【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 2】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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我流の魔法で領地改革を推し進めるサレスティア。弟が増えて俄然やる気まんまんのお嬢のもとへ、突然「意外なお客様」がやってくる。守るべき家族・領民・領地をかけて、一大勝負に出るサレスティアだったがーー!?
史上最善な悪役令嬢の、猪突猛進ほっこりストーリー! 第一回アース・スターノベル大賞佳作受賞作、待望の2巻登場!

あー、ドロードラング男爵領に残っていた面々の中でも年嵩、先代の頃からの住人って凶状持ちが多かったのか。先代とクラウスにとってこの領地に落ち着くことになった彼ら。故郷も帰る家も持たずいつか破滅するまでの人生を歩むのみだった彼らにとって、此処こそが最後の安住の地であったからこそ、地獄と化したあともこの地に骨を埋めるつもりだったのか。そりゃ覚悟も据わっているし、サレスティアへの対応も最初から鷹揚だったのか。サレスティアがハチャメチャに動き出してこの死に絶えようとしていた地を蘇らせはじめたのを見たときは、きっと彼らにとっての恩人であった先代を見るかのようだったのだろう。年嵩の大人たちのサレスティアへの慈愛に満ちた眼差しの意味がようやくわかってきた。ただの古くから土地に根ざした農民や猟師たち、というには懐が深いというか変化や外からくる異物に対して忌避感が少ないな、とは思っていたのですけれど、自分達こそがそもそもアウトサイダーだったというのなら、そういう連中に対しての対処の仕方や理解も深いだろう。そして彼らの抱いている諦観や世を斜めに見ている心の傷も。
領地改革が進むにつれて、スラムからストレートチルドレンたちを引き取ったり盗賊崩れを引き受けたり、とかなりリスクの高い人材を領地に取り込むことになってくるのですけれど、家族同然という間柄になっていた領民たちとの間に隔たりが生じないか、余計な問題を引き起こさないか、など心配の種は尽きなかったのですけれど、なるほど領民たちからして元々がそっち側だった、というのなら安心だわなあ。
そもそもからして、みんなちょっと尋常じゃない所がありましたし。
もちろん、心得違いをしているような輩も出てくるわけですけれど、そういった連中を排除するのでも見過ごすのでもなく、ちゃんと責任を持って正し教え受け入れる、という姿勢に終始しているのはサレスティアの方針もあるのでしょうけれど、ちゃんと実行していることも含めて大したものだなあ、と感心するばかり。
かと言って、そういう余剰人員ぽいぽい放り込んでくる陛下とか、もうちょっと自重した方がいいと思われるよ。
まあ国のトップである以上、ぬるいことは言っていられないというのもあるのでしょう。利用できる所は利用しようという根性はむしろトップとして信頼できる証でありますし。
テーマパーク化が進む男爵領に隙あらば遊びに行けるようインフラ整備までさせようというあたりは、かなり私物化が入ってるような気もしますけど。

まあアンディことアンドレイ王子との婚約を決定したのはグッドジョブ以外の何者でもなかったですけどね、国王陛下。僅か齢10歳にしてアンディ王子性格イケメンすぎますわー。
もうお兄ちゃんとしての風格というか、サレスティアお嬢の自由奔放さをまるっと受け入れる懐の広さ深さが素晴らしいというか。本当にやりすぎたらちゃんと止めてくれたり、さり気なく方向修正してくれたり、とアンディってちゃんとお嬢の事制御出来ているとも言えるんですよね。基本、もう口出しせずにお嬢のやりたいようにするべきだ、とばかりにニコニコと笑ってくれているあたりも素晴らしいですし。むしろ、アンディの腕の中に居るほうが常識はうっちゃりつつもハメを外しすぎずに自由に振る舞えるんじゃないだろうか、お嬢は。それくらい相性がいいというか、お似合いのカップルなんですよね。
いつの間にか、女子力皆無だったはずのお嬢に、恋愛脳とか乙女回路が欠落していそうなお嬢に、ちゃんと年頃の女の子らしいときめきを生じさせるとか、偉人じゃないのかこの王子。
そもそも、あの最悪の両親の処刑(わりとサクッと片付いた)でなんだかんだと落ち込んでいたお嬢の心を慰めてくれたのがアンディなわけで。……王子、尊い。
本来のゲームなら主人公とアンディの仲を邪魔しにかかるという妹姫のレティも、こちらではむしろ婚約推進派。お嬢がお姉様になってくれたら嬉しいな派ですしねえ。
何気に王妃様がたから絶大な支持を得ているあたりも、お嬢の人望というか徳を伺えさせる。兄王子たちからは隔意を抱かれているようだけど、彼らも別に悪い人たちではないようなのでこれ時間の問題だろうなあ。

そんなこんなで、いつの間にかさくっと学園編に突入。学校に入学とか、このお嬢に務まるのか? と思うところだけど務まってるのかこれ? ゲームの主人公たるヒロインの少女も登場したわけですけれど、なんかこの子置かれている状況というか環境が変すぎるぞ?
わりとネアカなテンションでサクサク進む物語ですけれど、個々の登場人物の置かれた環境なんか見ると素でエグい酷いえげつない、といった境遇に置かれてたりするので油断できない本作ですけど、このヒロインの子もいきなりこれ死にかけてないですか!?
そりゃ、お嬢なら放っておけんし見過ごせんわなあ。拒絶とかまったく堪えないでガンガンぶち当たっていく暴走特急っぷりは歳を重ねても衰えず。次回はこのヒロイン、ミシルとの件がメインになりそう。