マックイーンが泣いてる。あの、あのマックイーンが泣きじゃくってる。
声を上げて泣いている。人前で。トウカイテイオーの前で、泣いている。
もう走れない。脚が動かない。貴女との約束を果たせない。
もう一緒に走れない。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話1

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話2

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話3


うわぁぁ、あああ、あああ。

左前脚部の繋靱帯炎。それは現代においてなお、不治とされる怪我。屈腱炎なら、長く時間がかかるものの近年では治療法が確立されてきて、復活する馬も出てきている。
でも、繋靱帯炎はほんとにダメなんだ。これが発覚するとまず再発リスクの高さも相まって復帰叶わずに引退となってしまう。名だたる名馬たちが、この繋靱帯炎によって引退している。
最近でも菊花賞、天皇賞・春連覇をしたフィエールマンが今年に入ってすぐ、繋靱帯炎を発症して引退種牡馬入りとなってしまった。

メジロマックイーンもまた、出走予定だった天皇賞・秋の四日前に繋靱帯炎が発覚することになる。



あまりにも悲痛で、あまりにも絶望的で、心が折れてもう立ち上がる事すら出来ない。
このときのマックイーンの気持ち、一番誰よりも理解できたのは、共感できたのは誰あろうトウカイテイオーだっただろう。
だから、私はテイオーも一緒に泣くのだと思っていた。立ち上がれないマックイーンを抱き締めて、一緒に泣くのだと思ってた。
泣いて泣いて一緒に共に泣きつくして、想いを重ね辛さを重ね運命の残酷さを共に嘆き、その上でテイオーはマックイーンを立ち上がらせて彼女に約束するのだと思っていた。
今度はボクが君の代わりに先で待っている、と。

でも、トウカイテイオーは泣かなかった。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話4

トウカイテイオーはマックイーンに寄り添わなかった。
彼女を抱きしめなかった。一緒に涙を流さなかった。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話5


膝を付き、手を添え、マックイーンの手を取って、しかし手を握って引っ張り上げることはせず、そのままそっと離すと、テイオーはマックイーンに背を向けて、もう振り返ることなく歩いていく。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話6

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話7

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話8

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話9

ああ、そうか。そうだった。テイオーとマックイーンは仲間だった、親友だった。でもそれ以上に彼女たちは競い合うライバルだったのだから。
立ち上がるなら、自らの脚で。追いかけてくるなら、その自らの脚で。
その闘志は透明ですらあった。奇跡は存在するのだと証明するために、もう一度共に走れる未来があるのだと、それを否定する運命を蹴り飛ばすために。

ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話10


93年有馬記念。トウカイテイオー、奇跡のラストラン。
伝説が今、はじまる。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話11



それはきっと、どう描こうと感動的なものになっただろう現実世界における非現実的なほど運命的なシナリオ。それを、ここまで、ここまでのものに仕上げてくるなんて。
トウカイテイオーひとりの復活劇としても、これまでの幾度もの挫折を思えばとてつもない話になったでしょう。それがここまでのものになるなんて。
マックイーンとのたった一度の対戦。たった一度しか走らなかったにも関わらず、ライバルと位置づけてこの二期を構成した、その意味を見事なまでにここに結実させてみせた。
有馬記念へと向かうテイオーの想いに、これほどまでの理由付けをしてみせるなんて。
ちょっと、凄すぎる。本当に、凄すぎる脚本であり構成だ。すげえ、すげえ。

そしてトドメのED演出。これまでのテイオーとマックイーンの立場がひっくり返ったのをこれほど完璧に知らしめる演出の、この凄さよ。もうすげえわ。すげえわ、傑作以外のなにものでもないわ。
ウマ娘 プリティーダービー Season 2 12話12



ここのトウカイテイオー、本当に王子様のようなんですよね。凛々しく涼やかで決意を静かにたぎらせている様子が、あまりにも格好いい。
そして、お姫様のように儚く美しいメジロマックイーン。でも、彼女たちは王子様とお姫様ではなく競い合うライバルだった。だからこそ、だからこそ、テイオーはその背中をマックイーンに見せ続けるのだ。今までずっと、彼女がそうしてくれていたように。

ああ、次回は最終回、最終回だぞ。かつて、これほどまでに神回が約束された最終回があっただろうか。そして、いつだってこの作品は、予想も想像も確信すらも越えた物語を見せてくれる。
来週が待ち遠しい、を通り越して放映時間まで一切の無でありたいと思ってしまうほどただただこの作品のことだけ想っていたいよ。