この紹介記事を書くと、コメントで皆さんご自分の面白いと思った作品を次々と紹介してくれるので、大変ありがたいです。なかなか面白い作品探すの大変ですからねえ。
でもありがたいんですけれど、おかげでついつい読みふけってしまって、やばいくらい時間が消し飛ぶのどうにかなりませんかね? 100話十分くらいで読める速読法とかないですかね?
気がついたら年末年始終わってそうなのですがw
皆さんも時間消し飛べーー。
ちなみにこの紹介記事、あともう一回か二回ほど続く予定です。


<小説家になろう>から
██▚ 現代魔術は異世界をクロールするか : 数理科学による魔術の始め方 ▚██ (▚ Richard Roe ▚)

ジーニアスが、父の所有する魔法書を読んで至った結論は、数理科学、であった。

 精霊という名前の『ラグランジアン密度で規定される物理作用場(スカラー場)』を仮定。状態空間表記される数式は特異値分解SVDを計算することでハンケル特異値が求まり、棄却可能な要素を削れば魔術方程式の計算リソースを大幅に節約可能。
 魔術演算補助アプリケーションを立ち上げ、数理系の工学理論を駆使して、ジーニアスはこの世界唯一の現代魔術師へとなるのであった。

デリカシーーッ!! いやほんと酷い主人公なんですよ。そりゃもう、鬼畜としか言いようがないくらい酷い。どれくらい酷いかと言うと、ヒロインたちとダンジョンに入り、女王アリとキラーアントの軍団、そして触手の化け物とアリの幼虫たちに挟まれて、芋虫に身体を這い回られ触手に弄られて女性陣が悲鳴、絶叫、半ばパニックになりながら必死に抵抗している最中のセリフである。
「大丈夫だ、害はない! 触手は体を舐め回してくるだけで、せいぜい微弱な精神汚染を与える程度と、魔力を少しずつ吸い取る程度だ! キラーアントに集中すれば命に別条はない!」

限界まで耐えながら、もう心壊れかけながらも、舐め回されながらなんとかキラーアントの大群と戦っている最中のセリフである。
「みんな、触手に身を預けるんだ! むしろ触手に取り込まれたほうがキラーアントの攻撃が届きにくくなって、状況をいったん立て直せる! 展開型非協力的ゲームにおけるリスク支配的なナッシュ均衡だ!」
絶望に染まりきった顔で視線を向けてくるヒロインたちに、なんでそんな顔をされるのか本気でわからず「?」となってるジーニアスくんの、無自覚鬼畜っぷりが素敵すぎて、爆笑の嵐でした。
全体的に非常に凝った魔術理論が飛び交い、設定厨としても大変に満足させてくれる世界観なのですが、そんな多種多様で重層的な魔術大系が多々ある中で、飛び抜けた才も魔力も持たないながら独自の数理科学理論によって組み立てた現代魔術、唯一無二ではなく普遍的、人を選ばず学べば誰もが使える汎用性の極地を目指す青年の物語。そして、思いやりはあるのにデリカシーが一切ない天才、或いはその境目を跨いじゃってるアレな男に振り回され泣かされ、それでもなんだかんだとかまってしまうヒロインたちの、受難にして賑やかなる冒険譚である。



武田信長の野望 〜滅亡して追放された武田信玄五代前の祖先は武田家を復興して大名に復帰するぞ!〜 (ほうこうおんち)

甲斐武田家は滅亡した。
次男坊、武田信長は野望を抱く
「いつか大名に復帰してやるし!」
明るさと不屈の精神とは裏腹に、何度も負けるし、挫折もする。
それでも何歳になっても諦めず、ついに戦国時代幕開けの戦いに参加し、そして野望を果たす。
何となく名前だけはインパクトが強い、武田悪八郎信長の人生を描く。

※あくまでもラノベです。
時代がかった口調もありますが、言ってる事はテキトーです。
なるべく時代的に合わない発言はさせていませんが、あったら指摘お願いいたします。

※転生者、チート、未来知識は出て来ません。
ただし主人公は追放されます。
後世の話は説明で出すだけで、人物の行動には一切関わりません。

※「鎌倉大草紙」とは内容一致したりしなかったりです。
史料の良さげなとこをつまみ食いしてるので、史実をベースにした物語ではあっても
史実そのものではないです。
(つーか、人名・所在・言動・兵力がきちっと書かれた史料あったら下さい)

