【いっつも塩対応な幼なじみだけど、俺に片想いしているのがバレバレでかわいい。1】  六升六郎太/ bun150 HJ文庫

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こうちゃんのこと 大・大・大好きだけどバレてないから問題ないよね

《今日こそ、こうちゃんに告白するんだから! 》

特にモテる訳でもない男子高校生・二武幸太(にたけこうた)に、いきなり聞こえてきた声。
それは、いつも彼にそっけない態度をとる幼なじみ・夢見ヶ崎綾乃の心の声だった!
綾乃が自分にベタ惚れなんて全く知らなかった幸太だが――。

《本当はこうちゃんの方から話しかけてほしかった……。》

いきなり筒抜けになった綾乃の片想いに彼女を意識しだす幸太。
しかしそこで「心の声」の意外な副作用が見つかって――!?

タイトルぅ!! 足りない、このタイトルだと肝心の部分が抜けてるんですけど!
バレバレなのは決して態度が実はわかりやすい、とかではなくあらすじにもある通り、サトリさながらに異性の声が聞こえるようになってしまったため、なんですね。
それだけなら、表向きとは裏腹に幼馴染が本音では自分のこと好きで好きでたまらなくて、そんな素直になれない彼女が可愛くて仕方ない、という聞こえてくる心の声をうまく活用してすれ違いのないようにちゃんと相手の本当の意を汲んでひたすらイチャイチャしてダダ甘なラブコメをやりましょう、てなりそうなものなんですけど……。
ここに、詐欺よろしく契約書の隅っこに見えないような小さな文字で書き記してあるが如く、大事な続きが……。

但し、告白されれば死にます。逆に異性からの好感度が下がりすぎても死にます。学校から転校退学しても死にます。無関係の人に知られても死にます。

死にます!

……無理ゲーだぁーー!!

異性の心の声が聞こえるようになった代償がこれである。
ちなみにこの能力、主人公の幸太くんがたまたま見かけた交通事故に遭いそうになった猫をとっさに命懸けで救った恩賞として、猫の姫神様がくれた神様アイテムによって付与された能力である。
いや別にそんなつもりじゃなかったので要りませんて、と固辞してる幸太に強引に与えたものである。
……幸太、何にも全然一つの悪くないやん!!
なんでこの子、こんな酷いを通り越したえげつない目にあってるの!? 恩を仇で返すどころじゃないよこれ!?
まだこれ、猫神様に悪意があった邪神とかなら納得もいこうというものなのですが、猫姫様も詐欺紛いの宣伝に騙されて購入したもの、という酷いオチ。いやこれでまだ猫姫さまが罪悪感から一生懸命この呪いを解くために奔走してくれるならいいのですけど、このくそ神様、あっさり飽きて知らん顔しだすわ、説明書の解読サボってるの怒ったら逆ギレするわ、ちょっとガチで殺意湧いてくるんですけど。むしろこの呪いをかけてきた嫉妬の神様とやらよりも、猫姫さまのほうに怒りが煮立ってきたんですけど。幸太がなにか悪い子とした報いでえらい目あってるならともかく、善いことをした上に望んでもいないのにあんたが強引に押し付けてきたもので彼、こんなえらい目にあってるのに、その態度はなんだーー!!
幸太くん、メチャクチャ良い奴なので、余計に腹が立ってきてしまいました。もう、幸太が助けた猫の白夜を変わりの猫神さまに昇神させて、この駄猫は放逐してしまえればいいのに。

んでそう、幸太めっちゃいいヤツなんですよ。
いきなりわけのわからん理由で自分の命がやばい、という状態になりながらこの子自分のことばかり考えずに、むしろ心の声を通じて知ってしまった幼馴染や親友の境遇に心痛め、心配し、彼女らが傷つかないように一生懸命立ち回るのである。
……このヒロインたちが、また色んな意味で「やべえ」娘らなので、幸太の配慮を全力で明後日の方向にぶん投げて自爆していってしまうのですが。
気持ちが、気遣いが、配慮が、心配りが、これっぽっちも通じねえーー!!
幸太、心の声が聞こえているから本来ならその場に応じた最的確の行動や言葉選び、選択肢を選んでいるはずなのです。実際、幸太の行動はこっちから見ても最も無事に着地させようとしている行き届いたものだと判断できるものばかりでした。幸太がんばった、ほぼ無茶振り同然の反応を要求されていた場面にも関わらず、超頑張って配慮した。気遣った!
 
それらを全部地面にぶちまけて台無しにしていくスタイルの幼馴染の綾乃とクラスメイトのみずき。
こ、こいつらわー
特に綾乃の方は本性が完全にストーカーな上に妄念にとりつかれた変態という、ヒロインとしてそれもうアウトなんじゃないですか? というあれな心の声を垂れ流しにしちゃってるんですよね。
幸太、よくドン引きしてそのままズリズリと後ろにさがっていってフェイドアウトしちゃわないよなあ、と感心してしまうほどの変質者っぷりですし。
この幸太くん、決して呪いの制約があるから仕方なく綾乃に付き合っている、という事は一切ないんですよね。ここまでやべえ妄念を常時浴びせられている上に、色々とやべえ彼女の妄想手帳の中身までばっちり見ちゃったにも関わらず、むしろ気を遣ってあげるところとか、この子聖人じゃないだろうか。義務感や親切心といったよそ行きの心配りでもなく、本当に綾乃に親身になって彼女に心寄せてるんですよね。幼い頃に、綾乃に妹ともども兄妹が一番苦しかった時に心救われた、人生そのものを救われた事を今でも恩として大事に抱え込んでいるし、アレな内面はともかくとして小説家の母と真剣に向き合い、自分の夢と掛け合わせてひた走っている綾乃の事を本気で尊敬もしてるんですよね、彼。
だから綾乃が家庭環境のこともあって追い詰められた時に奔走しているとき、幸太は自分の命の危機に関しては殆ど考えていないんですよ。あんまり入れ込んで彼女のこと助けてしまうと、余計に惚れ込まれて告白されてしまう危険性は、致命的なほど高かったにも関わらず、その危険性を無視して綾乃の苦難を取り払おうと走り回るのである、この子は。
そりゃ、惚れられるよ。めちゃくちゃ良い奴であると同時に、イイ男なんだから。
綾乃はそんな彼にずっと一途だったわけですから、男見る目はありますよ。まあ、男を見る目云々の前に、自分のその性癖というか人間性というか、妄想に殉じて生きてるようなネチャネチャした性質、なんとか治した方が良かろうに。もう手遅れっぽいけれど。もう駄目だわ、この娘。
残念ながら、幸太くん器が大きすぎて、こんなヤバいのですらあっさりと受け入れてしまいそうなのがなんともはや。
いや、呪いのおかげで受け入れられなくなってる現状なのですが。

しかしこの呪いって……言っていいのかな? 愛の告白を「されたら」死ぬって言うのなら……ねえ?
これは抜け道、あるのかな?