【人狼への転生、魔王の副官 12.新時代の幕開け】  漂月/ 手島nari。 アース・スターノベル

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副官(ヴァイト)は平和な世界でも大忙しーー!?
問題解決のため、国境を越えて東奔西走!!

南国クウォールでの未曽有の大混乱が解決し、隣国のクウォール、ロルムンド双方と友好的な関係を築きながら平和な毎日が流れていくミラルディア。
その一番の功労者である魔王の副官ヴァイトは、相変わらず忙しくしつつも、妻アイリアとの間に生まれた娘フリーデが成長する姿を日々楽しみにしていた。

しかし、そんな幸せの中でも仕事は待ってくれない……!
クウォールでの国民と遊牧民の確執問題、謎多き風紋砂漠の調査など、生きる伝説として各地に名を轟かす副官ヴァイトは世界中を飛び回ってスピーディーに問題を解決していく。
すべては早く家へ帰って娘に会うためにーー!!

そんな偉大な両親の姿を見て育った娘のフリーデは、母であるアイリア譲りの美貌と知性に加え、父ヴァイト譲りの人狼の力と行動力をもった快活な少女に成長していく。
しかし、おてんば故にとんでもないトラブルに巻き込まれることもあって……!?
ウェブ版既読。だいぶすっ飛ばす事になりましたが、ちょっと追いつけなくなったのでイラストレーターさんも変わった新章から改めて追いかけることに。
と、言っても本筋におけるあら方の問題はミラルディアの安定と近隣諸国との戦争、戦神と呼ばれる過去からの置き土産などなど、多くの大陸全土を揺るがす問題は片付けられ、11巻に渡る長き戦乱が終わりを告げ、問題や国際緊張などありつつも平和が訪れておりまする。
めでたしめでたし……じゃあ終わっちゃう。

まあこの新章からは、新世代であるフリーデら子供達の成長を通して、ヴァイトたちがつかみ取り築き上げていく平和の形が描かれていくのであります。
平和になりましためでたしめでたし、じゃなくて、どんな風に平和な世の中が形作られていくのか。その平和がうたかたの夢などではなく、しっかりとした基礎の上に建てられた崩れることのない城として未来まで引き継がれていくのか。その行程を、子供達の目を通して見ることで実感していく感じなんですよね。
生まれた時にはもう大方戦争は過去のことになっていて、魔族と人間たちが争っていた事もミラルディア国内で南北に分かれて隔たりがあったことも他国と戦争を繰り広げたことも、知識としてしか知らない子供達。でもその過去は歴史となるほど昔ではなく、今まさに歴史の向こう側へと押し流していくべく、ヴァイトたち大人たちが現在進行系で頑張って平和という枠組みを土台から築いている様子が、フリーデたちの目線で見えるんですよね。
まだ幼い頃はその光景を意味もわからず見ていたフリーデたちだけれど、成長するに連れて自分達が今歩いている道がどんな風に創られていっているのかを、この聡明な子らは理解し意欲的に学んでいくのです。今まさに道は整備され、横に広くなりどこまでも伸びていく様子を。自分たちの未来のために敷かれていっているのを、体感していくんですなあ。
魔王アイリアと黒狼卿ヴァイトの娘であるフリーデは、重要人物の子息という事で将来も嘱望され、知人も各都市の首長や幹部職たちと顔も広く、自然とそういう人たちと親しくすることで見聞も広がっていく。また、ミラルディア国内ではあるけれど色んな都市を回ることで世界の今を識っていくのである。
住む都市も違う国も違う人種も違う種族すら違う、そんな多種多様な人々が争うことなく一緒に生きている世界。多様な人たちが、信頼によって結ばれている世界。それらを結びつけたのが、黒狼卿ヴァイトであるのだと、かつての英雄がただ武勇以上に壊す以上に、創り融和し色んな人と友達になり様々なものを築き上げてきたのだと。
自分のパパが、そんな誇るべき人物だと娘は知っていくのだ。色んな人達が笑顔で嬉しそうにその活躍を、人柄をフリーデに語ってくれる。
目をキラキラさせて、パパすごーい、とはしゃぐフリーデは可愛いでのう。
そんなフリーデの胸にもいつしか、志が、野望が生まれるのだ。
外の世界を見てみたい。自分の腕を試したい。冒険とかしてみたい! あと、もっと勉強して出来る女になって、パパを楽させてあげたい。
……パパ冥利に尽きるじゃないですか、ヴァイトくん。

お転婆でヤンチャで明るく育ったフリーデは、皆に愛されスクスクと真っ直ぐに成長していく。そんな彼女に、愛する子には旅をさせよ、とばかりにロルムンド帝国への使節団の一員として旅立つ使命が与えられる。狼の子が世界に勇躍する、その冒険のはじまりだ。実に心躍る、ワクワクのはじまりである。

漂月・作品感想