ああ、凄い!
あれだけ熱いライスシャワーの物語を描いておきながら、この一話で一気にトウカイテイオーが主人公の物語へと引き戻してみせた。


レースを走る意義を取り戻し、もう一度ライバルであるメジロマックイーンと走るために宝塚記念を目標に練習を重ねていたトウカイテイオーに襲いかかる、三度目の怪我。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話3

三度目の骨折。


もう三度目だからこそ、経験を活かし、すぐに復帰に向けてリハビリに取り掛かろうとするテイオーに、医師が発したのは……貴女はもう、全盛期のパフォーマンスを取り戻せないでしょう、という実質上の引退勧告。

それでも諦めず、笑顔を貼り付け、元気を装い、震える声を弾ませて、もう一度あの真剣勝負へと挑むために、マックイーンと走るために前へと進み続けようとするテイオー。
そんな彼女を労るように、世間はテイオーのかつての栄光を讃え、称賛し、既に終わったことのように見送っていく。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話4
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話5


仲間であるスピカの面々はテイオーを信じて、はじめてテイオーが怪我をしたときと同じように復帰に向けた手厚いサポートをしてくれる。戦友であるウマ娘たちも、テイオーが諦めないと信じている。
そして、先に行って待っていると、貴女が来るのを待っていると謳うマックイーン。

はじめて骨折してクラシックを棒に振った時、挫けそうになるテイオーを支えてくれたのは仲間たちだった。世間の期待だった。同じレースを走るライバルたちの、誇り高い走る姿だった。
テイオーに勇気をくれた、心折れそうだった時に未来を吹き込んでくれたそれらが……。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話6

今このときはテイオーを逆に苛む。彼女を追い詰める。
もうテイオーもわかっているのだ。二度骨折を経験したからこそ、この三度目がどんな意味を持っているのかを。
そうして、一番の充実期を迎え最高の走りを見せるマックイーンの走る姿の美しさに魅入られた時、
「ああ、速いなあ。まるで翔んでいるみたい。なんて綺麗なんだ」

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話8

競い合う相手としてではなく、ただその綺麗さに見惚れてしまった時、
どうイメージしても自分ではもうマックイーンには追いつけないと理解した時。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話7

トウカイテイオーは微笑んでいた。
ずっと貼り付けていた仮面のような無理を固めたような笑顔ではなく、
柔らかく自然に浮かんだ微笑みを。

もう、自分の脚は二度と、あんな風には走れないのだと。
トウカイテイオーは終わったのだと。
マックイーンと一緒に走ることは、もう出来ないのだと。
微笑みながら、涙する。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話8.5

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話8.51

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話9

止められないストップウォッチ、止まってしまった彼女の時間、止まらないあふれる涙。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話10

「ごめんね、マックイーン」


君と交わした約束は、もう果たせない。


トウカイテイオーの伝説、その最終章。それは今度こそ彼女の心折れ砕け散ったその時からはじまる。


ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話1

かつて日本中を沸かせたトウカイテイオーの三冠ロード。それを過去に押し流すように、新たな世代の風が吹く。
その年、三歳クラシック戦線は「BNW」と呼ばれる三人のウマ娘たちの攻防に燃えていた。

「BNW」……それは、かつての世間を熱狂の渦へと巻き込んだ「TTG」
【天馬】トウショウボーイ、【流星の貴公子】テンポイント、そして【第三の男】グリーングラス
この三強時代を彷彿とさせる新たな三強の時代の到来を革新させる、三匹の名馬たちによるクラシックの戦い。その中でも伝説とされる「熱狂の2分25秒」。ナリタタイシン、ウイニングチケット、そしてビワハヤヒデの三頭によるデッドヒート。
93年日本ダービー。

騎手としてもう晩年、一流として謳われ都合18回ダービーに騎乗しながら一度として先頭でゴールを切れないまま19回目を迎えた柴田政人。
そんな彼に、マサトにダービーを獲らせるために天から遣わされた、と語られるウイニングチケット。
ウイニングランで、チケットの名前がスタンドからコールされたのは、この時の「政人」コールが由来である。

そしてこの中で唯一G1の栄冠を勝ち取れずに菊花賞を迎えることになるBNWのビワハヤヒデ。
やがて、ターフを去ったメジロマックイーンの代わりに最強の名を恣にする芦毛である。


ウマ娘 プリティーダービー Season 2 9話2


天皇賞春のあと、安田記念・宝塚記念というスケジュールでレースに参加すると語ったイクノディクタス。その安田記念がこれである。イクノディクタスは惜しくも二着。
勝ったのは前年に引き続き安田記念を連覇ということになる「ヤマニンゼファー」。
短距離界の覇者サクラバクシンオーが覚醒する前、フーちゃんことマイルの女王ノースフライトが現れる前。
スプリンターズSをはじめとして短距離界でニシノフラワーと激闘を繰り広げ、安田記念を二勝。
さらには2000メートル中距離の天皇賞秋までも制して見せた中短距離界の雄。
「そよ風(ゼファー)と呼ぶには強烈すぎた」と謳われた烈風である。
この馬もG1三勝二着2回という名馬なだけに、ウマ娘入りも期待したいところなんですよね。
本作中でも名前呼ばれなかった、というのは名前を変えられての登場ではない、ということなので可能性は無くもないんじゃないかなあ、と思いたい。