【賢者の弟子を名乗る賢者 3】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

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九賢者の1人ソウルハウルの捜索は、若干の手がかりを残しつつも空振りに終わった。
残された資料を持ってルナティックレイクに帰還したミラは、盟友ソロモンに資料の解析を任せる。
しかし資料の解析は難航する。
その資料を読み解くには、アルカイト王国の地下に存在する、『愚者の脅威の部屋(フール・ザ・ヴンダーカンマー)』を攻略する必要があったからだ。
ミラを中心にして物事が動く中、当の本人にも超えなければならない試練が近づきつつあった……。

ミラさんミラさん、貴女早いところ自分が契約している召喚獣の皆さん、全員喚び出して面会しておいた方がいいんじゃないだろうか。喚ばれた召喚獣、みんながみんなあまりにも長い間喚ばれないものだからメチャメチャ寂しがってるじゃないですか。
30年間一切の音沙汰なし、敬愛するマスターから完全放置。これ、多かれ少なかれみんなメンタルダメージ負ってますよ? いやそれだけ慕われている、ということなんでしょうし、30年間喚べなかったのは不可抗力でもあるのだから仕方ないのですけれど、今は取り敢えず時間もあるし自由だしいくらでも喚べるんだから、一通り召喚してあげて再会してあげた方がいいんじゃないだろうか。
今の所、必要になったら召喚するという行程になっていて、これ特に喚び出される状況がなくて後回しにされている子たちが可哀想すぎるんですが。召喚獣の間で横のつながりがあって、マスターが復活しましたみたいな情報が共有されたり、という事もなさそうですし。

さても暫し暇が出来たのを幸いに、ソロモンのお膝元の王都をぶらぶらして観光しよう、という事にあいなったミラさん。マジで暇にかこつけて街を散策、食べ歩きしたり観光名所を回って見物したりウィンドウショッピングしたり、と紛うことなき観光三昧なんだけれど、これが不思議と読んでても楽しいんですよね。
たまに旅行漫画とかあるけれど、あれも人が旅行先をブラブラしているのを眺めているだけなのになんかこう楽しかったりするのだけれど、本作もただ街並みをブラブラと目的もなく歩く様子を、さりげない情景描写やミラのウキウキと楽しそうに左右に向けられる視線や、ちょこまかとちっちゃい女の子特有の動作で店先を覗いたり美味しいものに舌鼓を打ったり、という様子が容易に浮かんでくる人物描写なんかがイイ感じで描かれてるんですよね。
特にこれといったイベントがなくても、ミラの様子を追っているだけでなんだかわりと楽しそう。

とはいえ、お話としては山もあれば谷もあるようにしないといけないので、ミラさん散策の途中でみかけた学園をちょっと覗くことになりました。
そこで目撃したのは、落ち目で他の学科から馬鹿にされながらも頑張る召喚術の若き先生の奮闘だったのです。
この世界にいない30年間の間に人気が衰え技術も衰退してしまった召喚術を、奨励してもっと盛り上げようと目論んでいるミラさんとしては、今頑張って召喚術を支えてくれている若人たちをこのままにしておけるはずもなく、賢者ダンブルフの弟子として大いに指導力をふるい、若き召喚術師の卵たちのまばゆい目標となるのでした。
ミラ様すごーい、で終わらずに生徒たちがあんなふうに召喚術を使ってみたい、という憧れになり、同時に途方も無い力を示しながらもそれが決して手の届かないものではなく、誰もが頑張って鍛えていけばたどり着けるものだ、というのを実感させて、誰もがわれもわれもと目をキラキラさせて研鑽に向かい出す様子というのは、傍から見ていても眩しいものです。ミラの見せる力って絶望とか断絶を与えるものじゃなくて、希望とか勇気を与えてくれるものなんですよねえ。

そして、後半はその若き召喚術の先生であるヒナタさんと、クレオスとともに必要な資料を求めて、図書館迷宮へ。図書館のダンジョンというのは、ダンジョンの種類は古今東西いろいろありますけれどやっぱり一番夢がありますよねえ。
ただ力任せに吹っ飛ばすだけでは済まない、知恵やセンスを要求されるダンジョンに、実力としては隔絶しているミラやクレオスが苦戦するなか、ヒナタ先生の持つ特技や知恵が遺憾無く発揮されて、次々と謎解きに成功していく様子は、ミラやクレオスが手放しで称賛するのも加味して、なんとも微笑ましく痛快でありました。ミラさんは他人を褒めることへの労を厭わないんですよねえ。別にわざわざいいとこ探しみたいな露骨な真似はしていないはずなのですけれど、ほんと自然に相手の良いところ、成功、達成、才能などを見つけて間髪入れず褒めるし感心するし、言われた人からすると嬉しいんですよね。本心から言ってくれてるのが伝わるから。
彼女の冒険は、同行者の素敵な面を引き立たせてくれるので、見ていて実に楽しいです。

そして、わりと毎回行われるミラのファッションショー、着せ替え、衣替え、新衣装発表ターンも、華やかで楽しい限りであります。毎回挿絵挟んでくれてもよろしいのにw