【わたし以外とのラブコメは許さないんだからね】 羽場 楽人/イコモチ 電撃文庫

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戦いは恋人になってからが本番。 告白で幕開けるラブコメ戦線!

冷たい態度に負けずアプローチを続けて一年、晴れて想い人に振り向いてもらえた俺。クラスの誰をも寄せ付けようとしなかった孤高の美人、有坂ヨルカと彼氏彼女の関係になったのだ! しかもあれだけツンケンしていたくせに、本当は俺のことが大好きだったらしい!
「わたしの方が好きに決まっているのに、それが伝わってない気がする」
え、このカワイイ存在ヤバくない? 強気なくせに恋愛防御力0な彼女にイチャコラ欲求はもう限界! だけど人前でベタベタするのは禁止? さらに秘密の両想いなのに恋敵まで現れて……?
恋人から始まるラブコメ爆誕!

主人公がコミュニケーション強者すぎる。そもそも、孤立しているヨルカと親しくなってくれと神崎先生に頼まれた時点で、それだけ希墨なら仲良くなれるとそのコミュニケーション能力を先生にも見込まれていた、という事ですからね。
一方でヨルカの方は深刻なコミュ障。でも、ハリネズミの棘で自分を守っているタイプでキツい言動で周りを遠ざけ、そもそもコミュニケーションを極力取らないという手段で他人との壁を築いてきた娘なので、直接的な防御力は決して高くはなかったと思われる。その棘を無視され、壁を越えられてきたら直接向き合わなければならない。
家族のスペックが異様に高いため、物心ついてからこの方常にそれと比較して自分を卑下してきたために、異様に自己評価が低く自己肯定力がないヨルカさんである。希墨みたいな巧みな陽キャラに全力で来られたら、そりゃあイチコロだわ。
さすがと思うのが希墨くん、釣った魚には餌を上げまくるタイプだった事でしょう。いや、彼自身ヨルカに夢中なので彼の口から出る言葉は全部本心なのですから餌やっているなんて自覚もないのでしょうけれど。
ほんと、恥ずかしくなるくらい甘い言葉を引っ切り無しに囁くんですよね。愛している、好きだ、と告げる事を全く惜しまない。勿体ぶらない。思ったとおりに口に出し、伝える。多少気障でも関係ない。相手を喜ばせるためじゃなくて、シンプルに自分の気持ちを素直に伝えているだけだから余計に強力なのである。相手が、素直になれないヨルカだからこそ尚更に、率直で真っ直ぐな気持ちをぶつけられるとどうしようもない。
ここまでベタベタと優しい言葉甘い言葉を口ずさんでいるとチャラ男かよ、とも思うのだけれど、むしろ少女漫画とかで主人公の女の子を口説いてくるイケメン男子系統なのかもしれない。本人口説いているつもりなくても、思わず女の子がドキドキしてしまうような言動を素で垂れ流してくるような。女の子の理想像の一つだ。

そりゃ、ヨルカじゃなくても、女の子にモテるだろう。

彼氏彼女になる。男女のお付き合いをはじめる、というのは言わば独占契約、お互いがお互いだけと恋愛関係を結びますという契約みたいなものだ。勿論、それを当人同士の間だけで結ぶのもお互いの気持ちの上でとても大切なことだろうけれど、その関係を公然とするというのは他人に対しても、二人の関係を周知してそこに首突っ込んでくることは不義である、と知らしめる意味を持つ。
虫除け、とまで言ってしまうのはちょっとあれだけれど、周知徹底することで事前に余計なトラブルを回避する効果は大いにあると言っていい。
その意味では、ヨルカが希墨との関係を秘密にしてしまったのは、自分への自信の無さが原因なんだろうけれど、悪手だった事には違いない。幾ら、希墨が断ってくれるにしても希墨にアプローチする自由を野放図に開放してしまったのだから。公には瀬名希墨はフリーであり、どれだけアタックしても誰からも文句は言われないわけですからね。
まあ、彼に告白することになる他の娘たちは、ヨルカの存在を認知していなかったわけではないので、交際を秘密云々はあんまり関係なかったかもしれませんが。でも、自分の守り方と同様に、希墨との恋の守り方もヨルカのそれは不器用極まっていた、と言えるのかも知れません。
隠したり遠ざけたりするだけじゃあ、強引に突っ込まれてきたとき案外にも脆いものなのですから。
その意味では、ヨルカがひなかから叱咤されて本音をさらけ出してぶつかったことも、希墨がみんなに全部ぶちまけたのも、ヨルカと希墨のお互いの好きすぎる関係にこそ必要で相応しいものだったのではないでしょうか。隠しておくには二人共目立ちすぎるし存在感がありすぎるものあるわけですから。
朝姫がわり食ってると思うのだけれど、大人な対応だったなあ。大人な対応を取ってしまった時点で割って入るのは難しかったとも言えるのかも知れませんが。まあそれが普通の反応だわね。


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