【メイデーア転生物語 4.扉の向こうの魔法使い(中)】  友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫

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首席を目指すマキアに立ち塞がるものは――? 魔法学校の期末試験、開始!

同盟国が集い、帝国の脅威に備えるなか、ルスキア王子たちの絆を繋いだマキア。安心したのも束の間、今度は救世主アイリが失踪し、トールとともに捜索に駆り出されることに。だがそんなマキアにもう一つの戦い、魔法学校の期末試験が目前に迫っていた。
いつもは頼もしい班員たちも、この時ばかりは首席を争う好敵手。次々と難題をクリアし、待ち受けていた最終試験・精霊探しゲームで、マキアは学校に隠されていた秘密の部屋を見つけて……?
“メイデーア”の命運を握る者たちに、等しく試練の日が訪れる。

くあーーっ、イイ所で、イイ所で終わったー!!
上中下の中編だから仕方ないんだけれど、電書で残りページとか確認する間もなく没頭して読んでいたものだから、ユリシス先生の大見得切りでぐおーーっと盛り上がった所で次回へ続く、と来ましたからねー。マジで次回早くしてください。

救世主のアイリが引っ掻き回してくれた件、マキアが自分の前世を明かすという爆弾を投じてアイリの事を諌めた、叱った、喧嘩吹っかけたのもあって、ルスキア王国内の混乱にも一区切りがついたと言ったところでしょうか。ギルバートとフレイの王子同士の拗れた仲にも一つの区切りがつきましたし。
落ち着いたからこそ、ここでマキアから離れて救世主の守護者となってたトールの側の心境を語るタイミングになったのでしょうね。これまで、トールを思いずっと寂しい気持ちを抱きながらトールの事を追いかけていたマキアが描かれていましたけれど、トールの方もずっと寂しい思いをしていたんですね。
トールにとってマキアの存在がどれだけ大きいか、オディリール家がどれほどトールを家族として迎えてくれたことが心の支えになっていたのか。だからこそ、そこから引き離されたトールの寂しさは取り残されたマキアに勝るとも劣らないものだったのでしょう。
ましてや、追いかけてきてくれたマキアは、しかし魔法学校でちゃんと自分の居場所を作り、掛け替えのない友人を作ってしまっている。オディリール家で過ごした日々を懐かしみ、あの日々に戻ることを願っていたトールと、我が家を出て自分を追いかけるためとはいえ新しい道を歩き始めたマキアとでは微妙なすれ違いが生じていたことを、トールは敏感に感じ取っていたんですね。
マキアはもう、過去に巻き戻されることを望んではいない。自分以外にも、失いたくない大切な人たちを手に入れてしまっている。いつしか、置いていかれているのは自分の方なのだという現実を、この青年は実直に直視ししている。目を背けることも否定することもなく、事実をそのまま受け入れいている。締め付けられるような寂しさに苛まれながらも、大切なお嬢に掛け替えのない友人たちが出来た事を素直に喜び祝福できるトールは、だからこそイイ男なんだよなあ。
でも、トールは少し勘違いしている。あの懐かしい日々に戻りたいともう思っていなくても、マキアの進む先にトールがいない事は絶対にないのだから。マキアがもう幼い日々に未練を持っていないのは、過去に抱いていたトールへの想いよりももっともっと今のほうが熱く強く限りないものを、今のトールに抱いているから。
過去に戻りたいと思わないのは、それだけトールとの関係に新しいものを、もっともっと先に進んだものを、求めているからなんですよねえ。
ネロやラピスやフレイに抱いている特別と、トールに注がれている特別は、根本的に違うものなのだということを、まだトールはよく感じ取ってはいないのだろう。
それは、これから穏やかに二人の時間を紡いでいくことで、ゆっくりと育てていくべきものだったのかもしれない。
しかし、世界の運命はそんな悠長な時間を彼らに与えてはくれなかった。

急転直下、平和だった時間はあまりにも突然過ぎる魔物たちの襲来に寄って打ち砕かれる。お祭りみたいな試験の結果発表会が、突如行われた帝国による侵入工作によって争乱の只中へと放り込まれたのだ。
そんな混乱の渦中で明らかになる、ラピスのトワイライト一族の生き残りとして抱く自分を見失うほどの復讐心、そして謎深かったネロの正体の一端が明かされることになる。
いずれにしても、彼らを取り巻く状況はとめどなく加速を続け、もう戻れない所まで押し流されていってしまった。たとえ、この争乱をくぐり抜けたとしてももう二度と、あの穏やかな学校での時間が戻らないことを明示するように。
白の賢者の生まれ変わりとして、ついにそのベールを脱ぐユリシス先生。そして、彼に導かえるように、かつて扉の向こうの魔法使いと呼ばれた偉大なる魔人たちの目覚めの時が迫る。

そんな中でこれまでダメさ加減を晒し続けていたアイリが、ついに救世主として立つ。夢見る少女としてではなく、現実に向き合い恐怖に震えながらそれでもなけなしの勇気を振り絞る、只人の救世主として。皆の希望として、皆の怯えを引き受ける柱として、マキアとトールに本当の意味で向き合える人間になるために。
思わず頑張れ、頑張れ、と応援したくなるようなアイリの奮起は、彼女の成長は、この物語の大きな柱の一つなのでしょう。

いずれにしても、次の巻こそがこのメイデーアをめぐる物語の本当のはじまりになるのでしょう。いや本当にいいところで終わってしまったので、早く続きを出してくれないとたまんねーですよ!