さても武田信長という歴史上の人物をご存知だろうか。私の知る限りでは、漫画【犬夜叉】にちらっと登場したくらいで、その実態を描いた作品は過分にして知りません。
信長って諱の人物、意外と存在しないんですよねえ。わりとありがちな漢字の組み合わせにも関わらず。
これは室町時代中期。応仁の乱が始まる前。未だ戦国時代が訪れず、しかしその戦乱の時代の扉を開くことになる混沌の開幕を告げる時代の物語であります。応仁の乱は最近、ようやくテーマとして取り上げられることが増えてきましたけれど、その時代の関東って全然どうなってたか知らなかったんですよね。北条早雲こと伊勢新九郎が京都より現れる以前、あの江戸城を作ったという太田道灌が頭角を表していくまでの時期。鎌倉公方や、古河公方、関東管領など他にはない役職がどのようにして誕生したのか。
そんな中々一般的には知られていない時代の関東を、武田信長という負けても追放されてもめげずに前向きに大暴れしつづけるバイタリティの固まりたる人物を中心に描く、非常にダイナミックな大河ロマンでありました。何も知らないからこそ面白く感じられる歴史小説でしたね。そして、よく知られる戦国時代へと着実につながっていく各地の国衆たちの変遷がまた面白い。歴史というのは一切途切れること無く地続きで続いているんだなあ、というのがよくわかります。史料少なくてフィクション多めだ、と述べてらっしゃいますけれど、キャラ立ってる人ばかりでほんと面白かったなあ。


下準備転生〜下準備チートは全てを駆逐する〜 (Schuld)

 たまの休暇に温泉旅行に出かけようと企画した、大学時代からの腐れ縁三人組。
 しかし、運悪く事故で揃って死んでしまった三人は、死後の役所にて“神”から信じられぬことを告げられる。

 彼等の魂は本分を果たすことなく死を迎えたため、残った役割を果たすために別の世界で生きる機会をあげようと。
 生き返ることはできないものの、まだ生きられると知って落胆すると同時に安堵した三人に神はこう提案する。

「ほっほっほ、ではチート“下準備”をあげよう」

「した……じゅん……び?」

「うむ。今から時間が過ぎない空間にやるから、各々行き先の情報を見てから何が必要か考えてから行くのじゃ」

「あの、お手軽能力とかは?」

「そんな物よりずっと便利じゃろう。生まれる周りの情報と人物名鑑を置いてくので、後は己の力でなんとかするのじゃ」

 斯くして神から異世界にて事業を手助けすることを代価に転生することが適った三人は、念入りに重ねた下準備を持って異世界へ殴り込むこととなる。都合の良い力も、持っているだけで全てをねじ伏せるスキルもなく。
 重ねに重ねた入念な下準備だけを頼りとして…………。
【TRPGプレイヤーが異世界で最強ビルドを目指す  〜ヘンダーソン氏の福音を〜】の作者であるSchuldさんが手掛ける新シリーズ。転生モノって、死んだときによく神様と面談して多少の説明と贈り物を受け取って早々に新天地へと旅立っていくことが多いですよね。
だがしかし、そんなろくな情報もなく未知で不明な土地に放り込まれて、さて幾ら才能やらスキルやらを与えられたとしても、それを十二分に活かすことが出来るだろうか。
必要なのは、入念な準備である。戦争は戦う前に結果は既に決まっている、と語られるように、事前の準備こそがすべてを決するのである。
というわけで、A・B・Cの三人組は神様に、あの…まだ行かないの? と焦りを覚えさせるほどに事前の情報収集に知識の蓄積、入念な計画を建てた上で、異世界へと殴り込んでいくのである。
これぞ下準備転生、これぞ下準備チート。そして遊び心も忘れずに。
ドタバタ三人組のある意味これ世界征服紀行じゃないのかしら、と思いたくなる金と名声と権力と技術による席巻劇が開催中ですよ。


<やる夫スレ>から
【あんこ】追放ニート侍 (道造)

毎回紹介しているけれど、【【あんこ】悪役令嬢と石田三成】の作者さんの作品です。ってか、この人の作品毎回ハズレなしなんですけどね。特にこの下半期に発表された作品の中でも一番の大作になったのがこれでした。
ニート侍剣心、金に汚くしかし儲けた金はすべて遊女に使ってしまい、それでいて働きたがらないというニートの鑑のような冒険者。最初はもうクズ男にしか見えないのですけれど、そんな彼がどうしてニートをやっていたのか。ニートとして生きることを自分に課したのかがわかった途端に世界が180度ひっくり返る、この展開には度肝を抜かれましたわな。場末でほそぼそと投げやりな人生を送るうらぶれた男の小さな物語が、とんでもない大作へと、大河ロマンへと転がっていくのは毎日ワクワクしながら見ていました。まさかあの作品とあんな繋がりが出てくるとは。いやー、面白かった!
今連載中の【あんこ】柱間なうちは【NARUTO】もめっちゃ面白いんですけどね。