【犬と勇者は飾らない 2】  あまなっとう/ヤスダスズヒト オーバーラップ文庫

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元勇者(無職)、逮捕――そして【猫組】へ

勇者として異世界に召喚され、魔王を倒したのちに数年ぶりに帰還した佐藤草介――小卒、無職の18歳。
魔術学校の教師だった土村の企みを阻み、幼馴染のこづみとのすれ違いも解消して、全て元の日常に……と思った矢先、草介は無免許魔術師として逮捕されてしまう。
そして「実は俺、異世界で勇者やってたんですよ」と自供し、おちょくってると判断され無事牢屋にぶち込まれるのだった。
そんな草介の前に現れたのは、世界に6人しかいない「天位魔術師」の1人【不死猫】ナイン。
彼女は草介に釈放をかけた勝負を持ち掛けてきて……?
前科一犯となった勇者の拳が炸裂する最強ヒーロー譚、待望の第2巻!!

……あれ? 終わった? 終わっちゃったよ? 2巻、終わっちゃったよ!?
草介が無免許魔術使用の罪で逮捕されてしまい、お目溢しを貰うためにナインの引きで彼女のチーム「猫組」に参加して、いざこれから何がはじまるんだ? というところで終わっちゃいましたよ!?
いや、真面目にまだ序盤のつもりで普通に読んでた所に、いきなり「あとがき」のページが現れたんで、一瞬マジで固まってしまいました。電書だと残りページって確認しない限りは出てこないので全然気づいてなかったんですよね。
2巻のページ数そのものがめっちゃ少なかったのかとも思いましたけれど、多くはないけれど特別少ないわけではないというページ数で、まあ普通くらいだったんですよね。一冊分丸々読み進めていたにも関わらず全くそれだけ読んでいるつもりがなかった、というのはそれだけ本に没頭していたという事でもあるのでしょう。
実際、時間を忘れて読み耽っていたわけですし、特に派手なイベントが起こっているわけでもなかったにも関わらず、面白! オモシロ! と思いながら読んでましたし。
いや、なんかこう文章が楽しいと言うか妙な癖があって面白いんですよね。イラストレーターにヤスダスズヒトさんを持ってきた人、ストライクなんじゃないですか。この絵師さんの絵柄にむっちゃあったノリですし。
でも、それにしても余りにも話途中でぶった切りすぎというか、これ起承転結の承どころか下手すると起の部分ですよ。いや、さすがに承には差し掛かってるか。【猫組】に入ったわけですし。でも、話の展開からして【猫組】参加は起の部分に含まれてても全然おかしくないと思う。
なにしろ、どうしてナインが草介を猫組に誘ったのか、その理由がまったく明かされないまま、目的がわからないままなのですから。草介からしたら、いきなり無免許とかで知らない罪で逮捕されてしまい、どうしたもんかと思ってたらナインに声かけられて仕方なく、じゃあ参加します、って加わった……というだけの所ですからね。こいつ、現状何もしてないしあんまり考えてないぞ、いやバトル二回ほどしましたけど、ほんと触りだけですし。

とはいえ、ウェブ版の内容をガリガリ削って巻いて巻いて一冊に収めろ、なんぞして欲しくもないので、これは仕方ないと言えるのかも知れませんけれど、せめて上下巻表記にはしてほしかったかな。それなりに読む前から気持ちの覚悟も固まっていたでしょうし。

さて、世知辛いことにこの現代地球、世界魔術機関アルテリアの統制はかなりの規模で及んでいるらしく、無免許のモグリの魔術師とか存在自体許されないらしい。というか、アルテリアが関知していないところで高レベルの魔術の習得なんぞ不可能、という所まで至っているというのは何気にすげえ。
そりゃ、そんな中で無免許であんな規模で魔法ぶっ放す存在とか、見逃すわけにはいかないのだろうけど。成果をあげたから無罪、なんてのは法がちゃんと敷かれていない証拠なんですよね。
なもんで、普通に逮捕されてしまった草介。いや、マジで普通に逮捕されてるしw 拘束とか捕縛じゃなくて、警察に逮捕されました的な。ニュアンスの違い、わかってもらえるだろうか。
前科一犯というのも洒落ではなく、ちゃんと表の世界でも公式に履歴にばっちり付いちゃうらしい。
正式に、無職で前科一犯になってしまう草介。ただでさえ、異世界で何年も過ごしてしまい、帰ってきたら学歴も家族も何もかもなくなって、バイトで糊口を凌ぐ日々なのにさらに前科までついた日には……。まあ、焦るよね。
というわけで、なんかアルテリアでも偉くて最強の一角にいるらしい不死猫・ナインの誘いにウマウマと乗ってしまうのだ。
彼女のチーム「猫組」は少数精鋭で有名な強力な魔術師チーム、なんだけどどうしてナインが草介をかなり強引にアルテリアに対して横紙破りをしてまで引き込んだのか、その理由がまだ全然わからないんですよね。おまけに、家庭問題で留学させられそうになったこづみまで、草介のオマケなんだろうけど、猫組に入れているし。
取り敢えず猫組に参加することになって、戦力評価試験的に最初の任務をこなして、チームメイトとも面通しして、というところで終わってしまったので本気でナインの目的とかわからないまんまなんですよ。それに纏わる伏線とか情報も殆ど出ていない段階ですし。なので、物語の展開の方は先の巻が出てから、だなあ。

幼馴染とはいえ、お互い今の立場が違いすぎてこれからどう接触していくのか難しそうだったこづみと一緒にチームになれたのは、ラブコメ的にも幸いだったのでしょうけれど。
幼馴染というのは、幼い頃から自分の家の事は明かさずにいたこづみとは何もかも共有している存在とは言えないし、さらには思春期のいちばん大事な時期にずっと草介が行方不明だったこともあって、なかなか関係難しい所もあったんですよね。でも、草介がこづみの留学話を聞いてわりと素直に「いやだな」という気持ちを自覚できたのは良かったんじゃないだろうか。そこには彼女とできるだけ一緒にいたいという気持ちがある証明なのですから。
さっぱりしすぎてどうにも割り切りが良すぎるというか、情が厚く侠気がある一方でヘヴィな自分の境遇にもサバサバしているように、執着とか薄そうな草介がこづみに関しては微妙にでも「じっとり」とした湿度とか粘度のある感情がある、というのは良い事だと思うんですよね。
この調子で二人にはぐいぐいと行ってほしいなあ。
というところぐらいしかあんまり触るところがないぞ、ほんと話がまったく進んでいないものですから。というわけで、続きはなるべくお早めに、お願いしたくありますねえ。