【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 5】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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学園に咲く気高き一輪の華、麗しき淑女・ギャビーが乱れ舞う!
 瀧音の式部少輔・就任を快く思わないギャビ―は互いの進退を賭けたダンジョンアタックの勝負を申し出る。
この宣戦布告に反応した結花に引きずり込まれる形で対決をすることになるも、ギャビ―とその兄ベニートの絆を知り尽くしている瀧音は人知れず全員がグッドルートに向かうよう画策していく。
「私が勝ったら、式部少輔を降りて土下座なさい。怖かったら逃げても良いんですよ?おーっほっほっほっ!!」
 果たして瀧音はギャビ―が抱える闇を打ち払い、最善のルートを手繰り寄せることが出来るのか。
ツクヨミ魔法学園に咲き誇る麗しき淑女の未来を見据えた瀧音の決断は――!?

ギャビーってギャッツビーみたいですね(特に意味はない)
ベニート卿の妹であるギャビーことガブリエッラは、兄に認められた瀧音に嫉妬して突っかかってくる。加えて、ゲームの主人公である聖伊織の妹である結花もギャビーとバチバチ火花を散らしながら瀧音に絡んでくる。後輩ではあるものの、どちらも兄に対して一方ならぬ思いを抱いている妹キャラだ。他人様の妹キャラではあるが。
いや、他人様の妹キャラだと、自分の妹キャラとはまたシナリオパターンが違ってくるんですよね。
兄からの自立。いろんな形でヒロインにとって拠り所になっている兄という存在からの独り立ち。それが他人様の妹キャラにとってのシナリオの山場となってくる。場合によっては、そのキャラのルートの大半を占める大難行となるはずなのだが、この作品においては全員グッドルートを目指す友人キャラが主人公の話なので、まあわりとサクサクっと彼女たちの人生の一大事にして大転換点であるはずの自立も、進んでしまう。一人ひとりに時間をかけてるわけにもいかないものね。それにしても、ギャビーのチョロさは(中略)並みに巻きだったと思うが。
ベニート卿とギャビーの密接でありつつ微妙に食い違ってる麗しの兄妹関係を思うと、もう少し拗れてもおかしくなかったと思うのですけどね。そもそもベニート卿が聖人すぎるんだよなあ。まだ彼自身十代の若者にも関わらず、わずか2つ違いの妹を実質育ててきたようなものですもんね。ネグレイトされていた妹を一心に愛し世話し彼女に愛情を注ぎ続けた。そりゃあ、妹から盲信に近い傾倒をウケますわ。慕われて当然でしょう、これは。
正直、まだ兄にベタベタしててもいい年齢だとは思うんですけどね。でもまあ、一般人の環境ではなく危険が常に傍らにある場所ですし、いびつな関係を続けているべきではない、とベニート卿は冷静に判断していた、ということでしょう。妹、可愛いだろうにそういう冷静な判断が出来るという時点で、出来物なんだよなあ、この人。冷静な判断だけじゃなく、愛情を目一杯注いでいるからこそ、いびつな関係になってしまっていることが心配でたまらなかった、というのがギャビーの自立宣言で思わず泣きそうになってたことからも伝わってくるので、いやもうこの人聖人だろう。
ギャビーだけじゃなく、似たような不遇な家庭環境におかれて人生歪んじゃってる他に人のことも常に気にかけ心配しているわけですし。
いやもうそこは、気になった挙げ句に親身になりすぎて好意を持つようになった、くらい俗な事になってしまっていてもいいんじゃないか、と思えてくる。伊織だけじゃなくて、ベニート卿も何人かヒロイン受け持ってくれないものかしら。

結花の方は兄妹関係全然ベタベタしてなくて、むしろサバサバしたものなんですよね。むしろ、主人公の妹なんだから、もっとお兄ちゃんお兄ちゃん言いそうなものなのだけれど。メインヒロインのひとりなわけですし。そのへん、結構意外だったなあ。最初の段階では伊織よりも強い妹、だったからなのか。
それが伊織の急成長によって逆に力量差が出てしまうことで必死に兄の背中を追いかける、となる所がもうひとり自分を圧倒的に上回る強者である瀧音と遭遇することで、そっちの背中の方をふらふらと追いかけてしまった、というのはまあ健全と言えば健全なのか。その道筋で、自分と似たような立ち位置にいるギャビーというライバルとも行き合ったことで、結花なりに兄の後をついていくのでも、漫然と瀧音の背中についていくのではなく、自分が自分として強くなるという道を見出した、というのが今回の話だったのかもしれない。
いずれにしても、ギャビーにしても結花にしても兄からの自立、という独り立ちのお話が今回のテーマだったのでしょう。或いは、瀧音の妹キャラげっと回。
いい加減、リュディほったらかしは可哀想なのでもうちょっとかまってあげましょうよ、と思わないでもないですけどね。瀧音にとってのメインヒロインはやっぱりリュディなわけですし。
一応、これでバッドエンドに行きそうになる娘たちのフラグを潰してまわっていましたけれど、そろそろ本筋に入ることになるのでしょうか。どうやら、ゲームシナリオの重要なキーパーソンとなりそうな人に宣戦布告していましたし。そろそろ、物語としても育成と下拵えの段階は越えて動いてきてほしいですし。