【百花宮のお掃除係 3 転生した新米宮女、後宮のお悩み解決します。】  黒辺 あゆみ/しのとうこ カドカワBOOKS

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お忍び旅行で後宮脱出! 食の大切さを説き回る!

明賢のお忍び旅行の供に任命された雨妹。容体の悪い妹の見舞いということで向かうのは、海辺の街! 今世初めての海に期待を募らせ出立するも、道中見過ごせない事態に次々と遭遇し……雨妹の回診劇が始まる!?

表紙絵の雨妹の格好、てっきりノースリーブで中華風の世界では珍しいなあ、しかも脇が甘くて随分とセクシーな衣装になっているけれど大丈夫なのか、と思ったら単に肌の色に見えただけでちゃんと長袖の服でした。まあオシャレはするにしても、そんな大胆な格好はお兄ちゃんが許しませんか。
明賢太子のご指名で、お忍びの旅行のお供に付き従うことになった雨妹であるけれど、その旅路というとお付きの女官じゃなくてむしろ主賓か、というくらい雨妹メインで観光なんですよね。彼女が興味持ったところに連れて行ってあげて、食べ物もあれこれと片っ端から露店などで買って食べさせてあげて、と。
いやこれ、太子さま、かわいい妹ちゃんを遊びに連れて行ってあげたかっただけじゃないの?
いいんだろうかこれ、と思いながら食の魅力にあっさり負けて餌付けされてまわっている雨妹も雨妹だけど。この娘、美味しいもの甘いものを食べさせていたら実にいい顔になるから、太子さまってそれを楽しみにしてる節もあるんだよなあ。
こうして見ていると二人は兄妹ではあっても年の近いそれじゃなくて、大人の兄と子供の妹という年の離れた兄妹感が凄くあるんですよねえ。それも兄の方は社会人で奥さんもいるような年嵩って感じで。実際に妃も幾人もいるのだから、奥さん居るというのも間違っていないのですけど。
しかし太子さまはいつまで雨妹にもう妹だと知っていると告げずにいるつもりなんだろう。雨妹の方もこれもう気づかれてるよなあ、と薄々察しているけれど太子側が何も言わないから触れないようにしているくらいですからねえ。
まあ、雨妹が実は公主だと公式に明言すると皇太后含めて面倒なことになるので真実を伏せているのは良くわかるんですが、もう本人にはお兄ちゃんだよー、と言ってもいいんじゃないかなと思うくらいなんですけどねえ。とはいえ、雨妹も太子にお兄ちゃんだよー、とか告白されても困るっちゃ困るのか。だとしたら、今みたいに暗黙の了解にしておくのが一番いいのかもしれないけれど。

さても、一応太子様も雨妹とただただ遊びに連れてきたわけではなく、一応その医療への知識を頼りにして、別家に嫁いだ妹へのお見舞いに連れてきたんですね。
これまで雨妹が関わってきた医療案件は、難病や大病など本物の医者でないと取り組めないものではなく、元看護師として関わるには基礎的でもあるだろう生活に根ざした健康障害が多かったんですよね。今回は熱中症に、件の嫁いだ妹の播玉さまが罹っていたのは過度のダイエットに端を発した味覚障害。
というわけで、雨妹は現地に居残って一ヶ月くらいを目処に播玉に無理のないダイエット方法を指導することに。勿論、お付きは宦官の立彬改め、武官の立勇が務めることに。
いや、結構あっさりと立彬が実は宦官じゃないってバラしちゃうんですね。もう最近は太子の側近というよりも雨妹のお目付け役になっちゃってる立くんですが、もうあんまり不満とかはなさそうなんですよね。今回なんぞ宮廷に戻る太子と離れて雨妹を守ることになったのですけれど、当たり前みたいに付き添ってくれてますし。ほんと最近、いいコンビになっちゃってますし。いちゃもんつけてきた黄家の副料理長を口八町で追い詰めるときの二人のコンビネーションと来たら、息ピッタリじゃないですか。
玉さまのダイエット指導でも、運動面では色々と助言もくれてますし。無くてはならない人になっちゃってるなあ。
しかし、後宮ウォッチャーなのについに後宮出たまんまになっちゃったなあ、雨妹ってば。
そして、玉さまが過度のダイエットに走る原因となってしまったプレッシャーの要因、黄家の内部の問題は未だ解決せずそのまま話は次巻へ。おお、初めての上下巻構成だ。