【昔勇者で今は骨EX 小骨集】 佐伯 庸介/白狼 電撃文庫

Kindle BOOK☆WALKER

WEB限定!! 骨になっても心は勇者な冒険者(※ただし骨)の珠玉の短編集が登場!
大人気お気楽異世界ファンタジー『昔勇者で今は骨』の短編集が電子書籍で登場!
電撃文庫MAGAZINEや小説投稿サイト「カクヨム」にて掲載された短編などを大収録!!
さらに新規書き下ろしの短編『心の師匠のためならば』も収録!

電子書籍限定ながら、【昔勇者で今は骨】の短編集が登場。こうして電書限定でも続きが出てくれると嬉しいですねえ。しかも、短編集ということで色んなキャラにスポットが当って結構贅沢ですよ、これ。
今まで存在だけが示されていた勇者アルヴァスの婚約者だったお姫様たちも、在りし日のアルヴィスと共に描かれていますし。このお姫様方もなかなかに濃いキャラだったんだなあ。濃い以上に王族としても一人の女性としてもイイ女であり、人類危急の時に在るべき王族であり、と人物たる人たちで。
アルヴィスも政略としての婚約であったというから、建前の付き合いだったのかなー、と思ったらちゃんと公私の私の部分でも仲良かったんだ。帝国のパンデー皇女なんか姉御呼ばわりですもんね。
エイン王国のエルデスタルテ王女の方はだいぶ年少さんで当時まだちっちゃい幼女だったのだけれど……アルヴィスってフーチ相手でもそうだったけど、子供相手でも適当に子供扱いせずしっかりと相手を見て相手を立ててちゃんと話してくれるので、子供の方は凄く慕っちゃうんですよね。本当の意味でちゃんと話を聞いてくれる大人、というのを子供というのは求めてやまないものですし。
おかげさまで、王女様の方は勇者オタクを拗らせてしまうのですが。姉御の方はすでに大人だったから変な屈折は……いや、アルヴィス戦死をきっかけに帝位目指しちゃったらしいのでこれはこれで拗らせたのか? いずれにしても、二人共勇者の死ではなくアルヴィスという個人的に親しい人の死を嘆きショック受けただろうことは想像に難しくない。政治的立場故に、アルヴィス死んだけどまだ健在、というのを知らされていない、というのはちょっと可哀想だなあ。特に王女は未だに……ねえ。

知っててなお、苦しんだのがフブルさんとイザナなんだろうけれど。
フブルさん、こうして過去編見ると魔法の師匠であるという以上にまだ子供だったアルヴィスを預けられて育てた親代わりでもあったんだなあ。フブルさんもこれ、弟子という以上に我が子のように思っている様子が伺えるんですよね。そんな子を、天賦の才に魅せられて魔法の粋を授けてしまった。何より、勇者にしてしまった。人類の危機を救う切り札としてしまった。結果として、彼は運命のまま人類の決戦兵器としてその役目を果たしてしまった。果たさせてしまった。果てさせてしまった。
死なせてしまった。
フブルさん、毎夜魘されのたうち回るほどに苦しんでたのか。そりゃそうだよね。息子に等しい子を自分の手で死する運命へと叩き込んでしまったのですから。
ただでさえ、頼まれたから、そうしなければ全滅していたからとはいえアルヴィスを死霊に変えてしまったイザナが、フブルさんが苦しむ様子を見せられて思う所なかったわけがないんだよなあ。思いつめた結果が、本編でのあれだったわけですけれど。
いや、アンデットになって太平楽決め込んでたアルヴィスは、ほんとそういう所ですよ、てなもんで。


とは言え、アンデットになってまで現世にしがみつき続けることにアルヴィスもこれ結構深刻に悩んでたんだなあ。そんな彼の心を救ったのが、プーチであり、この幼女をアルヴィスが心の師匠と呼んで憚らない理由なのだけれど……書き下ろしで久々にプーチ登場しましたけれど、マジでアルヴィス、この娘への接し方というか対応というか態度が特別ですよね!
いや、特別というとイザナへの接し方も他の女性陣と比べるとちょっとした違いと特別感があってちょっとした正妻感漂ってるんですけど(子供?もいるし)、プーチへのそれはまたさらに特別で、そりゃハルベルとミクトラが最大のライバル出現?!と顔色変えるのもわかりますわー。


元堕竜王ディスパテのダイスも、なんか転生して人間に生まれ変わってから順調に主人公かよ、という道を歩んじゃって……結構真面目に学生してるのがなんともはや。ハルベルの学友だったペリネたちパーティーと一緒に行動するようになってるわけですけど、これダイスくんルートのヒロインってペリネなの? いや、あんまりラブコメ臭は漂ってこないのですが。ダイス、中身竜王でも一応実年齢四歳だしなあw

書き下ろしは、プーチも含めてこれまでの主だった登場人物が登場しての大騒動。骨になっても勇者しているのは相変わらずですけれど、いい意味で任せられる仲間が増えたもんですわ。
時系列的にも最新5巻のその後になってて、なんか6巻の伏線らしきものも匂わされてるんですけどー!? ってか、完全に話続いてるんですけどー!?
あとがき見ても、6巻続く可能性あり、ってなもんで、これはぜひ続いてほしいなあ。まだまだ、この飄々とした骨と元気いっぱいのキャラクターたちの和気藹々とした世界を見ていたいものですから。
短編集、一話一話があんまり短いという気がしないくらい密度濃いしテンポ良いしキャラが生き生きしていて、実に読んでて楽しかった。満足感、かなりのもんでしたよ。面白かった!
印象的な話も多かったのですけれど、冒頭にあのお伽噺を持ってきたのは掴みとしては強烈でしたよね。この世界に伝わるお伽噺とも言うべき掌編。ほんと短いお話なのですけれど、凄く雰囲気が深くて沁みるようで、なんか心に残りました。魔王オルデンとの繋がりは否定されてるみたいですけれど……さてこうしてみると倒された魔王についてはほとんど知らないんだよなあ。

シリーズ感想