【魔界帰りの劣等能力者 6.二人の仙道使い】  たすろう/かる HJ文庫

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魔神殺しVS死鳥
二人の超越者が激突する!!

闇夜之豹による襲撃を返り討ちにした祐人たちは、呪いの一件に大国が絡んでいると知る。
にわかに緊張感が高まっていく中、敵の狙いがマリオンではないかと気づいた祐人は護衛役を買って出る。そして、街中にもかかわらず実行された敵の再度の襲撃。
そこには、最凶の暗殺者の姿があった――

「俺は死鳥! その名の通り死を運ぶ、冥府への案内人だ」

襲いかかるは祐人と同じ仙道を用いる最強最悪の敵!! 魔神殺しと死鳥による本気の激闘がここに開演する!!

こうして見ると、祐人って戦力としてほぼ完成しきってるんだよな。仙道使いとしての能力だけでなく、魔界での戦闘経験に大切な人を亡くしている事と自分の存在を忘れられるという呪いを耐えているメンタルの強さも含めて。おまけに最近は神様クラスの契約人外がわんさと周りに集まってしまったために、ほぼほぼワンマンアーミーならぬ一人で一組織並のあれこれが出来るようになってしまっている。
そりゃもう、同じ仙道使いでも引っ張ってこないと敵側も相手にならないんじゃないだろうか。
とはいえ、敵側も一筋縄ではいかない相手ですしあの手この手で状況を絡め取っていくので、祐人という突出したキャラを無理やり不自由にして縛るなんて無作法な真似をして、ストレス感じさせるような展開になっていないのは巧いなあ、と思うんですよね。
こういう強すぎるが故に扱いどころが難しいキャラは、やたらと理由つけて雁字搦めに動けなくしてしまいがちなのですけど、このシリーズでは味方サイドは祐人が最善を尽くすのを邪魔しませんし、無理やり強引な展開で彼の足が止められる展開にもなりませんし、彼が出来る範囲での最短距離を走りつつ、それでも相手の仕掛けと戦力によって一手一手ストーリーとして確実に詰めていく展開になっているのは、物語としてもすっきりとしていて盛り上がりやすいなあ、と。
まあ祐人の場合、本当に最短距離を目指すなら脇目もふらずに契約人外を根こそぎ大動員してしまうという反則もあるので、制限掛けていると言えなくもないのですが。
でも、今回はわりと遠慮なく使える人外動員しての事ですから、結構本気で遠慮なしだったんじゃないかなあ、と。それだけ、死鳥という存在が祐人と拮抗しているという事なのですが。
その死鳥さんですが、この人もまた思惑が見通せないというかスタンスが見えないというか。どうやら家族同然の子供たちを保護という名の人質扱いで確保されているため、意に沿わず敵組織に使われている、という風情なのですが……。
その子供たちの筆頭で死鳥さんを一番心配して心砕いている子が、女の子じゃなく弟分の男の子というあたり、死鳥さんキャラとして硬派だなあ、と思ってしまったりw
これ祐人だったら絶対女の子だぜ、年頃の。
とはいえ、彼もイヤイヤ従っている、という様子でもなく、たとえ人質という担保を確保された上でとはいえ、契約したという事実に従うのがポリシーなのか、任務の途中で遭遇した同じ仙道使いの祐人の存在に興味を持ったのか。祐人と戦うことに関しては積極的なんですよね。
戦意はあっても敵意はない、というべきか。敵意はなくても、やる気は満々というべきか。

一方で本命である敵組織の黒幕、というか隣国の政府の暗部をさらに裏からこっそり操っている謎の二人組。前回の事件の黒幕もそうでしたけれど、半分人外に首をツッコンでいるような連中なんですよね。本来あるべき人の在り方からハズれてしまった者たち。それが魔界と、それも魔神となんらかのつながりを有していることを示唆されている、という事はつまり祐人にとっての因縁でもあるわけだ。
そろそろ、本格的に魔界の方の話が広がってくる頃になるのかしら。
いずれにしても、またぞろ話の途中で終わっちゃったんですけど! こういう時はほんと前後編でも前中後編でもいいので、ちゃんと表記してほしいなあ。全く話として区切りがついていない、強敵との激闘の真っ最中、というところでバッサリだもの。さすがに読んでる意識もつんのめってしまいます。