【ウマ娘 シンデレラグレイ 1】  久住 太陽 / 杉浦 理史/伊藤 隼之介 ヤングジャンプコミックス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER
寂れたカサマツの地に現れた、ひとりの灰被りの少女。後に“怪物”と呼ばれるその少女は、どこを目指して疾るのか──。地方から中央の伝説へ。青春“駆ける”シンデレラストーリー、出走!!


【芦毛の怪物】、そう呼ばれた馬がいる。
その馬は地方競馬の笠松競馬で無敵を誇り、やがて中央競馬に移籍して、並み居るエリート馬たちを蹴散らしていくことになる。
その馬の名はオグリキャップ。
これはその怪物の名と魂を受け継いだウマ娘の、灰色の髪のシンデレラの物語だ。

今現在、二期を放映している【ウマ娘 プリティーダービー】にて大食いキャラとして人気を博す彼女。ただ彼女の活躍の場は主に食堂であって、オグリが走る姿をアニメで見ることは殆どない。一期が98年から99年代のスペシャルウィーク、二期が91年以降に走るトウカイテイオーを主人公としているため、1988年から91年にかけて活躍したオグリは世代がもう少し前になってしまうため、どうしてもレースシーンからは離れてしまう。
オグリキャップの走る姿を見れるのは、このシンデレラグレイだけ。そう思えば、なんだかワクワクしてくるじゃないですか。
そしてこの漫画のウマ娘たちが走る姿の描写はスピード感と迫力の相俟った、ゾクゾクするような存在感が味わえる。オグリの怪物伝説のはじまりが、ここに在る。
華やかな中央のウマ娘たちの育成学校と違い、このカサマツはどこかしなびていて施設も古くうらぶれた空気を醸し出している。そんな中に新入生として現れたオグリキャップは、他のウマ娘たちと比べても見すぼらしい格好で、薄汚れたジャージとボロボロのシューズ、泥だらけの身なりで悠然と現れる。その姿はまさに灰かぶり。しかしその堂々とした姿には怖じた気配はどこにもない。
鈍いくらいのぼんやりした性格は、闘争心すら感じさせない。ただ走ることが楽しい。レースの意義も何も知らない彼女は、最初それだけで満足だったのかもしれない。
でも、オグリの走りに星の輝きを見出したトレーナーによって、レースの醍醐味を教えられ、そしてカサマツ競馬においてのライバル、フジマサマーチとのレースでの敗北によりはじめて負ける悔しさを知り、マーチによって競い走る楽しさを知った彼女は、目指すべき頂きを知った彼女は。
フジマサマーチに宣戦布告を叩きつける。
ポーカーフェイスのオグリが見せる、静かながら獰猛な笑みと闘争心。
それはきっと、オグリがはじめて勝ちを望んだ瞬間であり、怪物伝説のはじまりだったのだ。

そのはじまりに呼応するように、カサマツの地にカノジョが現れる。
やがて、オグリの前に最初に立ちふさがる壁となる最強のライバル。
故郷を失い、自身今はまだ敗戦を繰り返し底辺で燻り続けるもう一人の芦毛のシンデレラ。
やがて彼女はこう呼ばれることになる。

 【白い稲妻】タマモクロス