【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 5】  樋辻臥命/ えいひ GCノベルズ

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ライノール王国西方への旅と、急遽参戦することになったナダール伯討伐戦を終えて、王都へ帰還したアークス。
そんな彼を待っていたのは、セイランの父である国王シンル・クロセルロードへの謁見と、討伐戦の論功式典であった。
予想もしなかった初陣で挙げた大功は、果たしてアークスに何をもたらすのか――?

廃嫡された少年の活躍に、
群雄たちの注目が集まって……!?



エイドウさん、陛下と和解できて良かったなあ。そりゃ、エイドウからすると、陛下たちの仕打ちは裏切りだし恨んで仕方のないものだったんだろうけど、確かにエイドウの性格を知ってしまうと事情を正直に言っちゃったら自ら危険に飛び込むどころか死にに来てもおかしくなかったものね。
彼を守りたいと思ったら、彼に理不尽を強いなければならなかった、という陛下たちの思いも仕方ないと言えば仕方ないわけで。
陛下たちだってままならない悔しさはあっただろう。その想いを胸に、今国王に登極して思う体制を作り上げたそのさきで、今もう一度かつての友と生きて再会でき、今度こそ迎え入れる事が出来た、というのは嬉しいでしょう。
その親友であるエイドウを、個人同士で繋がりも信頼関係も構築していたとはいえ、アークスに預けたというのは、それだけで滅茶苦茶陛下がアークスのこと信頼したという証じゃないだろうか。いやこれ、めっちゃ見込んでいるでしょう。それだけの功績あげまくってるのもあるわけですけれど。
……子供のこともある意味任せてる、と言えますしねえ。

そのエイドウさん、なんでかコック就任に。いや、なんでコックさw
まあアークスの家、既に執事が二人いるだけに三人もいたら流石に多いだろうというのはわかるんですが。エイドウさんって隠密系な人ですし、そういうのって御庭番じゃないの? 庭師とかじゃないのか。
コックって、わりとコックのお仕事で忙しそうだけど。これ、アークスが食べたい前世の世界の料理の再現に、便利に作ってくれる人担当って事なのかしら。まあエイドウさんも料理楽しそうなのでいいのだけれど。

さて、初の戦争はセイラン王子の元で大活躍。活躍しすぎてセイラン王子よりも功績あげちゃったものだから、そのへんバランスを取っていくらかセイランの方におすそ分けすることに。
こういうの、下手をすると臣下の不満をためてしまうことになるので難しい調整なのだけれど、そこはアークス、大人である。むしろこれセイラン王子、ちょっと負い目感じちゃったんじゃないだろうか。
まあ二人の関係からして、拗れることはないだろうけれど。アークスの方は知らない関係だけれど。
でも、表に出せる勲功だけでも十分で、戦争の論功行賞で公式に国王陛下から勲章を賜ることになったアークス。魔力測定計の開発者として発表される前に、国内外に名を知らしめることになってしまいましたがな。これは、いざ開発者として名を知らしめた時に、無名の子供が、というスタートじゃなくて、あのアークスが、という事になるからずいぶんと吹き上がることになるんじゃないだろうか。
アークス、最初の奮起自体が自分を全否定する両親を見返してやりたい、というところから始めているだけに、普通に承認欲求あるんですよね。ちゃんと褒めてもらう。公式に称賛される、という事に照れたりかしこまったり恐縮したり、とかじゃなく普通にテンション上がって嬉しくてたまらなくなる、というのはなんか当たり前の反応といえば当たり前の反応なんだけれど、そういう当たり前がちょっと新鮮でもあり微笑ましくもあり。

しかし、これだけ公に認められる功績をあげても、父親は認めてくれないのか。あの頑なな様子を見ると、意固地になっているというよりも病的なものすら感じるんですよね。魔力が少ないアークスが認められてしまっては、自分の中の何かが崩壊してしまうかのような、足元が崩れてしまうかのような態度じゃないですか。トラウマみたいな何かを抱えているんだろうか。
この件に関して意外は本当に優秀な人みたいだし、魔力の少ない人への偏見があるのかというと……同じ理由で放逐された兄とは仲いいんですよね。それだけに、アークスへの態度だけが不自然ですらある。いずれ、アークス自身が向き合うことになるんだろうけれど。

でも、父親のみならず、魔力が少ないというのはそれだけで下に見られる風潮は貴族社会には根強くはびこっているようで。国定魔導師を含めて、本当の実力者や魔力計の発明の意味を理解できるような人達はみんなアークスの事を正当に評価し、彼が何をしでかすかをワクワクして見守っているくらいの認知度なんだけれど、そういう見識を持たない人や知識が追いつかない人達にとってはアークスは過剰に評価され贔屓されている人物に見えてしまうのだろうか。
もうすぐはじまるだろう学園編では、そのあたりの固定観念がどんどん足を引っ張ってきそうだし、国定魔導師になるのも今の功績だけでも世論を納得させられないとなると、ハードルだいぶ高くなってくるんだろうなあ。セイラン王子の側近として望まれるだろう立場も、周りの目は厳しくなるのかもしれない。
となると、一番ハードル高くなってくるのはやっぱりスゥとの関係なんですかね。
意外だけれど、スゥの正体は国でも立場が上の方の人はある程度周知されているのか。それを知った上で、アークスがスゥのお気に入りであることを受け入れている人達は、アークスがお婿さん候補というのもある程度認めてるって事なんですかね。
なんか、元婚約者のシャーロットとバチバチ火花が飛び散りだしてる気がしますが。

それにしても、スゥの素の喋り方って、スゥとしてのこっちの女の子らしい喋り方じゃなくて、あっちの方だったのか。そう考えると、公式の場だけ無理してああいう格好してるというわけじゃないのか。女の子としての振る舞いも作っている感じはないので、うまく使い分けてるって感じなのかしらね。