【隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた 4】 荒三水/さばみぞれ モンスター文庫

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夏休みのひと悶着も解決し、いよいよ新学期。文化祭も控えるなか、唯李の黒歴史のような過去を知る「萌絵」が転校してきて――。
漫才のような会話劇が面白いネット発ラブコメ、思いが絡まる第四弾!


現在進行系で唯李って黒歴史を更新し続けているような気もするのだけれど、それはそれとして今と違った自分を知る過去のクラスメイト・萌絵が転向してきたことで、あからさまに挙動不審情緒不安定になる唯李。これが挙動不審ってやつなんだよ!とばかりに誰が見ても萌絵相手にビビり散らしている姿は、果たしてこやつってほんとにメインヒロインなんだろうか、と常々抱いていた疑問が再燃してきてしまうのだが、まあもとから唯李って三下系ヒロインだし?
どうしてこの娘、隣の席キラーとか言われるに至ってしまったんだろう。話しやすいのは話しやすいんだろうけれど、魔性の女とは絶対にベクトルが真逆だよね? 素が三下だよね。

とはいえ、そんな逃げ腰で必死に避けまくろうとしている唯李に対して、被せるように話しかけてきて先回りして逃げ道を塞ぎ、マウントを取ってくる萌絵。
いやこれは唯李でなくても、言いたい事を言わせずに自分の言いたい事だけ押し付けてくるスタイルは相手するのしんどいよなあ、とは感じたものの、最初はそれが意図的なものだと思ってたんですよね。
話の主導権を握るため、唯李を逃さずに何かしらの思惑があって唯李に絡んできているのかと。
まさか、そういうやり方でしか他人と話の出来ない娘だったとは。
これ、コミュニケーション強者に見せかけたコミュ障だったのか。
唯李だけではなく、誰に対しても似たような自己中心的な話法でコミュニケーションを図ろうとするため、いつの間にか孤立しだす萌絵。一部の男子の熱烈な支持者たちに煽られるように、文化祭でやりたい放題はじめる彼女に、クラスの女子たちからは忌避感が漂い始める。
それは、一線を越えようとしている状態でした。
ここで、唯李が動くんですよね。下手な言い訳かましながら逃げ回り、逃げ損なってヘラヘラ笑いながら首スッ込めていた彼女が、萌絵の絡みに……バトルに応じて文化祭中での売上勝負を受けて立とうとなんか変なスイッチ入ってテンション高めにぶっ飛ばし始めるのである。

前に悠己の妹の瑞奈が鬱モードになり一度嵌ると抜け出しにくくなるであろう一線を越えようとしたときも、唯李って正面からじゃなく変な方向からグイッと首突っ込んできて、介入してきたんですよね。
他人の家庭の事情に首突っ込むって結構勇気がいることで、実際唯李は内心ビビリ散らしていた所あるのだけれど、それでも素知らぬふりをしてなんでも無い顔をしながら、しれっと首突っ込んできて、ふざけた自分の雰囲気、空気感に瑞奈を引きずり込んで、なし崩しにしてしまった事がありました。凛央の時だって、彼女の独り相撲を独りのままにしなかった。
こういうの、放っておかないんですよね、唯李って。見過ごさないし、無視しない。かといって直球で正論ぶちかましてきたり、なんていう正面突破もしてこない。そういう所、ビビリな故もあるのかもしれません。そのままのチャラついたふざけた空気で誤魔化しながら、それでもガシッと越えてしまいそうなその人の腕を掴んで引き寄せる。
若干勢い任せすぎて、自分でも止められないっていうか、目をギューッと瞑って爆走しているような節もあるけれど、その勢いにみんな自身を覆っていた殻をぶっ壊されてしまうんだなあ。

悠己が、唯李を太陽と言うのはそういう所なのでしょう。いつの間にか、悠己はこんなにも唯李に惹かれていたのか。
本当の意味で一番面倒くさくて、一番固くて蓋の開かない殻に閉じ籠もっているのが悠己なのだとしたら、次は本命本番、彼の番なのかもしれません。
悠々綽々と返り討ちにしていたのが、今度こそ隣の席キルされてしまうのか、楽しみになってきた。