【異世界忠臣蔵 ~仇討ちのレディア四十七士~】  伊達 康/紅緒 ガガガブックス

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ーーこの仇討ちは、伝説となる。

聖塩に護られし地、レディア王国。
だが悪臣キーラによって王は殺され、国家存亡の危機に立たされる。

列国最強と謳われたレディア騎士団も、護国派と仇討ち派で分裂の危機ーー。
現代人の寺坂喜一がやってきたのは、そんなときだった。

美少女団長クラノスの信頼を得て、仇討ち派の女騎士アンスヴェイを説得にかかる!

「黙れ乳騎士!」「何よ尻騎士!」
「やめろ! 過度な個人攻撃は、俺の世界でも問題になってるぞ!」

……おのおの方、頼むから仲良くしよ?

再現せよ忠臣蔵! 痛快“討ち入り”ファンタジー活劇、ここに開宴!!




ワタクシゴトではありますが、赤穂浪士討ち入りの日が自分の誕生日だったりするので、まあやっぱり忠臣蔵は気になるものなのですよ。
ただまあ昔から、実際に主君を処刑した幕府にはおとなしく従っておいて、吉良上野介個人を狙い撃ちして押し込み襲撃するのって、それ仇討ちなの? とは思っていたんですよね。
吉良爺ちゃん、とばっちりじゃないの? てな感じで。なので、昔からふんわりとした吉良派ではあったのですが、【オール・ユー・ニード・イズ・吉良〜死に戻りの忠臣蔵〜】という吉良上野介が主人公の怪作を読んで以来、この格好良い吉良爺ちゃんに惚れ込んでしまってどうしても吉良贔屓になってしまっておりまする。
なので、若干不安ではあったんですよね。異世界が舞台とはいえ、自分、敵方の方に肩入れしてしまうんではないかと。
同時に、美少女騎士が大石内蔵助相当の騎士団長、ということで最終的に美少女騎士団全員切腹するんか。なんかこう……絵面的にすごいな! 凄いな! という謎のテンションに陥っていたのですが、そもそもこのレヴィア騎士団、別に全員が女という美少女騎士団ではありませんでした。ってか、副団長が渋い老騎士すぎて、格好良い。
この副団長、異世界から飛ばされてきた主人公の身元引受人になって面倒見てくれた人でもあり大恩人なんですよね。騎士団でもご意見番として重く用いられている人だし、親友となったサーワンの親父でもあり、とまあ大した人物なのである。友達のサーワンも、軽薄なナンパ師なんだけれど腕は確かで何より異分子である主人公の喜一ことキッチュを気にかけてくれるイイやつで、すぐに気の合う友達になったんですよね。ってか男たくさんいるじゃん! 沢山はいないけどそれなりにいるじゃん!
女性陣もそれぞれ個性的というか特徴的というか属性的というか、なかなかの逸材揃い、或いは変人揃いで正統派美少女っていますか? いませんか? あ、クラノス騎士団長の妹であるシュゼが妹キャラであると同時に正統派美少女だ。
姉の方はと言うと、完全に残念系少女だけどね。元の大石内蔵助が昼行灯を装っていた事からの派生なんだろうけれど、彼女の場合は完全に天然だからなあ。とはいえ、クラノス、天然であってもぼんくらではないのである。むしろ、猪突猛進型の何も考えずに暴れまわりたい系脳筋騎士が揃っている中では狡猾にしてハラグロ、寝技も出来る中々のやり手なんですよね。その上、剣の腕も天才ときたもんだ。天は二物以上を与えまくっておられる。天然ポンコツもまたキャラ的には長所ですしね。
止めは巨乳と来たもんだ。むしろ、乳こそが特徴、乳だけがアピールポイント。乳騎士と呼ばれるほどにレヴィア国全体に知れ渡る乳! って、どんな国なんだ、自分とこの騎士団長をまず巨乳として認識している国の民ってば。まあ騎士団内部も乳に気を取られている人材が大半のようなのだけれど。
一方で騎士団最強と歌われる堀部安兵衛相当のアンスヴェイは尻、尻騎士として国中に知れ渡り、ってだから騎士団の2大巨頭が乳と尻でまとめられているのって、どうなんですか!?
ちなみに、当人たちも乳と尻をアピールしているので、むしろ本人推しの模様です。乳と尻の派閥争いが起こってそうで、なんともはや。
この個性的な47人……いや、そんなにみんな全員顔だしていなくて主要メンバーだけですけれど、ともあれこの個性的な47人が最終的に切腹する、というのはなんともほのぐらいゾクゾク感が湧いてきますなあ……って、さすがにそこまで本邦の忠臣蔵をなぞるかどうかは怪しいですが。
そもそも、この物語における吉良上野介たるキーラ王は、完全に悪役……ではなくワルモノですからね。それも、人品が卑しいワルモノではなく、人類の敵たる魔族という勧善懲悪的物語のワルモノなんですよね。
これはもう、贔屓のしようがない吉良様だ。何の気兼ねもなくぶっ飛ばせる敵なんですよね。処刑されたレディア王も、錯乱してじゃなくてキーラの正体に気づいて、という理由あっての所業だったようですし。
今の所、まだキャラ紹介という感じでレディア本国に主君の凶行とそれに伴う処刑が執行され、廃国勧告がなされた、という段階で。速攻仇討ち派と帝国に訴えて廃国を回避しようという本国派の対立を主軸とした話で終始しているので、まだ始まったばかりなのでわりとこの作者さんとしては大人しめかも。
どうやら17歳組、という主人公のキッチュにクラノス、アンを含めた若手をメインに据えての話となっていくようなので、とりあえず物語が本格的に動き出してからが楽しみです。