【賢者の弟子を名乗る賢者 5】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

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ソウルハウルの手がかりを求めて、天上廃都へ向かうミラ。
今回は目的地までが長距離になるため、大陸鉄道での旅路である。3階建ての巨大な列車に驚愕し、ますます列車旅にワクワクがとまらないミラ。
流れる風景に目を細めながら駅弁に舌鼓を打ち、駅町の高級旅館を堪能する。
そして旅の途中で出会う人々達との一期一会。
服飾店の広報に取材されたり、恋人たちの喧嘩を諫めたりと、そんな旅情を満喫するミラに、黒ずくめの怪しい男の影が忍び寄っていた――。


ハインリヒくん、ミラのパンツ見すぎ!!
と、導入が前巻と一緒になってしまったが、今回の場合は女性慣れしていない初心な侍にパンツ見せつけるミラが悪い。彼だけではなくまだ遊び盛りの男の子など,いたいけな男性に忘れられないトキメキを刻み残していってしまうミラ様、悪い女っ!
さて、今回は表紙絵にも描かれているように、大陸鉄道という巨大な列車を使っての旅。いいですよね、列車の旅。異世界の車窓から、とか言いたくなる。
そもそも、でっかい列車ってそれだけで浪漫満載のガジェットなんですよ。それも、一日では終点までたどり着かない遠方まで、幾つもの駅を通り過ぎて、幾つもの都市を走り抜けていく大陸横断鉄道みたいなのは。
今回は旅情編といった風情が詰まっていて、本当に楽しかったなあ。行きはファーストクラスの特別室で、絶景ともいうべき異世界の風景を楽しみながら駅でかった駅弁に舌鼓をうちつつ優雅に独りの旅をくつろぎ楽しむ時間。
帰りはエコノミーでその場限りの見知らぬ相手と相席となって、その瞬間だけ人生を交錯させる一期一会を堪能する。どちらも列車の旅行ならではの、風情なんですよね。
その上で、鉄橋の上で外から襲いかかってくる敵相手に、列車の屋根にあがってド派手なバトル、というのもまた列車アクションの醍醐味ってなもんである。
乗りっぱなしじゃなくて、ちゃんと夜には一度列車を降りて駅の近くの旅館に泊まって、温泉や旅館の食事を堪能するのもまた旅情の善いところですし、列車の発車時間が宿で休んでいるときにも聞こえてきて、そろそろ列車に戻らないと、なんて考えるのもまた列車の旅ならではなんですよね。この忙しなくはないけれど、そっと背中を押されるような発車時間に追われる時間制限。そして駅のホームから列車に乗り込んで、自分の席に座って窓の外を見てホームでまだごった返えしている乗客や見送り客の姿を見てホッとする瞬間。
いやー、今回はほんとに様々な列車の旅ならではの醍醐味が詰まっていて、旅小説的にもだいぶ楽しめました。こういうの、なんか好きなんですわー。
物語としては、七賢人の一人ヴァレンティンとの再会、そして悪魔の正体についての新たな知見が得られて、悪魔こそが敵という構図が崩れ去ったのが大きな動きだったでしょうか。
ヴァレンティンくん、見た目の胡散臭さとは裏腹に九賢人の中でもかなりの真面目枠なんじゃないでしょうか。おかげで苦労性っぽくもあるけれど、若々しい真面目青年というのは好感が持てるなあ。
しかし、最初に探しだしたソウルハウルにはさっぱり会えないのに、他の九賢人はわりとあっさり遭遇するなあw