【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い 7 無能を演じるSSランク皇子は皇位継承戦を影から支配する】  タンバ/夕薙 角川スニーカー文庫

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次なる暗躍は――聖女レティシアに迫る闇を払え!

記念式典の裏で動き出した犯罪組織グリモワール。聖女レティシアを狙う彼らを討伐すべく、それぞれ動き出すアルとレオだったが、二人を待ち受けていたのは帝都全体を巻き込まんとする更なる強大な陰謀だった……!

レティシアさん、アルが民草の事は考えてない、というのは流石に見立て違いじゃないだろうか。シルバーがあれはギルドの理念に基づいているのか、常々一般市民を優先で働いているのを見ているだけに、それはちょっと違うんじゃないですか、と思ってしまった。まあそれだけ、親しくなった人にも一番奥底は見せていないという事なのかもしれない。王様に向いてはいないかもしれないけれど、やるとなったら向き不向きはうっちゃってやってのけるんだろうなあ。
ともあれ、今回はレオの主人公回でありました。やっぱり男はヒロインが居てこそ一本芯が通るというものです。
今までのレオは、理想的な英雄の道を歩んでいたと言えます。理念があり理想があり信念があり、家族への愛情があり親しい者たちへの親愛がありました。でも、そこにはレオナルト個人としての原動力となるものがあまり感じられなかったんですよね。キラキラとしたものはあっても、ギラギラとした個人としての欲望、滾る炎が見当たらないからどこか存在感が軽いものがあったのです。
彼を神輿に掲げる人達には関係のないことでしょうし、彼を指揮官に戦う将兵たちにとっても今までのレオで十分だったでしょう。でも、王になるとして、主人公となるとして、彼の拠り所が理想と家族にしかないというのはどこか頼りなかった。
でも、今回彼個人の最優先するべき確かな拠り所ができたわけです。レティシアという彼にとっての芯が通ったことで、レオナルトに揺るぎない重みが生まれたのでした。
……むしろ、未だにフラフラしているアルの方が逆転して軽く感じるようにすらなった気がするぞ。
君の方はなにをしてるんだ?
アルの方にはレオに通ったような芯が通っているのだろうか。フィーネとエルナへのそれは相変わらず中途半端というか、お前が弟をけしかけられるような立場か、というような曖昧さですしねえ。
弟を皇帝にする。家族の身の安全を確保する。それは立派な動機だけれど、そこからさらに上積みをしてみせたレオに対して、アルはどうなんだろうね、というあたりがちょっと気になってきた。アルの方は成長しているのだろうか。
とりあえず、裏で進んでいるであろう陰謀に対して、出来得る限り最適に対応している、とは言えるんだろうけれど、なんかモグラ叩きじゃないけれど、主導権握られっぱなしで対処療法に駆けずり回っている、という印象でそれは暗躍している、とはイイ難い気がする。カバーできているとはいえ、先手が全然取れないまま、というのは策謀家としては些か物足りないなあ。
だいたい、ズルズルとゴードンやザンドラみたいな三流相手に決着つけられないまま、しかも未だにイニシアチブを握られていて叩き潰せていない、というのがねえ。長々と相手するような立派な敵じゃないですしねえ。
まあ、向こうに回してこれは恐ろしい、というような大した敵が今までも居たわけじゃないのですが。未だにヘンリックみたいな雑魚に好き勝手喚かせているというのも、なにやってんだと思ってしまいますし。先にアルが大暴れして自分を舐め腐ってたバカ貴族どもを粛清したのに、似たようなバカ全然減ってないんじゃないの、これ。脅しにもならなかったんだろうか、あれ。
あと、聖女様まわりの政治的な状況、説明されてもちょっとなんでそうなるの? という話ばかりであんまり納得いかなかったなあ。粛清を受け入れていたのも理由含めてよくわからんかったけれど、聖女様、レオに嫁いできちゃったら戦争の機運が萎むどころか、むしろ煽ることになるんじゃないの?
そもそも帝国自体も、せっかく掌中に様々な他国の駒が入ってきている状況なのに、うまく利用するどころか逆に政略謀略のネタにされて振り回されているのを見ると、外交下手か、と思ってしまうところだし、皇帝パパからしてあんた、子供らに実質殺し合いになるような帝位争いさせておいて、身内同士の争いに外国が手を伸ばしてこない、と本気で思ってたんだろうか。裏切らないと信じるにしても、他国にまんまと利用されない、と信じるにしても、それは楽観がすぎる。頭に花畑が咲いていると言いたくなりますぞ。実のところ、あんまり父帝って名君の類には見えないんだよなあ。ザンドラも処分してないからあんな事になるんだし。