなってこんな振る舞いをしているという時点でどうか、と思う所なんですよね。誰も相手、してくれなかったんだろうなあ。誰も指摘してくれなかったんだろうなあ。相手するだけ無駄、まともに相手したくないと思われてしまってここまで来てしまったのだろうか。指摘するのも叱るのも、しんどいものです。大抵は、わざわざ矯正や教育なんてしてくれません。ただ遠ざかるばかりです。
その意味では、マコトはユウカにとって久々なのかはじめてなのかはわかりませんが、ちゃんと相手してくれる相手なんですよね。丁寧に指摘したり叱ったりなんて真似まではしてくれませんけど、彼女の身勝手な言動に対していちいち文句は言うんですよね。それをマトモに聞いている素振りもなく、反抗されて苛立つようなふりしか見えないユウカですけれど、少なくとも自分の言動が嫌がられている、というのを目に見えて伝えてくれる振る舞いでもあるんですよね。それを受けて、果たして彼女は自分を省みることができるのか。
今の所、そういう気配はまったく見えないのですが。死にかけながら助けてもらった事にお礼言ってなかった事を思い出して、うんうん悩んでたりする当たりは希望なのかもしれませんけど、結局言わないしこの娘。
そのユウカが唯一、慕う同級生たちのリーダー格の少年が、また裏で卑しいこと考えてるような輩なんですよね。このJK、人を見る目すらない!

死闘をくぐり抜けてなんとかダンジョンを攻略して脱出に成功したマコト。ギリギリの崖っぷちを落ちかけながら、ユウカとたった二人でダンジョンを攻略したことで大量のレベル上げに成功したことで、能力的にも金銭的にもなんとか余裕を手に入れたわけだけれど、目標であるスローライフを手に入れるためには、安定した収入と貯蓄と生活環境が必要なわけで、それを手に入れるためにはまだまだ手持ちも見聞も足りない、ということでこれから異世界の人間との交流を深めていくことになる模様。おっさん的にはやはり地に足がついた生活がしたいよねえ。