【放課後の迷宮冒険者(ダンジョンダイバー) 日本と異世界を行き来できるようになった僕はレベルアップに勤しみます】  樋辻臥命/かれい GCN文庫

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――たまには肩の力を抜いて
異世界行ってもいいんじゃない?


▼あらすじ
ひょんなことから日本と異世界ド・メルタを往復できるようになった高校生、九藤晶。

特に使命もなく気ままな異世界ライフを楽しむ彼は、
ギルドの受付のお姉さんからタカられたり、
魔法の師匠から“ご褒美"を貰ったり、
助けた女の子とキャッキャウフフしたり……!?

樋辻臥命×かれいのコンビで贈る新感覚ライトファンタジー、スタート!



ゲーム感覚じゃなくて、これはキャンプ感覚、と言った方がいいのかもしれない。
特に何の使命を帯びている訳でも身命を賭して手に入れたいものがあるわけでもなく、この異世界に来る際に出会った神様からも、別に好きなようにしていいよ、というかなり緩いお許しを頂いて、異世界に遊びに来ている主人公九藤晶。金を稼ぎたいとかレベルをあげたいとか、有名になりたいとか強くなりたい、という個人的な欲望にも駆られていないから、極々単純に楽しく過ごしたい、という理由で異世界まで来ているケースはさすがに結構珍しいんじゃないだろうか。
かと言って、近くのゲームセンターにふらふらと遊びに来てるような、そんな準備も覚悟もないフラッと立ち寄ったみたいな感覚でもないんですよね。

強いてあげるなら、趣味としてガチのキャンプとか山登りとか、そういう方向性じゃないだろうか。何しろ晶くん、異世界のダンジョンに潜るにあたってこっちで出会った師匠に厳し目に仕込まれていますからね。定期的に訓練も受けているみたいだし。
なので、ちゃんと準備を整え技術も磨き、装備も揃えていざダンジョンへ、という感じなのでガチ趣味人といった気風である。
かと言って、ダンジョンの深深度を目指したりまだ見ぬお宝をゲットするために強敵に立ち向かったり、とまで行くと本気の冒険家とかプロの登山家といった、人生を賭けちゃってる系になっていまうので、あくまで手軽に楽しめる程度に収めているのである。趣味、あくまで趣味なのだ。
こののめり込みかたの絶妙な塩梅は、なかなかクセになるバランス感覚なんですよね、面白い。
下手に目立って有名になっちゃうのも面倒くさい、というのもよく分かるんですよね。有名税みたいなもんで、他人からの視線や期待が集まってしまうと、どうしたって煩わしいことが増えてしまうのである。何らかの目的があるなら受け入れるべきコストかもしれないけれど、単純に遊びに来ているだけなら、余計な手間を増やされるというのは遊ぶ時間を削られて本来やりたい事ができなくなっていくという意味で、ほんと邪魔なんですよ。鬱陶しいんですよ。
だから、他人と関わること自体が嫌なんじゃなくて、変に関わりを増やすことで要らん仕事を負わされたり、しがらみが発生したり、強制的にイベントに出席させられたり、と時間とかのリソースを削られて減らされストレス負わされるのが嫌なんですね。
だから、人付き合いを避けているわけじゃないから、縁があったら仲良くだってなるし、困っている人がいたら出来る範囲で助けだってする。強制や周りの同調圧力とかじゃなく、自分で好きにやるならリソースだってどんどん注ぎ込む。
特に人を助けることに関しては、労苦を惜しまないあたり、この晶くんはシンプルにいい人なんですよね。小心者であるがゆえに、困っている人を見過ごしてしまった方があとでウジウジと引きずってしまう、という性格面もあるのかもしれませんが。
まあ尤も、彼って自分でいうほど小心者とか臆病というタイプでもないと思いますけれど。かなり図太くてタフな性格してるんじゃないだろうか。
そもそも、元の世界では高校生らしいですけれど、果たして普通の高校生かどうかは若干怪しい素振りがあるんですよね。
生死に対する割り切り方とか、善悪へのバッサリとした見方といい、やけに冷めた部分があるんですよね。これ、異世界での生活で培われたものとはちょっと違う、彼の根っこの方に刻まれてる性質にも見えるんですよね。それに、元の世界の方の交友関係が、チラッと聞こえるだけでもなんか変だもんなあ。
なんか、変身ヒーロー系の人が幼なじみ居てはらへんですか?w
わりと元の世界でも結構派手目のトラブルに巻き込まれてるんじゃないだろうか、この子。

作者さんが気晴らし感覚で書いていたという作品なせいか、シリアスな事件や、世界規模の危機などといった展開はなく、ひたすら緩い雰囲気で異世界ド・メルタのダンジョンでちょっと冒険をし、元の世界から持ち込んできたりこっちの世界で調達した食材で美味しいものを食べたり、仲良くなった人たちとわちゃわちゃ遊んだり、といった日常が描かれていくお話は、ほんと肩の力を入れずに読める楽しい作品でありました。
気楽に書いたからこそ、お話それ自体もキャラクターたちも制限や縛りなく自由に伸び伸びと動いている感じがして、思わずこっちもニコニコしてしまうような何ともほんわかな味わいのある愉快な作品でしたねー。
なんか、元の世界の方に戻っての、それも異世界の方で知り合った友達連れて帰っちゃう話も、続きであるみたいなので、是非読みたい!