【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 10】  細音 啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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「待ってるよ黒鋼の後継。この星の未来を決する話を、しよう」天帝ユンメルンゲンとの邂逅を経て、帝都への帰還を命じられたイスカ達。しかし『100年前の真実』の隠蔽を目論む八大使徒の妨害に遭い――

メルンちゃん、結局手足となって動いてくれる側近は、璃洒しかいないのかー。いやネームレスも天帝派なんだっけか。なんかそんな場面があったような。でも他の使徒聖は八大使徒の影響下にありそうだなー。他の使徒聖ってこれまであんまり出てきていないし。
実権はほぼ八大使徒が握っているようなので、駒を確保できないのも仕方ないんだろうけど。メルン自身、マメに働くの面倒がりそうな性格なので自分から勢力を広げるみたいなことはしてこなかったんじゃなかろうか。
ほとんど神輿状態なのに、どうしてこれで八大使徒を掣肘できていたのかがよくわからんけど。
始祖と同格である以上、メルン単体でそれだけの戦闘力を持ってた、という事なのかもしれないけど、組織としての権力は八大使徒のほうが握ってるっぽいもんなー。
まあ、ここまで帝国内部で激しく割れているとは思わんかったけど。ほぼほぼ敵対勢力じゃないですか、天帝と八大使徒。
それを言ってしまうと、皇庁の方もルゥ家・ゾア家・ヒュドラ家で暗殺謀略なんでもござれで内部でバチバチやりあってたのを見たら、そりゃ帝国の方も内部分裂していなかったら帝国と皇庁で拮抗を保てないですよね。メルンは随分と皇庁への攻撃を抑えてたみたいですけど。

こうして両勢力の内実を見ると、当初のイスカの和平プランは何の意味も持っていなかったことが良く分かる。まあ中身見なくても、イスカのプランって端から実現する可能性あるようには見えなかったけど。
でも、こうも勢力争いがグチャグチャになっていたら、どうやったら戦争が終わるのかさっぱりわからないぞ。あまりにも関係が入り組んでいる上で各勢力が自分達の事しか考えていないものだから、対話とは不可能そうだし。これもう自分達以外の勢力を根絶やしにする他ないんじゃないだろうか。
という事は、案外とイリーティアのプランって間違っていないのかもしれない……いや、客観的に見ると他の勢力も自分達以外は敵国も国内の対抗勢力も全部ぶっ潰してやる、という方針でイリーティアと実はあんまり変わらないんじゃないだろうか。
イリーティアだけ、自分自身が怪物と化しても構わない、という自爆特攻精神でいるのを除けば。
ほかが組織としてスタンスを取っているのに対して、イリーティアだけ同志がいるとはいえ一人なんですが、その分なにをやろうとしているのかちょっとわからないところがある。
いや、目的と方法は彼女自身が明言しているのですけど、全部ぶっ壊してそのあとどうやって理想を叶えるつもりなんだろう。彼女の理想というのは大まかに不公平を無くし機会を均等にし差別を拝する、という所にあるんだろうけれど、それって既存の勢力を掃除して更地にしたあとに統治が必要となってくると思うのですけれど、全部ぶっ壊したあとどうするのかがどうにも見えないんですよね。人ならざる怪物になっちゃったら統治も何もあったものじゃないでしょうし。
それとも天帝メルンみたいに御簾の向こうに隠れるつもりなのか。
いずれにしても、導火線に火がついているこの状態で誰にとってもイレギュラーなのは、イリーティアとヨイハムの二人組なのでしょう。この二人の動向が鍵を握っているのか。
にしても、使徒聖の第一席が裏切り者って、ほんと危機管理どうなってるんだろうw

始祖もついに復活し、八大使徒も天帝との対立でようやく表舞台に出てきて、イスカとジンの師匠も姿を表し、とここに来て役者が出揃ってきた感がある。ついにクライマックス直前という雰囲気なのだけれど、このイスカと一緒にいられるラストチャンスにも関わらずそれを全く活かせていないシスベルのポンコツっぷりよ。
夜這いはあかんじゃろw
だいたい、夜這いしかけて具体的にどうするかとかこの娘まったく考えてなかったんじゃないだろうか。そもそも、イスカとジン同室な所に押しかけてどうするつもりだったんだろう。
むしろ、ミスミス隊長たちに防がれてよかったんじゃないだろうか。部屋に侵入したらしたでなんか悲惨なことになってたんじゃないだろうか。
どうしてルゥ家の女たちはこうもポンコツなんだろう。女王ミラベアもあれで相当な所があるだけに……イリーティアだけポンコツ成分が無いとは考えにくいんだよなあ。肝心な所でなんかやらかさんだろうか、この長女も。

戦闘の方はまさかの八大使徒戦。ってか、八大使徒が自分から出張ってくるのかいな。こいつらの性質からして、個として鍛えた強者とは全く異なるベクトルなんで噛ませ感強いんですよねえ。
だからこそ、誰かが一方的に倒すのではなく、第九〇七部隊全員のチームワークで倒すという流れは良かったです。こうなるとジンくんの頼り甲斐は留まる所を知らないんだよなあ。