【王女殿下はお怒りのようです 6.戦地に舞う銀風】  八ツ橋 皓/凪白みと オーバーラップ文庫

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自軍の劣勢を覆し、悪しき野望を砕けーー! !

隣国・イーリス帝国との同盟が突如破棄され、緊張が走るプラティナ王国。
冬期休暇が終わり、進級した学生たちに不安が伝播していく中、帝国の侵攻により戦争が始まってしまう。
国王の命により、前線に駆り出されたレティシエルは、別ルートで戦地へと赴いたジークと共に、敵国の用いる謎の兵器を研究・改良。王国側の戦力増強に成功する。
だが帝国は、呪術によって力を得る代わりに体が蝕まれていく兵士達を戦場へ投入。
二人を嘲笑うように、戦況は混迷を深めていく。そんな中、戦地を舞い、敵を次々に無力化するレティシエルにも異変が起こり始め……?
シリーズはじまった当初、レティシエルが目覚めた時、この娘まったく周りの環境にも今世の自分であるドロッセルという少女にもその人間関係にも興味も関心も持っていなかったのが、今や友人も沢山でき、プラティナ王国という今を生きて過ごしているこの国にも愛着を抱き、この国を守るために戦地に赴く事を迷わない、というのはやはり感慨深いものがあります。
突如、帝国との関係に緊張が走り始め、にわかに戦雲が立ち込め始める中、畳み掛けるように国王陛下の不予。前巻で不吉と言われる赤い目の持ち主の寿命についても触れられていましたけれど、こんなに唐突に理不尽に訪れるものだったのか。この間まで全然なんともなく元気な人柄を見せてくれていただけに、たった数ヶ月で病み衰えた姿を見せられたのは結構なショックでありました。
さらに、いきなり陛下の健康が目に見えて悪化したお陰で後継者問題が持ち上がるわけです。
ただでさえ王太子だったロシュフォードが大問題を引き起こして廃嫡された上に記憶喪失にまでなってしまった直後。第二王子のライオネルと第三王子のエーデルハルトは二人共優秀だし仲も悪くなさそうなので、普通にライオネルが後継者になるのかと思ったら、母親の身分が低いという障害がある上に本人も闇抱えてそうじゃないですかー。ちょっとこれ相当に不穏なことになってきましたよ。
こんな状態で帝国と開戦だなんて、絶対やばい、と思ったら帝国の方も内部で相当に揉めているらしく、開戦派と非戦派で激しい対立が起こっていると。お陰で帝国の侵攻も独断専行の卦が強いようで辛うじて王国も戦線を維持できているようですけど。
どうにも各国ともに内憂が起こっているようなんですよね。それが偶然とは思えないのがなんともはや。帝国の主戦派には白の結社の関与が伺えるし、先のラピス國では明確に国政に深く結社が関与しているようなので、ほんと結社が国際的に暗躍してるんですよね。

ストーリーは、かつての大戦の英雄再び、とばかりに前線に決戦兵力として投入されたレティが大暴れ。ここで勿体ぶらずにレティに参陣を要求する王様も学園長も腹据わってるし、戦争自体は忌避しながらも戦時とあらば迷わず戦場に赴くレティはレティでさすがは戦乱を戦い抜いてきた歴戦の戦士の心構え、といったところなのでしょうか。ただ強いだけじゃなくて、風格があるんですよね。お陰で現地の将兵からもすぐに信頼を得られることになる。敵兵には容赦ないところも戦乱時代の人らしいなあ、と。
正体を隠して、というのは慎重だけれどここまで突出した戦力だと未知でいさせた方が帝国相手にも脅威なのか。下手に調べられて個人を狙われだすと王国の防諜守備戦力では防げない、という考えもあるのでしょうけれど。
でも、現地で敵の兵器やらの研究解析をしてる、というのは危なくないのだろうか。後方に送ってそこで調べて情報をフィールドバックして、というのだとタイムラグが生じて現場対応に遅れが出てしまう、と考えると現地で調べて解析してそれをちょくで現地部隊に反映させて、というのが実際に出来ているのでこれはこれで正解なのかもしれないけど、リスクは高そう。
そんな研究チームにいつの間にか参加していたジーク君。この子わりと何でも出来るよなあ。そのわりに何が出来るのかあまり見せようとしてこなかったところがあるので、ほんと何してるんだろうと謎な部分もあったんですよね。別に隠してたわけじゃないんだろうけど。
そんな彼も、なにやらただの平民ではなく不意にその素性が明らかになることで、レティにとっての重要人物というだけじゃない、国際関係においてもキーパーソンとなってきそうな勢いじゃないですか。エーデルハルト王子、強力ライバル出現ですよ、これ。