【現実主義勇者の王国再建記 13】 どぜう丸/冬ゆき オーバーラップ文庫

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敵対国家・九頭龍諸島連合へフリードニア王国艦隊の派遣を決定したソーマ。
故国を救うべく身を捧げた九頭龍諸島の姫シャボンを味方に付けたソーマは、彼女の手引きで王国艦隊の到着前に島へと潜入する。
――目下の問題は諸島連合艦隊よりも、近海に出没する謎の巨大生物。そう睨んだソーマは敵国内で巨大不明生物の情報収集にあたる。かくして判明したその実体は常識を逸脱した怪物で……!?
敵国艦隊と巨大生物、迫る二つの脅威にソーマが講じた策略とは!?
革新的な異世界内政ファンタジー、第13巻!

ああっ、そこまで昔から連絡取り合ってたのか。いやこれ、相当以前からじゃないですか。これは相手さんの先見の明を褒め称えないといけないでしょうし、余程の根気と忍耐と粘り強さがないとこの段階まで引っ張れないですよ。
やたらとソーマたちが和平を求めて飛び込んできたシャボンたちに辛辣だったのもわかります。献身的で現状を行き止まりと感じて打破するために自分から動く、というのは都合の悪い事実に目をそらしてなあなあで流れに身を任せてしまう事に比べれば上等この上ないとは思うのですけれど、危機感に対して深い考えなく動いてしまった、とも言えますからね。特に、深い思慮と遠謀とともに強かに交渉を続けてきたという比べる相手が居るのですから。
まあそれ以上に、何年も掛けて練り上げただろうシナリオに則って準備を整えていざ幕をあけたら、突然脚本も何も知らない役者が舞台に乱入してきて引っ掻き回されてはそりゃあ、何しに来たコイツ、てなりますよね。しかも、その乱入目的が計画の破綻に直結しているのですから、邪魔しないでおとなしくしててくれ、って事にもなりますか。
とは言え、なんにも知らないシャボンとしてはソーマたちに縋るという以外何も考えていなかったにしても、戦争を止めようという目的自体は彼女の立ち位置からすると間違ってはいないですからね。全然足りないにしても、彼女は自分の身でやれることをやろうとしたわけですから。
ただまあ、知らないとは言え自分から見事に地雷を踏み踏み踏んづけまくってしまったのは確かなのですけど。それでも、もうちょっと優しくしてあげてw

しかし、長年かけてシナリオ練り上げたにしては、本番での演技は大根もいいところだったような……。まあ、別に演技うまかろうが棒だろうが、ファニーウォーとして建前さえ成立すればよく、要は現場に王国と諸島連合の艦隊が勢揃いすればよかったのだから、別に演技力は求められていなかったのだろうけど。
それでもソーマはテレビ出演も多いんだから、もうちょっと頑張りなさいよw

その分、実戦の方で今までになく活躍してた気もしますが。あれをソーマの活躍というべきなのかは定かではありませんが。
というわけで、今回の本題は特撮怪獣映画。冒頭の嵐に襲われた島で未知の存在の痕跡が、というのはまさにゴジラ以来の伝統ある導入でもありましたしねえ。
いやでも、メカドラ出撃! には吹いた。完全にメカゴジラだこれ。漫画が違うw
これ九頭龍諸島連合の連中、魂消たどころじゃなかったでしょう。あんなの見せられたら。世界観が違うw
ソーマのあの人形の遠隔操作の能力の可能性については常々様々な形でアプローチされていましたけれど、あんなデカイの操作できるんだったらそれこそ戦争感が変わってしまい兼ねないですよ。あとドリルは定番、うんわかる。わかるんだけど、メカドラの腕に装着じゃなくてちょっと戦艦の艦首に取り付けて「海底軍艦突撃!」なノリも見てみたかった気がする。特撮でドリルだとやっぱり軍艦の艦首でしょう、定番は。

ただ今回注目すべきは派手なメカドラよりも、島型空母「ヒリュウ」の実戦投入でしょう。本来、海を嫌うワイバーンの部隊を搭載して、海上を自由に移動し好きな所からワイバーン部隊による航空攻撃をぶつけることが出来る海洋機動力の顕在化。
ソーマはここで、国家の方針としてシーパワー重視で国際関係の主導を握っていくことを明言しています。ちゃんとここで列島国である九頭龍諸島連合と盟を結んで海洋同盟を締結しているあたりが偉いんだよなあ。ランドパワーの超大国である帝国とは裏で密かに協力関係結べているし、もし大陸で大規模な紛争が起こって内陸の交通網が機能不全を起こしても、海洋交通網を握っている限り海運を通じて友好国との連絡や商業ルートは確保し続けられますし、空母の運用は常に攻撃のイニシアチブを握り続けることが出来るということでもあり、本当の最悪の場合でも九頭龍諸島連合という後背地が出来たというわけで。まともに戦わずして海洋の支配権、並びに九頭龍諸島連合という精鋭かつ多数の艦船群の協力を得られるようになったのですね。大陸中央ではいままさにフウガが勇躍をはじめている真っ最中ですけれど、こうしてみるともう既に着々と何が起こっても対処できるような、価値観の異なる者からすると全く視界に入らないところで盤石の包囲網が敷かれつつあるんですよね。
ユリガちゃんは、王国に居て間近に見えているから、また彼女自身の柔軟な視点からソーマの戦い方を理解しつつあるけれど、これを伝えるのは難しいだろうなあ。フウガもまた野性的な感性で何となくソーマの脅威はわかっているものの、わからないものを理解できるタイプじゃなさそうなんですよね。果たして、いつかあるだろう彼らの激突は、激突足り得る形になるのだろうか。
なにはともあれ、ジュナさんオメデタ!