【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6】  大森 藤ノ/ヤスダ スズヒト GA文庫

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「ヘスティア、君に『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を申し込む!」 「な、なんだとアポロン!?」  『戦争遊戯(ウォーゲーム)』──対立する神々の派閥が総力戦を行う神の代理戦争。勝者は敗者の全てを奪う。そして敵神の狙いは──「君の眷族、ベル・クラネルをもらう!」 戦争開始まで期限は一週間。更に追い打ちをかけるように今度はリリが【ソーマ・ファミリア】に捕らえられてしまう! もはや絶望的な状況。それでも少年と『出会い』、幾多の『冒険』を経た絆が今ここに集結する。全ては勝利のために! 「上等だ、アポロン! 僕等は受けて立ってやる、この戦争遊戯(ウォーゲーム)を!」 これは、少年が歩み、女神が記す、──【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】


年の暮れということもあって、部屋を掃除ならぬひっくり返していたら、これを発掘。比喩ではなく発掘。これを読めていなかったがために、シリーズここで止まっちゃってたんですよね。
一応アニメでは視聴したんだったか。なので、話の流れは知っているのだけれど改めて小説で読み直し。
とりあえずアポロンはクズ野郎、でいいんですね。いいですね?
少年大好きヤベえやつなアポロン様は、最近名を馳せてきたベルくんが可愛い美少年兎であることをイイことに見初めてしまい、ヘスティアから奪ってしまおうと策略を企てるのでありました。
元々、欲しい男の娘や女の子がいたら、強引に他にファミリアに因縁しかけて嫌がらせをした挙げ句に目的の男女を奪ってしまう、という悪行を重ねていたアポロンさま。
神話においてアポロンにえらい目にあわされたダフネやカサンドラが、彼のファミリアに所属しているというあたりにこのファミリアの因業を感じる。
これ、ファミリアに力があれば弱小ファミリアに何シてもいい、というオラリオの状況って結構酷いですよね。ギルドの縛りとかガネーシャファミリアによる治安維持活動なんかがあるにしても、ヘスティアファミリアへの嫌がらせを通り越したヤクザの詰めみたいなのを真っ昼間に堂々とやっても咎められないのって、つまりほぼやりたい放題。
これから逃れるには、大人しく傘下に入るか他のヤクザ……もとい大手ファミリアの傘下に入るしかないんじゃなかろうか。ギルドは罰則なんかあっても、積極的にこれを掣肘するような意思も戦力もないみたいだし。
ほぼ、ヤクザに牛耳られた悪徳都市みたいなものじゃない。
神様たちは、これに眉をひそめるどころかむしろやんやと喝采をあげて、盛り上げるばかり。神たちの無責任さが伝わってくるお話である。
むしろ良識ある神様は、自分のファミリアへの影響や立場を考えて積極的には動かないし。
もちろん、助けてくれる神様たちもいるものの、そういう立場の柵がないか少ないからこそ動ける少勢力なんで、なかなか大勢には影響を及ぼせないんですよね。タケミカヅチもミアハも、ヘファイストスも。
ヘスティア様に人望がない疑惑w いやまあそんな事ないよね。むしろ、神々のある種突き放したような関係性の中で、これだけ手助けしてくれる神様たちがいる、という事がヘスティア様の人望を物語っている、かもしれない。
まあ、人望についてはやはりベルくんなのだけど。
戦争遊戯(ウォーゲーム)において、先だってベルと何度もいざこざを起こして衝突したモルドなんか、今や完全にベルくん派になっててベルくんにえらい金額賭けて応援してたしなあ。あれはなんというか、微笑ましかったw
ともあれ、窮地に追い込まれオラリオで行き場をなくし、敢えて不利な『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を受けることで死中に活を求めるベルくんとヘスティア様。
あの『戦争遊戯(ウォーゲーム)』の対戦方法のクジ、本当に偶然なんだろうか。ヘルメス様、いい神様に見えるんだけれど常に胡散臭いからなあ。でも、ここまではずっと味方なのは間違いないんですよね。腹になにを抱えているにしても。ベルくんがアイズとダンスできたのも、ヘルメスさまの手助け以外のナニモノでもないわけですし。
ファミリアとしては助けられないものの、ベルくんを鍛えるという形で最大の応援をしてくれるアイズにアマゾネス姉妹。毎度のごとく、ベルくんのピンチとなれば真っ先に駆けつけてくれるお助けリューさん。
そして、自分のファミリアを離脱してヘスティア・ファミリアに入ってまで、ベルくんを助けたいとするリリ、命、そしてヴェルフの兄貴。かつてリリの人生を踏み外させた神酒の魔力にも抗って、発狂しかねない魅力を振り切って、ソーマになしをつけてみせたリリもさることながら、師であるヘファイストスに義理を通して、友のため自らの意地も捨てて、封じた魔剣をも開放して戦いに参加するヴェルフ兄貴がカッコいいのなんの。
ヘファイストスさまも、これは誇らしく送り出しますわ。むしろ、自分がベルのもとに駆けつけることこそ、貴女の心に叶うでしょう、とまで言われたらねえ。貴女の心意気、在り方を尊ぶからこそ、自分はかっこよく言われるんだ、とされたら、もうきゅあーーっと来ちゃうじゃないですか。
嫁が八人くらい居てもおかしくない漢じゃねえですか、兄貴は。

こうやって、絶対不利の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』に、ベルのために参陣結集してくる得難い仲間たち。これはやっぱり燃えますわー、ちりちり鳥肌立ちますわー。
こういう盛り上げ方に関してはやっぱり本家小説は練達ですよね。魅せ方というものを、心得ている。それぞれが最大限の役目を果たし、堅牢にして敵の数こちらの何十倍という敵城塞を一気呵成に突破する攻城戦の一部始終、手に汗握る面白さでありました。
そりゃ神様たちもやんやと喜び盛り上がるわなあ。ベルくん、ほんと戦い方が魅せますし。

ベルとヘスティアさまの二人きりだったヘスティア・ファミリアの、ここからが本当の活動開始。
頼もしい仲間たちが加わっての、物語のスタート。その号砲として、実に良いカマセっぷりでありました、アポロンw

大森藤ノ・作品感想