【七人の魔剣姫とゼロの騎士団】 川田 両悟/GreeN MF文庫J

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七人の魔剣姫が支配する学園に風穴を開ける男―魔剣の学園ファンタジー!

七人の魔剣姫が支配するキールモール魔術学園に突如現れた、赤毛の少年ナハト。「この学園にあるんだろ『七つの魔剣』が。そいつを全部いただきに来た」転入早々に学園中を敵に回した不敵な少年の狙いは、全ての魔剣を手に入れ、伝説の騎士団を蘇らせること。当然、同級生のシャーロットやアリアをはじめ魔剣姫たちが彼を黙って見逃すはずがなく――「なんつーか。あんた、すごい美人だな」「ちょ、ちょっとジロジロ見ないでよ。金とるわよ」ナハトの持つ伝説級の魔具、飛島を巡る騎士団、大陸中を跋扈する魔物の脅威――巨大な学園を巻き込み、少年と七人の魔剣姫達の戦いが始まる!

あれ? この表紙の女の子、メインヒロインじゃないの!? てっきり、このツインテールの娘アリアがメインヒロインなんだなー、と思って読み始めたら……違うよ!? もっとガッツリとメインヒロインの娘がいるよ!? 
そのメインとなるシャーロットは、一国の姫ながら国元が飛島探索の盛大な失敗によって破綻したため生活にも汲々としている貧乏姫。本来魔剣姫というのは自前の船と騎士団を揃えて飛島の探索を行うことが半ば義務付けられているのに、貧乏が故に、金がないが故に、実力はあるのにそれを発揮できる場を持てないお姫様。おかげで、金金金と金を稼ぐのが最優先のなかなか世知辛い学園生活を送っている。
個人的にはもっとがめつい守銭奴か金の亡者でも良かったと思うのだけれど、あくまで騎士団の創設や船を購入するためにお金を欲しているという目的がはっきりしているので、実は目的関係なしにお金も好き、というキャラクターではなかったんですよね。
シャーロットの初動の動機、同じボッチのナハトとある意味対等の立場で勝負をしなければならないポディションのために、貧乏という属性がついていたようものなので、船が手に入ったりと金銭面で追い詰められなくなると、金無し貧乏という属性が薄れてしまったのはちともったいなかったような気がする。
まあ金はなくても貧乏でも、気概と矜持は一級品というもともと非常に男前の気合の入ったお姫様なので、守銭奴という要素は不純物だったのかもしれないのですが、苦労してるなあというある種のクレバーさが備わっているのが伝わってくるので無意味ではなかったか。
対する主人公の方はというと、これがまた珍しいくらいアクの強い主人公。昨今ではむしろライバルキャラ向けのキャラクターなんじゃないだろうか。どこか大型の猫科肉食獣を彷彿とさせる落ち着きと猛々しさを兼ね備えたような立ち居振る舞いなんですよね。
堂々と、7人の魔剣姫を下して学園を統一するという野望を公言しながら、脳筋とは程遠い強かな立ち回りを見せつつ、食いつくときは躊躇なし。一方で愛嬌もあって、相手のプライドや信念を擽るような強者は強者を知る、とでも言うような所もあり、結構女殺しな言動もあり、と強烈なカリスマを感じさせる主人公なんですよね。
珍しいくらい、パワフルなタイプの主人公だなあ。
ヒロインである魔剣姫たちも、それぞれ一国を代表する姫君であると同時に、自ら騎士団を率いる指揮官でもあり、とみんな強固な意思と指針を備えた気の強い娘さんたちばかりなものだから、同じく色んな意味で存在感の強烈なナハトとはどうやったって衝突することになる。
まあナハト、ガンガン行く一方でわりと柔軟に突っかかってこられてもからかって絡め取ったり、と硬軟自在の対応が出来るタイプなので、変にいがみ合うことは少ないのだけれど、いい意味でバシバシと言葉でも行動でも丁々発止が繰り広げられるんですよね。それが対立でも協働でも、衝突でも一致団結してでの進撃でも、仲良くイチャつくみたいになるシーンでも、なんかこう話のテンポにしても流れにしてもパワフルな感触がするんですよね。
冒険を主体とするお話なんだから、それくらい人間関係でも話の展開でも力強くなければ、ドキドキしないじゃないですか。パワフルであればあるほど、ワクワクしてくるじゃないですか。
自分の我を通し、夢を貫くために譲れぬものを賭けてぶつかり合い、そうやってぶつかって衝突して仲間を集めていき、空を駆けるための船を手に入れ、魔物がひしめく秘境の地を探検するため、自分たちだけの騎士団を結成する。学園モノである以上に、冒険を志す若者たちの無鉄砲で夢にあふれる躍動は、やっぱり見ていてワクワクさせてくれるものでした。

スタートダッシュとしては充分な力強さを見せてくれた、期待を大いに持たせてくれるシリーズ開幕でありました。続き、楽しみ♪

ヒロインの方はシャーロットがもう文句なしにナハトの相棒感を出していて、表紙を飾ったアリアの方は二番手から羨ましそうに臍を噛むポディションになってしまっていますけど、デレを堂々と押し出せるようになったらこの手の娘は侮れないぞお。