【幼馴染の妹の家庭教師をはじめたら 3.再会した幼馴染の家庭教師もすることに】  すかいふぁーむ/葛坊 煽 富士見ファンタジア文庫

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両片思いから両思いへ。そして新たな幼馴染、登場!

恋人同士になって甘々な日々を過ごす愛沙と康貴の前に、幼馴染の入野有紀が転入生としてやってくる。男だと勘違いしていた康貴が戸惑う中、美少女になった有紀は、とある悩みから家庭教師を依頼してきて……。

新登場と相成ったもう一人の幼馴染の有紀はとてもおもしろいキャラクターをしていましたね。
引っ越し続きで環境がコロコロ変わってしまった影響で、元々快活だった性格が内気で大人しいものに変わってしまったものの、身体能力をはじめとするスペックは最上級。康貴の後ろに隠れてオドオドとしているような娘でありながら、いざ動き始めたら運動も怪物級というギャップあるキャラで。
惜しむらくは、転校してきたのが一足遅かったということか。既に彼女が来た時には愛沙と康貴はすれ違いを解消して正式に恋人関係になってしまってたわけですから。決着がもうついてしまっている状態からの登場は若干可哀想ですらありました。
愛沙と康貴の関係が再始動する前は、疎遠になってしまって縁も遠くなっていましたからね。あと半年早く引っ越ししてきていたら、有紀にもワンチャンあったかも、と思ってしまいます。
まあそうなったらなったで、有紀も疎遠な幼馴染たちの関係に戸惑い、妹のまなみも立ち回りに迷うことになってかなり違う展開になったのではないか、と想像が捗るところですが。
しかし現実にはそうはならず、有紀は初恋に自分でケリをつけることになるのです。ただ、有紀が恋のために勇気を振り絞る事は殻に閉じこもるようになってしまった自身を、もう一度昔のように前向きに立ち上がらせるための大切な克服と自立の儀式だったのかもしれません。
愛沙と康貴にとっては、秘密にしていた自分達の関係を堂々と表に出すと同時に、誰よりも愛沙を選ぶというケジメの儀式にあたったのかもしれませんが。
愛沙が今回大人しかったのは、それだけ康貴に愛されているという自信があった、かどうかは定かではありませんけど、余裕めいたものを感じられたのは確かでした。有紀の接近にもそれほど焦った様子もありませんでしたし。それ以外の女子に康貴がモテだしている事実に関しては若干焦りを見せていますけど。
そう考えると、単に身内認定した人に甘い、ということなのかもしれませんが。
特に妹のまなみに対してはだだ甘だもんなあ。これは康貴もですけど、まなみに対してのガードのゆるさ低さはただならぬものがあります。まあ、二人が付き合うことが出来たのはもうまなみさんの尽力が一方ならぬものがあったわけで、恩人どころじゃないですからねえ。妹が康貴のことを好きでありながら自分を応援してくれたことへの負い目みたいなものもあり、それでなくても、このお姉ちゃんてば妹ちゃんの事が大好きすぎやしないか、というくらいですし。
まなみの方は、隙あらばいつでも康貴の事獲っちゃうよ? とライバル宣言したにも関わらず、この姉と来たらまなみに対してオープンフリーすぎて、むしろ積極的に隙を見せようとしてるんじゃないか、というくらいの態度なので若干まなみが困ってるくらいなんですよね。
実際、まなみが本気で欲するなら譲ることは出来ないけど康貴の事シェアするくらいは認めちゃうんじゃないか、という勢いでダダ甘ですし。愛沙も康貴も、お互いを大事にしつつ、まなみは絶対に仲間はずれにしない、三人一緒という認識で一致しているだけに尚更にお姉ちゃん乱心しやしないだろうか。
でもそれで獲っちゃえるなら、そもそも二人の間を取り持ってお膳立てしてプロデュースして、とあんなに頑張らないですからね、まなみも。せっかくなのでおすそ分け貰っても全然構わないと思うのだけど。
そう考えると、有紀という第三者の登場は一つの契機だったのかもしれません。このままだと、本当に三人でズブズブな関係になっていきかねない所がありましたし。有紀の告白と、康貴の宣言はそのへんにもケリをつける形になったのかもしれません。まなみも独り寂しくならず、有紀と良いコンビになりますし。

正直、もう康貴と愛沙のお話としては行き着く所に辿り着いたと思うのですけど、まだ続くのか。どうやら周りの友人たちの恋愛模様にも切り込んでいくようだけど。