中東で行われる競馬の祭典というとドバイでのそれが有名ですが、近年サウジアラビアにおいても新しく海外から競走馬を招いて行われる国際競争が作られました。
それが2020年に開始されたサウジカップデー。
それで今年から正式に国際重賞として認定されました。とはいえ、実は2020年の最初から日本の馬たちも行ってたんですね。ただ、やはり重賞として格付けされていなかったためなのか、ドバイほど話題にはならなかった記憶があります。行ってた馬も微妙に一線級とは言い難い馬が多かったですしね。
しかし、最高賞金を誇ったサウジカップにはゴールドドリーム、クリソベリル、チュウワウィザードなど日本のダート界を牽引する一流馬たちが乗り込み、しかし残念ながら跳ね返されてきました。

今年はサウジカップ以外のレースもG3認定された事もあり、一線級の馬たちが参戦。
いや、何しろG3と言っても賞金が一着1億円以上ですからね。そこらの日本のG1とさして変わらない賞金額。さらに招待での参戦となると、経費ほぼほぼ向こうが負担してくれるっぽいんですよね。馬の輸送費なども含めて。
そりゃ行くさ。

というわけで、帝王賞とチャンピオンズカップを圧勝したテーオーケインズ と、ご存知ブリーダーズカップ・ディスタフを勝ったマルシュロレーヌを大将格として、G1戦線を戦ってきた馬たちがサウジカップデーへと大挙参戦したのでした。

まずいの一番に勝ち名乗りを上げたのが、「ネオムターフカップ(G3)2,100メートル 芝・左」に出走した「オーソリティ」
いきなり第一レースでルメール騎乗の日本馬が勝っちゃったのだから、テンションあがる。
オーソリティは、先日引退したコントレイルと同じ世代。とはいえ、彼は2歳時にホープフルでコントレイルと激突して5着になって以降はクラシック戦線には参戦せず、ダービートライアルの青葉賞には勝ったもののそのまま秋まで休養。11月のアルゼンチン共和国杯で古馬相手に勝ち名乗りをあげる。
その後長距離戦線で活躍し、G1こそ勝てなかったもののコントレイルの引退レースであるジャパンカップで2着。アルゼンチン共和国杯を連覇など、手薄と言われたコントレイル世代の数少ない手練として、コントレイルの去った世代を牽引する立場にあったんですね。
それがG3とは言え賞金額ではG1級のこのレース、しかも海外レースでむちゃくちゃ強い勝ち方を知て見せてくれました。
最初からスピードの違いで先頭に立ち、後ろの馬たちが必死に追うなかで馬なりで楽々と突き放し、ほぼ楽勝。いや、段違いの強さでした。

2レース目は「1351ターフスプリント(G3)1,351メートル 芝・左」
日本ではこんな中途半端な距離のレースはないのですが、1200を主戦場とするスプリント巧者たちが参戦。つーても、勝ったソングラインは1200走ったことがなくてむしろマイルが主戦場。
牝馬ながらにNHKマイルCに参戦してシュネルマイスターの2着に入った馬であります。その後富士Sで重賞初制覇という馬でした。
そのソングライン。スタートでは若干出遅れて中団、周りを囲まれながらの競馬でしたが、直線に入ったところで前が空いた途端にぐんぐんと前進。競り合いとなったところでグイっと前に出て後続も抜かせることなく、そのままゴールまで駆け抜ける、というこれまた強い勝ち方。
そして鞍上は再びルメール!
エントシャイデンこそ12着に沈んだものの、もう1頭参戦していたラウダシオン(NHKマイルC勝ち馬)も四着入賞。ラウダシオンは去年の下半期はまったくいいところない二桁着順が続いていただけに、これが復調のきっかけになるか、それともよほどサウジの芝は日本馬に合うのかしら。

そして3戦目の「レッドシーターフハンデキャップ(G3)3,000メートル 芝・左」で登場したのがおなじみステイフーリッシュ。7歳となる、ワグネリアンやフィエールマンとクラシックを競った古豪である。それで勝った重賞が3歳時の京都新聞杯のみ、というのがまたアレなんですよね。常にG1戦線で戦い続けたにも関わらず、いつも一歩勝ちに届かない名うてのシルバー・ブロンズコレクター。
30戦してわずか3勝ながら、3着までを含めると、30戦中15戦という半分で馬券に絡んでいる馬券的にも絶対に名前を無視できない馬だったんですよね。
今回、ハンデ戦という事もあり背負った斤量がまさかの60キロ。いやこれはキツい! しかも菊花賞以来となる未曾有の3000メートルステイヤー戦。ちなみに菊花賞は11着の二桁着順だ。
これは厳しかろう、と思っていたのだが。
レースを見ると、ポンと飛び出した勢いで先頭を突っ走るフーリッシュ。いや、あんた逃げたことあったっけ? と思って見ていたら、これが手応え楽なまんま、手綱もったまんまサクサクっと走っていくんですね。
直線入っても速度衰えるどころか、むしろどんどん突き放していく。強い! いや、マジで全然後ろ追いつけなくなってるんですが!? 
4年ぶりの優勝を、海外の地で勝ち取ったステイフーリッシュ。いやG1じゃないんだけどさ、これはお見事。

と、ここまでルメールルメールルメールの三連勝。当時、ライブ映像を見ていたわけじゃないんだけれど、速報入ってくる度に勝った、勝った、また勝った、ルメールが。でしたからね。
わはーーっ! てなもんでしたよ。

その後日本馬の参戦がなくしばし空いて6レースは「サウジダービー(G3)1,600メートル ダート・左」。これに参戦したセキフウとコンシリエーレは正直全然知らない馬でした。でも、2着、3着と上位入賞。

次の第7レース「リヤドダートスプリント(G3)1,200メートル ダート・左」では、ダートスプリントの雄ダンシングプリンスがこれまたルメールで快勝。
このダンシングプリンスは、一度中央で勝てずに地方競馬は船橋に転厩となったものの、そこで連勝を重ねて自力で中央に舞い戻り、そこでも勝ちまくってついにカペラSを奪取。重賞ウィナーになったまさに叩き上げの王子様なのである。
その王子様、サウジの地で初っ端から先頭に立ち、そのまま後ろ6馬身ぶっちぎっての圧勝である。なんというサクセスストーリー。
ってか、ルメール、この日は逃げまくりじゃないですか。逃げたというより、馬のスピードに任せたという感じの馬なりの追い方で、今回の祭典では日本馬のスピードの速さを感じさせられました。
いやでもダートでも、これだけ強かったのは意外だなあ。芝は多分、日本馬に合ったんだろうけど。

そう、メインのサウジカップでは、大将として乗り込んだG1馬、テーオーケインズ とマルシュロレーヌはそれぞれ8着と6着に沈んでしまったんですね。
むしろこのレースではケインズ、スピードについていけなかった感があったんですよね。あっちのダート走りにくそうにも見えたのですが。
サウジカップの一着賞金は、仰天の10億円。一桁違うw
さすがにこのG1 10億円の壁は高かった、ということでしょうか。でも、勝った馬は地元サウジの馬だったそうなのですけど、普段走ってる距離とも違っていて人気全然なくてかなりの伏兵だったみたいなんですよね。それだけ波乱のレースだったみたいです。
日本のダート馬たちにとっての、目標にもなってきそうだなあ、サウジカップ。前年もチュウワウィザード跳ね返されてるし。

ルメールはこの日だけで5億円以上の賞金荒稼ぎ。騎手の取り分は10%だそうなので、それでも5000万円ですよ。とんでもねーなー!