【望まぬ不死の冒険者 5】 丘野優/ じゃいあん オーバーラップノベルス

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不死者、冒険者組合長(ギルドマスター)と交渉す。

吸血鬼狩り(ヴァンパイア・ハンター)ニヴ・マリスの聖炎を浴びたにもかかわらず、吸血鬼ではないと判断された『不死者』であり冒険者のレント。
レントの持つ『聖気』に原因があると睨んだロレーヌの提案で、聖気を得た祠のある故郷ハトハラーの村へ向かうことを決める。
数週間マルトを離れることになるため、弟子のアリゼの武具や杖を制作するレントとロレーヌ。
そしてレントは、ニヴのような人物とのトラブルを避けるべく、名前の二重登録にお墨付きをもらうため、冒険者組合長(ギルドマスター)ウルフ・ヘルマンへ交渉を持ちかける。
しかし、数多の荒くれ者を束ねるウルフは一筋縄ではいかないくせ者で……!?
「初めまして、銅級冒険者レント・ヴィヴィエ」
強大な魔物と戦い、多くの謎を暴き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀(ミスリル)級を目指す、不死者レントの『冒険』、第5弾――!

ちょっとーー! 前巻での流れからして、この巻はレントの生まれ故郷に行くの回じゃなかったんですかっ!?
行こう行こうと言いながら、その前に用事を済ませてから、とあれこれやっているうちに5巻終わっちゃったんですけれど!?
そりゃ、数週間はマルトの街を離れないといけないので、その前に弟子となるアリゼの武具だって作ってあげておかないといけないし、依頼を受けていたラトゥール家には一時的に依頼を停止する挨拶に行かなきゃいけないのも礼儀として当然ですし、魔法の袋が入荷されたとなったら買いに行かなきゃならんし、色々とやることが山積みだったというんだから仕方ないんだけどさ。
いきなり逃げるように街を出ていったら、一度吸血鬼じゃないよね判定を出してくれたニヴ・マリスも余計に怪しいと思うだろうけど、ここまで色々と丁寧に用事済ませてから街をしばらく空ける、となるとあんまりほとぼり冷ますために逃げ出す、という雰囲気にもならないだろうからなあ。
しかし、ここで冒険者ギルドのギルドマスターに面通しして、二重登録の件まで片付けてしまうとは思わなかったけれど。あのレント・ヴィヴィエというロレーヌの親戚設定、やっぱり最初から無理があったんじゃないだろうか。
まあ無理を承知で、というところでもあったでしょうし、今の吸血鬼として人外とバレない人相になった以上、屍鬼のときのように絶対に正体を隠さないといけない、という状況でもなくなってましたからね。いや、それにしてもずいぶんと速かったけれどさ。
本人もぶっちゃけてますけれど、レントの事を知っている人にはあんまり隠すつもりなかったんですもんね。本当に隠すつもりなら、レントなんて本名名乗らないだろうし、知ってる人は事情があるんだろうと察して黙ってくれているだろうし、実際黙認してくれていたんだけれど、それにしてもあからさま過ぎて、これ黙ってていいんだろうか、と知り合いはみんな困惑してたんじゃないだろうかw

ともあれ、ギルドマスターの方もほぼレントの事は承知していたみたいで、前からいずれギルド職員にしてやる、と張り込んでいただけあって注目もしていたみたいだから、今回の二重登録解決の件もわりとあっさり受け入れてもらうことに。ただでさえ、有用な冒険者で目をかけてた上に現状ではさらに実力も身につけて、ギルドとしても非常に助かる人材になっている以上、便宜を図るのは利益にもかないますしね。
ギルドマスターも、その来歴からレントの生き方には共感を抱いていたみたいですし。それにしても、あっさりとギルドマスターにまで事情を打ち明けるとは思わんかったけれど。
契約による縛りをちゃんとつけるのは、一応慎重ではあるんだろうけれど、それでもレントってわりとあっさりと相手のことを信用しますよね。
誰でも安易に信用しちゃう、というわけじゃなくちゃんと人を見ているんだろうけれど。契約という安全弁や脅迫ネタも用意していたのだから、無策ではないんだろうけれど、やっぱり人がいいですよ。まあ、それだけポンポンと事情を打ち明けるに足る信頼できる人物が周囲に多かった、ということでもあるんでしょうけれど。

でも、二重登録の解決法の一つに、実は婿入り結婚してたのを事務処理の方で誤って別人として登録しゃってた、という解法には吹いてしまった。いや、最初にロレーヌのファミリーネーム名乗った段階で婿入りじゃん、と思ったけれど、法的にも事務処理的にもそれが一番適当な解法になるとは思わんかった。それ、自分一人で判断せずにちゃんとロレーヌと相談した方が良かったんじゃないだろうか。もうわりと流れというか運命がロレーヌとの結婚の方に流れていっている気がするのだけれど。
見方を変えると、ロレーヌを連れての故郷凱旋も、嫁連れて帰ると思われても仕方ない展開じゃないのかこれ。

さらには、スケルトンの際に多大な世話になったリナとも再会し、近況を伝えあった上に、リナを探していた兄の話も伝えることで、リナ兄妹のすれ違いも解消の流れに。こういうパターン、誤解やすれ違いでややこしい事になりがちなのに、あっさりとレントを通じてコンタクト取れちゃったよ。いや、良いことなんですけれど。物語としてもありがちな展開にならずに、むしろ面白いぞこれ。
ただお互いの都合から兄妹が再会ならなかったのは、さてどう転がっていくのか。

ともあれ、用事を片付けてやっとこ故郷への旅へ。と言っても、数ヶ月数年単位の旅ではなくほんとちょっとした小旅行といった感じだけれど。そこでさらにエルフの聖術師と遭遇。これまでずっと我流だった聖気の使い方についてご教授していただくことに。この短期間に色々とよく出会いますなあ。
肝心のレントの故郷である村についてからの話は次回へ。結局、五巻終わっちゃったよ。どれもまあ必要な話ではあったんだろうけれど、完全に準備回という感じのお話でありました。