【処刑少女の生きる道(バージンロード) 6.塩の柩】  佐藤真登/ニリツ GA文庫

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彼女が彼女を殺すための物語、破戒の第6巻。
「お前は、忘れない。ここで死ねるのなら、お前は幸運だ」

メノウと導師「陽炎」。
塩の大地での師弟の戦いは、メノウへと天秤が傾きつつあった。
アカリとの導力接続で手に入れた膨大な導力と、行使可能になった疑似概念【時】。
新たな力を得たメノウの勝利で終わるかと思われた訣別の戦いは、しかし、見え隠れする【白】の存在により予想外の方向へ向かいはじめる。

その頃、“聖地”跡では万魔殿が「星の記憶」へ足を踏み入れていた。
マノンの遺した一手が彼女に致命的な変化をもたらすことも知らず――。

そして、最果ての地にひとつの破局が訪れる。
彼女が彼女を殺すための物語、破戒の第6巻。
そして貴女は落ちていく。
地面に横たわる姿にはじまったこのシリーズの表紙絵は、5巻でついに立ち上がり戦う決意を見せた。そこから立つべき地面を失ったようにメノウはどこかへ落ちていく。墜ちていく。堕ちていく。

メノウは自分の生きざまをふらふらと蛇行しながら前進していると言っていたけれど、同時に師匠のことを悪でもなく前でもなく中道で、合理的で残酷でありながらも人間的だと語っている。フレアは、冷たく硬い鋼のような人間だった。その在り方は最初から最後まで変わらなかった。
でも、彼女は冷たいまま、金属のように硬いまま、無二の友情を得て、一人の弟子を慈しんだ。
友を殺し、弟子も利用した挙げ句に殺そうとして、そこに後悔も罪悪感も持たないのに、それでも彼女にとってあの日本人はたった一人の友人だったのだ。メノウは、自分の手で育てた娘だった。
だから、友人を殺したことを後悔もしていないのに、彼女の敵を討つために20年を費やした。その20年掛けた罠のためにメノウを育てて、利用して殺すつもりは一切揺らがずやり通したのに、フレアは娘を愛していた。その双方が矛盾せず両立していたのが、フレアという人物だったのだろう。彼女はあまりにもその在り方が一貫しすぎていて小揺るぎもしなかったが故に、矛盾すらも貫いてしまったのか。
後悔も罪悪感もなかったフレアにとって、自分の人生に不満も痛みもなかっただろう。彼女は最後までゆるぎもしなかった。ただ、揺らぎたかったのだろう、という願望だけは透けて見えた。友人と旅していた頃、自分の人殺しの生き方にずっと罰を欲していたことを思えば、メノウの在り方はかつて自分が望んだものだったのだろうか。
最後に至っても、フレアの心のうちは理解の遠く向こうだ。フレア自身が自分をわかる必要を認めていなかったように、自己分析の欠片も思い描いていなかった事もあるのだろうけれど。その奥底にある真実は彼女の言動や回想の欠片から一つ一つ拾い上げていかないと見えてこないし、そうして組み上げたものが本当の真実かなんてわからない。
ただ、事実だけを見るならば、フレアは自分の人生の大半をかけて、自分が友人を殺すことになった原因である白を討とうとしていた。そして、そのために利用し尽くすつもりだった弟子に、彼女はずっと選択肢を与え続けていた、ということだ。
彼女が最期に撫でようとした腕の位置は、幼い女の子の頭の位置だった。
その事実さえ覚えていれば、きっと事足りるのだ。

これまでずっと鳴りを潜めていた勇者・白。それが、アカリという少女がこの地に降り立ったことで、そして日本帰還の術式の準備が整ったことで、ついに千年の長き時を経て動き出す。
あの白の名前とは裏腹の凄まじい黒穴の如き眼が描かれた姿の挿絵は、やべえの一言。これ、夜中に見たら本気で「ひぇ!」となる絵だったりする。マジ怖い。
こんな眼をしているやつがやばくないわけがないという逆説が成り立つくらいヤバイ。どういう塗り方したんだ、この眼。

しかし、白が動き出したことでアカリとメノウの繋がりが断ち切られたと同時に、一気にパーティーの再編が行われるんですよね、これ。
シャッフルされたというべきか。モモと姫様が現場を一旦離れたのに合わせて、まさかの人災(ヒューマンエラー)サイドからの参入である。そのおぞましいというほかない、存在自体が災害であり呪いであり破滅そのもの、という悍ましさをこれでもかと今まで見せつけてきた以上、人災たちの存在というのは倒したり乗り越えたりするべき敵であるか、それ以上に逃げなければならない厄災天災そのものか、というスケールだったのに、まず最初にそれをひっくり返したのがマノンだったんですね。
まさか、あんなあっさり退場するとは思っていなかったのだけれど、それ以上に置き土産が盤上をひっくり返すどころじゃない、とんでもねー一手だったわけだ。
ある意味それは神を零落させたようなもので、理解が全く出来ないが故に脅威だったものを理解できるものに堕としてしまった、或いは昇華させてしまったとも言えるんだけれど。いずれにしても、話ができる相手になった、というのは大きいどころじゃないんだよなあ。
そして、なんであんな根っからの小物なのに、大きな仕事ばっかりするんでしょうかね、サハラさんは。こいつ、自分では何しようとしてもろくなことにならないんだろうけれど、他人から強制されながらイヤイヤやる気なくむしろ失敗してしまて、と思いながらやると大成功するみたいな業を持ってるんだろうか。
なんか思わぬところからお姉ちゃんが出来てしまったところとか、笑っていいのか呆れていいのか、わからんのですけどw まるで話が通じなさそうなところとか、サハラにばっちり合いそう。しかし、このお姉ちゃんも所謂計り知れないヤバイ枠なのだから、メノウの新パーティーってかなり意味不明なことになってるんですがw
いや、相手が相手だからこれくらい揃ってないといけないのかもしれませんけれど。
というか、これ人災両方サハラに紐付きになっちゃったんだけど、この小物どこまで行ってしまうんだw

そして、モモはまだ正期の昇進を果たしたのでいいのですけれど、姫ちゃまの行く末がかなりヤバそうなことになってるんですよね。あの姫ちゃまが大人しく他人のイイようになるとはこれっぽっちも思わないのですが。むしろ、待ち受けている使徒の方が酷いことになりそうな予感w