【贅沢三昧したいのです! 転生したのに貧乏なんて許せないので、魔法で領地改革 3】  みわかず/沖史慈宴 アース・スターノベル

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我流の魔法で領地改革を推し進める“悪役令嬢"サレスティア。魔法学園での生活も慣れてきて、ついにヒロインと遭遇……苦しむヒロインを救うべく奔走する悪役令嬢のもとに、新たな四神がやってくるわ、敵国からは転校生まで⁉ 陰謀渦巻く学園生活をお嬢はどう乗り切る? 史上最善な悪役令嬢の、猪突猛進ほっこりストーリー! 第一回アース・スターノベル大賞佳作受賞作、待望の3巻登場!

ぎゃー、これヒロインのミシルが置かれていた状況、えげつなすぎないですか!?
ってか、この娘ゲームだとこんな状態からどうやってゲームのヒロインになれたんだ? ゲーム開始時点で廃人になっててもおかしくなかっただろうに。
肉体的にも衰弱死しかけてるし、精神的にはもっとひどく追い詰められててとてもじゃないけれどまともな学生生活を送れるような状態ではなかった。ここから、キャッキャウフフの学園生活とか無理でしょ。イケメン王子様たち攻略対象と恋と青春の物語とか、スタートすら出来ないでしょうに。
ここまで酷い有様になっているミシルを、お嬢が放っておけるはずもなく。全力全開で救出行程に突入である。お嬢にとって、贅沢三昧して悠々自適に過ごすという目標は自分ひとりが贅沢出来る環境じゃなく、周りの人みんなが贅沢三昧して豊かに幸せに暮らせるようになってこそ、自分も存分に贅沢を堪能できる、というものですからねえ。

お嬢の圧倒的な行動力と存在感は、そしてお嬢たちが提供する美味しいもの、楽しい娯楽、努力に見合う報い、正当な評価、偏見やしがらみなく肯定してくれる姿勢、これらは充実した時間を、やる気を、幸福感を多分に与えてくれて、これまでの埃のかぶった価値観を根こそぎひっくり返していく。
学園でも魔法科の生徒たちが、先輩後輩や身分差など関係なく、同じ釜の飯を食った仲間として一体感を得ていく姿はもう見ていてのなんか楽しかった。
この世界、決してヌルい世界じゃないんですよ。それどころか、残酷で悲惨でむごたらしい現実が腐臭を放ちながらぶちまけられている。人の悪意に踏みにじられた者、欲望に食い尽くされたもの、心に傷を負い、飢えてやせ細り、絶望の果てに人の道を外れてしまったものもいる。
そういう無慈悲な世界だからこそ、お嬢を中心に築き上げられていく「幸せな世界」がすごく心に沁みるんですよね。人に優しい世界、幸せを独り占めせずみんなで分かち合える世界。みんなで大声で笑って助け合える世界。それを本当に築こうとしているのが伝わってくる。
お嬢一人に押し付けず、お嬢が中心になってはじめたことだけれど、その輪がどんどん広がっていくのがなんか和むし、嬉しいし、温かいんだなあ。

そしてまあ、どんどんと仲睦まじくなっていくお嬢とアンディのカップル。いや、仲睦まじさは最初からだったのだけれど、幼い頃は元気爆発な妹分とそれを優しく見守るお兄さん、という感じだった二人がいつの間にか、こんなにも甘酸っぱい雰囲気を漂わせるカップルになるなんて。
お嬢の価値があがるにつれて、婚約者の交代なんかが囁かれはじめるのだけれど、そこで見せたアンディの独占欲と、アンディ以外は絶対にいや、というお嬢のスタンスがまた眩しいわけですよ。女子力を前世からすでにどこかに落としてきてしまっていたはずのお嬢が、乙女回路をキュンキュン唸らせる普通の女の子になっちゃってまあ。
そしてアンディの方ときたら、まるで乙女ゲーのイケメン王子ですよ。まったく、かっこよくなっちゃってまあ。ただ優しいだけじゃなく、ちゃんとお嬢は渡さないという男気を見せてくれたところは最大評価です。今や、お嬢を本当の意味で制御できるのってアンディなんじゃないだろうか、というくらい彼の器のデカさが素晴らしい。
アンディの兄二人とその婚約者の貴族令嬢たちとも、ようやく色々とあけっぴろげに付き合うことで親しくなることができ、ミシルに取り憑いていた青龍ともナシをつけ、いまや王国内ではもう安泰といったところですか。
そうなると、問題は外患の方になってくるわけで。
盛大に喧嘩売ってきた敵国と、ケリを付けにいくことになりそう。そうなる前にお嬢が傷物にされかけた結果、彼女に関わる人々の逆鱗に触れ、敵国、色々と始まる前に更地になりかけてたのには苦笑三昧でしたがw
お嬢よりも周りの連中のほうがやべえじゃないかw