【剣と魔法の税金対策 2】  SOW/三弥 カズトモ ガガガ文庫

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勇者&魔王の偽装夫婦。税金対策は宝探し!

「我が配下となれば世界の半分をくれてやろう!」「え、マジ?わかった!」
魔王♂と勇者♀、交渉成立!と思ったら、天から「贈与税がかかります」の声。絶対なる税金徴収者である「税天使」が現れた!
え、神様に税金とられるの!? “世界の半分”という莫大な資産にかかる超高額の贈与税に焦った勇者は税金逃れのために魔王と偽装結婚!そんな二人を助ける『ゼイリシ』の少女!
いろいろ頑張っても焼け石に水の税金対策、次なる一手は、埋蔵金を掘り当てて一発逆転完納作戦!
ところが蓋を開けたら税は増えるわ、おっかない呪いの「負債」はついてくるわで、もっとピンチ!!

「異世界初の異世界税制コメディ」、勢いに乗って第二弾!

税天使さま、メチャメチャ贔屓してくれるな! そもそも役所が向こうから出向いてきて助けてくれる、なんてのはないですからね。取り立て督促は向こうから来るけれど、控除やら救済、過払返金なんかはこっちから言わないと知らんぷりしてスルーするのが常套なのが役所だ、という認識!
でも税天使様のゼオスときたら向こうからわざわざ来てくれて、露骨にクゥたちが陥っている問題を解決するためのあれこれにヒントくれるわけですから。
どれだけクゥたちのことご贔屓にしてくれているのでしょう。
まあそこまでやってくれるのなら、ヒントを匂わして気づかせようなんて回り道をせず、ストレートに助言くれても良かろうに、と思うのですから。税制に反しているわけではなく、法制度に則った解決法なわけですしね。税天使という中立の立場でどこまでの範囲、アドバイス出来るかというのは難しい所なのか。税制が必要に応じてとはいえ複雑難解になってしまったが故の弊害なのだろう。近代税制はこうしてみると決してただ毟り取るだけじゃなく必要以上に毟り取らないための制度である事がわかるのですけれど、税を収める方も収められる方もどうにもそれを忘れがちなんですよね。
ともすればどこからどこまでが中立かもわからなくなる。だからこそ、依頼人の側に立って税制を解釈する「税理士」という存在が必要になってきてしまうのでしょうけれど。
そんでもって、ゼオスが全部助言してくれちゃうと、クゥの出番なくなっちゃいますもんね! それにしても、ゼオスのお膳立てが万端行き届いているのですが。

しかし今回の黒幕、かなり陰険でしたたかなヤツで周到な罠も相まって勇者メイと魔王ブルーの夫婦は大ピンチに陥ってしまうのですけれど、逆に言うと力押しに転じるとまるでこの二人には敵わなかったとも言えるんですよね。特に勇者メイは正面からの切った張ったはやっぱり滅法強いんだよなあ。魔王ブルーの世界半分あげるよ、の取引に危機として応じてしまうような銭ゲバな所がピックアップされてしまっているせいで、身内以外では色眼鏡で見られて場合によってはナメられてる節もあるようなのだけど、事戦闘という事に関しては劣勢に陥ったこともないんじゃないだろうか、この娘。
とは言え、初手に罠によって「負債」を押し付けられてしまった事はあまりにも致命的で、相続税という税制によって掴まされた絶体絶命の危機は、やはり同じ税制をもって取り組み対抗し逆転するという制度解釈バトルへと突入するのである。
そして、ジャッジメントである税天使による露骨なヒント! あからさまな示唆! 無言のアピール! 中立?なにそれ美味しいの? というあからさまなご贔屓があったものの、今回は相手があまりにも税制の悪質な悪用をしていたというのもありましたからね。税制をプラットフォームとして利用した殺人事件ですもんね。そりゃ税天使としては、制度を凶器として利用されるのは不本意極まりないでしょうし。

しかし、ギリギリの綱渡りをしながらの法解釈バトル、というのは類を見ない法廷バトル的なノリがあって面白かったのですけれど、初手からかなり緊急事態に見舞われたせいもあってか、ブルーとメイのせっかくの新婚生活が殆ど色気も甘酸っぱさも味わう間もなかったのが結構残念でもありました。ラブコメ分が足りなかったって事ですよぃ!
ただでさえ資金難でそれどころじゃない状況で、ブルーがあんなんなっちゃいましたからね。キャッキャウフフする余地がなかったが故に仕方ないのですけれど。子供の話になって夫婦である事をなんかすごく意識しちゃったり、ブルーにすがって泣きじゃくっていたというメイの姿はなかなかキュンキュンくるものがあるだけに、次回あるならラブコメ成分もうちょい濃い目だと嬉しいなあ。