【百花宮のお掃除係 転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。】  黒辺 あゆみ/しのとうこ カドカワBOOKS

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憧れの後宮はトラブルだらけでした!? 新米宮女、医療チートで大活躍!

前世の記憶をもったまま中華風の異世界に転生していた雨妹。後宮へ宮仕えする機会を得て、野次馬魂全開で乗り込んでいった彼女は、そこで「呪い憑き」の噂を耳にする。しかし雨妹は、それが呪いではないと気づき……

あれ? これもイラストがしのとうこさんなのか。中華風後宮ファンタジーでは引く手数多だなあ。
主人公の雨妹は前世の記憶持ち。元看護師で定年まで勤め上げて老後も穏当に過ごして天寿を全うした、という経歴は転生者としては珍しい完走組である。趣味は華流ドラマ。韓国で制作されたドラマが韓流と持て囃される一方で、中国で作られたドラマは華流ドラマって言うんですねえ。実際アレ、制作費がよほど違うのかセットの作り込みとかスケール感とか凄いです。
そういうの好きで好きでたまらんかったら、そりゃ実物現物となる後宮は実際見てみるどころか体験だってしたいよね。
というわけで、身売り同然に故郷を出されて後宮の宮女として働くことになった雨妹は、自分の境遇に凹むことなく、下働きの掃除係という立場を大いに楽しむことになるのである。
実際、この雨妹、メンタルが本当に強い、強いというか図太い! なんかこう、オバちゃん的な図太さとバイタリティなんですよね。前世で天寿を全うしたからか、看護師としてバリバリ働いて厄介な連中を相手にしてきた経験か。あんまり前世については細かく触れないのですけれど、子供も育て上げていたようですし、今更細かいことをぐだぐだと気にはせんくらいの経験は溜まっているか。経験というよりも性格な気もするけれど。
それでいてオバちゃんくさいだけではなく、小娘っぽい好奇心の強さや食いしん坊で餌付けされやすいところなど、小動物的なマスコット的な所も大いにあるので、年上の人や身分の高い人には結構目をかけられて可愛がられてるんですよね。よく気もつくし、働き者で情に厚いとなるとそりゃあ気にいるし目もかけますよねえ。
でも、普段から周りにくっつかずに一人で悠々自適に動き回っている上に、ほっかむりに口元も布で覆う、というほとんど眼しか覗いていない格好でうろついているので、多くの宮女や宦官からは不気味がられているのも確かで、うんそれは確かに見た目が怪しすぎるw
そういう周りの眼をまったく気にしない、という素振りもまた距離を置かれている理由でもあるんでしょうね。それもまったく気にしていないのですが。
人の目を気にしないので、言うべきこともためらわない。元看護師として迷信や呪いなどの妄言で人の命が危機に陥っているときには介入も辞さないし、ズバズバと直言も繰り出すので、気持ちいいのは気持ちいいんですよね。偉い人にも気を使わないし。

この雨妹、何気にその出自が非常に怪しいというか危ういもので、雨妹本人も自分の身の上はちゃんと知ってるんですよね。よくまあ知っているのに、平然と後宮にあがってきたなあ、とちょっと感心してしまいます。いや、何らかの思惑や感傷があるならともかく、この人ほんとに好奇心とかで乗り込んできただけだし。その出自を利用してどうこう、は全く考えていないのですが、彼女の身の上に気づいた人たちはとてもそんな風には考えられないですよね。何らかの思惑あって入り込んできた、と思うよなあ。
しかし雨妹は本当に野次馬根性とあと元の暮らしが孤児ということもあって本当にひどかったので、働いてたらちゃんとご飯食べれる宮女としての暮らしを求めてきただけで、それ以上のことは何も望んでおらず、出世欲とかも全然ないんですよね。むしろ前世で看護師という過酷な職業についていたこともあって、今世では身を削ってまで働きたくない、悠々自適に生きたい、と思っているので、医局ヅトメも拒否してただの掃除係にこだわっているのである。
いや、本来下働きの宮女もしんどい仕事じゃないのか、と思うところなのだけれど、マメにちゃんと働きながらも、うまいこと個室ゲットしたり、厨房のお姉さんと仲良くなって毎日お菓子食べさせてもらったり、何人かの妃と親しくなって甘いものを差し入れてもらったり、と……ホントに悠々自適に暮らしてるな、この娘!
前世での医療や健康についての知識を利用して、身近な流行病対策や安全安価な化粧品などを密かに流行らせたりと、段々と一部で注目を集めていく雨妹。まあこの娘のバイタリティからすると、嫌がらせは気にしなかったりうまいこと回避したりも出来るだろうし、あんまり心配にもならないのだけど。
しかしこれ、雨妹の出自からすると彼女の相方役って、太子じゃないんだろうねえ。となると、その側近の青年の方になるんだろうか。今の所、まったく眼中にない気もするけれど。