【時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん 3】  燦々SUN/ももこ 角川スニーカー文庫

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アーリャさんとお家デート!?ロシアンJKとの青春ラブコメ、第3弾!

討論会で勝利したことで一躍、クラスメート達からの称賛を浴びるアーリャ&政近ペア。
沙也加の思いを背負い、二人は会長選に向け決意を新たにする!
まずは目の前の期末試験に向け勉強に励む政近であったが、消し去れぬ周防家との因縁が思わぬ形で現れ、政近は体調を崩してしまって――
「有希さんに頼まれたの。あなたを看病してあげて欲しいって」「……」【嘘だけど】(うぐふっ!)
心配でいてもたってもいられなくなったアーリャさんが政近の自宅に押しかけてきて!?
不器用で献身的な"孤高のお姫様"の介抱はニヤニヤ必至!
大人気ロシアンJKとの青春ラブコメディ第3弾。
あれ? これってもしかして有希の方で爆弾の導火線に火がついてません?
冒頭で祖父から家を出た兄に負けないようにと叱咤される有希の様子が描かれていたのだけれど、うーむ。そりゃ、有希だって周防家の次期後継としての責任を一身に負わせられてしんどくないわけがないんですよね。いや、彼女の性格からして責任を負うだけなら動じずにむしろやる気見せてやってやらい、と奮起するくらいなんでしょうけれど、そこに兄を罵倒しながら負けることは許さん、とかメンツだかプライドだから余計でつまらないこと言われたら鬱々とした気分にもなるでしょう。
有希としては、敬愛する兄と真っ向から勝負することそのものは楽しいくらいの事だと思うんですけどね、正々堂々の勝負なら胸張って戦えるのにあんな事言われたんじゃあ、生ゴミぶちまけられるような感じじゃないですか。
そんでもって、母の微妙な態度。
政近ってあれ祖父よりもむしろ母親の方に負の感情を抱いてるんですね。怒り、失望、憎しみ、ちょっと意外なほど激しいネガティブな感情を母親に向けている姿は、むしろ政近の母親への執着が伺える。何の期待もしていない相手にそんな強い感情を抱くタイプには見えないんですよね、この主人公。母親の方はなにやら政近に対して、えらく罪悪感と言うか物言いたげな様子なのが余計にこの親子が拗れきっている様子が窺えてしまう。
そんでもって、有希の方もこの母親に全然心許している様子がないんですよね。祖父に対するのと同じ外面の仮面を被って接している。母親の方は兄と今も仲良く一緒に過ごしていることを知っているのに、だ。
有希にとって心許せる相手は兄と幼馴染にして側近である綾乃だけなのだろう。兄に関しては一応今は生徒会長選挙での敵陣営だ。祖父のお達しがどれほど馬鹿らしいと思っていようと、それに逆らうことが出来ない以上、兄とはどこかで線を引かなくてはならない。まあプライベートでは今も一緒に遊んでるんだけれど、やっぱり弱みは見せられないんですよね、今の関係だと。
どれほど勝負が楽しくても、兄が絶対的な味方じゃないというのはどこかでしんどさはあるものさ。
有希のメンタルはとてつもなく強い、それこそ兄よりもよっぽど強靭だろう。耐えて我慢する耐久型じゃなくて、物事を楽しみ難局にワクワクできるしなやかなタイプの強靭さだ。
そんな彼女でも、今の実家と親と兄との板挟みの状況が全然辛くともなんともないってわけじゃない、しんどいと感じているのは冒頭のシーンで明かされてしまったんですよねえ。
これ、いつかは限界が来るぞ。
政近からすると、有希への信頼は絶大なんですよね。妹の優秀さ柔軟さタフネスさを誰よりも理解し評価し認めている。だからこそ、実家の後継を彼女に投げたし、その判断は間違っていないのでしょう。有希はまず完璧に兄から継いだ役割を果たすに違いない。
それはほぼ真実であり事実であり、だからこそ兄は妹には限界なんてないと思ってるんじゃないだろうか。その信頼がいつか致命的な破綻をもたらしそうで、なんだかちょっと怖い。
今はアーニャに掛かりっきりで、ロシア語でポロポロと本心を暴露して政近のハートにクリティカルを与え続けてるアーニャに夢中になるのは、彼女には真に手助けが必要であると同時に助けたくなる少女であるから、当然でしょう。彼女に味方して妹と相対するのは妹の望みでもある。妹は兄と戦いたがっているし、兄の本気を味わいたいとも思っている。アーニャの事も応援しているし、二人のイチャイチャを妹としても楽しんでも居る。
それでも、どこかで兄は妹の事をもう少し、ほんのもう少しでも気にかけておいた方がいいんじゃないだろうか。
今回のアーニャへの有希の仕掛けは、ちょっと有希にしては強引だった気がする。ダーティーに攻めるにしても、若干その手法やら詰めに雑さが見えたのは気にせいだろうか。ちょっとずつ、妹から余裕が削り取られているように見えるのは、気のせいだろうか。

今回は一人暮らしのところに風邪引いて寝込んでしまった政近を、アーニャが看護するというアーニャに助けられる展開があるけれど、でも概ねまだアーニャは政近に支えられる側なんですよね。アーニャは忸怩たる思いを抱いているけれど、アーニャの側から政近を支えることはまだまだ出来かねている現状だ。今はそれでいいと思う。でも、いずれ政近の側が崩れた場合、アーニャが支えられるのか。周防家の内部で起こっている軋みは徐々にその大きさを増しているようにも見える中、いざその時が来たときこそアーニャの真価が問われるのだろう。それまでに、もっとイチャイチャしてラブラブ度をあげておくべきなんでしょう。つまり、もっと遠慮なくイチャイチャするのよ?
なんか生徒会長と副会長の方が積極的にイチャイチャしてますが、二人もアテられるがいいのさ。
しかし、あれだけロシア語では甘えきったセリフ吐きまくってるんだから、アーニャの方はちゃんと自覚して政近意識してるんですよねえ。これで自覚ないのにあれだけ甘えまくった本国語つぶやいてたとしたら驚きますよ?

しかし、有希は妹だから本当の意味で恋敵にはならないですけれど、綾乃はどうなんだ? こっちは本物の幼馴染なんだが、このプロの従者はそのあたり本音ではどう思ってるんでしょうね。気になる所ではある。