【秘密結社デスクロイツ 2】  林 トモアキ/ まごまご 星海社FICTIONS

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ヒーローたちのデスクロイツ基地強襲を辛くも撃退し、普段の学校生活を送っていた織太(オルタ)だったが、隣の席に魔法少女(ノエル)が転校してきて、平穏な日常はサバイバル(身バレしたら死)に変貌する!

超装姫(聖花)&魔法少女(ノエル)&月光騎士(ルナ)とのカラオケ合コン!
聖花の通う超お嬢様学校への潜入調査!!
そして新たな脅威、凄腕ハンターと触手ヴィラン!!!
怒濤に迫り来る難題に、織太とデスクロイツは今日も悪の矜持を守るため立ち向かうーー!!
林トモアキが贈る、誠実悪役主人公VS残念正義ヒロインズのバトルラブコメ、第2ラウンド!!
ヒーローもので悪の組織側が主人公サイドになると、定番となってくるのが正体を隠した上でのヒーロサイドとの交流だ。もちろん、悪の組織側がガチで反社会的破壊活動ばかりしているガチの悪人なら、成り立たない構図だけれども。
でも、ある程度マトモな常識を持っていたら。さらに、悪の組織の一員という以外に一般社会に一般人としての顔を持っていて普通に暮らしている、という側面を持っていると、同じく学生でも何でも一般人として正体を隠して過ごしているヒーローと、日常サイドで思わぬ交流が始まってしまったり、というのはやっぱり定番なんですよね。やっぱり面白いもの。
それが男と女だったりすると、ロミオとジュリエットみたいに相容れぬもの同士のラブストーリーなんかがはじまっちゃったりするので、やっぱり面白いのだ。悪の組織側が主人公のお話の醍醐味と言っても良い。
その観点からすると、本作の第一巻はキャラクターのメンバー紹介という側面もあり、まずは悪の組織とヒーロー組織の衝突から話がはじまることもあって、両サイドとも敵対組織の相手との初対決、で終始した感があるんですよね。
それが、この2巻では日本の学校に通うことになったノエルが、オルタの通う学校に転校してきて、といきなり日常サイドでのガッツリとした接触によって幕が開けるのである。
むしろ、ここからがこの作品の本番スタートだった、と言っても過言じゃないのかもしれない。
オルタの方はノエルの正体に即座に気づいて避けようとしたものの、ノエルの方は気づかないままオルタに絡むようになり、何だかんだとよく一緒に過ごすようになっていく。
おまけに、合コンまがいのイベントに誘われて、男っ気がないことに引け目を感じていた聖花とルナも巻き込んで、正体がバレないかなど色んな意味でハラハラドキドキのドタバタ劇がはじまるのである。
もうこれ、がっつりラブコメですよね!?
いや、真面目な話、オルタって悪の組織の人間だけれどあらすじにもある通り誠実で適当にあしらって避ければいいノエルの相手も、何だかんだと真面目に相手してダメ人間な所を露呈していく彼女の世話を焼いてしまうような少年で……うん、普通にモテるタイプなんですよね。
てか、人間的にも人格的にもヤバかったり残念だったりするヒロインズにはちょっと勿体ないくらいの優良物件なのですよ。
あっさり、餌付けされて毎日弁当食べさせてもらうようになるノエルさんは、もうちょっとこう……女子力頑張れ。
いやでも普通に格好良い男の子なんで、ノエルの乙女回路が刺激されて気になってきてしまうのも無理からぬところ。ってか、毎日一緒にお弁当食べるって、何気に関係進展しちゃってるんじゃないだろうか。
幸いにしてルナも聖花も違う学校なので、学校生活では邪魔が入らないですしね……部下のクラエですら違う学校だから、ほぼ日常パートをノエルが独占してしまうのである。これ、メインヒロイン昇格なんですかね!?

思いの外ヒロインズにオルタの正体がバレてしまうのは意外だったのですが、そもそもノエルがオルタの学校に転校したのって偶然でもなんでも無くてヒーロー組織の日本支部の聖花のお父さんが、オルタの事知ってるからそこに送り込んでやった、という時点である意味デスクロイツとヒーロー組織ジャスティスの日本支部はグダグダな関係だったりするのが想像付いてしまうのですけれど。
それに、ヒロインズ三人娘もいわゆる正義馬鹿で正義に固執するタイプの残念娘じゃなくて、ヒーローとしてこいつら大丈夫なんだろうか、というタイプの残念ヒロインなだけあって、デスクロイツ絶対に死すべし、と拘らなかったというのもあって、これまた思いの外穏当に妥協が妥結してしまったのですが。
わりとたちの悪いガチの悪の組織が攻めてきていて、その対処に忙しい、というのもあったんでしょうけれどね。同時に、ヒロインズの素性がバレてもそれを楯にして悪事を働いてきたり、付け込んでくるような真似をデスクロイツはしない、というオルタたちへの信頼があってこそでもあるのですが。
ノエルなんか、オルタの正体を知ったあとも変わらず学校でお弁当食べさせてもらってるわけですし。日常生活の方ではお互い悪の組織やヒーロー関連では干渉しない、という暗黙の了解が締結されてしまったのである。ノエルの場合はこれ、完全に色ボケが原因でしょうけれど。

しかし、それでデスクロイツがヒーロー組織となあなあで馴れ合っているだけの、地方の家族経営の弱小組織か、というとそんな事はなく、有象無象のただの悪党、悪の矜持を知らぬ非道な悪の組織たちとは一線を画するヤベえ集団、というのを最後にきっちり証明してくれて、一時は裏の世界に名を馳せ頂点にも立とうという勢いだった大組織の面目をさくっと見せてくれたのは痛快でありました。
ほんと、能力では明らかに他の悪の組織だのヒーローだのミジンコみたいに見えるくらいヤバい集団なんだよなあ。それがどうしてこれだけ廃れて規模縮小してしまったのか、というともうこれやっぱりトップがやる気ないグダグダの人になってしまったからに尽きるんだろうなあ。いや、先代のオヤジもあれはあれで組織の長としての適性はかなり低そうなんだが。
まあ身内でワイワイやってるくらいが平和なのかもしれない。彼らが本気で組織整理してガチで世界征服はじめたらあっちゅうまに達成してしまうんじゃなかろうか。まあ、目的は悪でも手段はあんまり悪党らしいことやらない連中なのですが。いや、やる時はヤベえくらいやり尽くすんですけどね。
むしろ、ジャスティス日本支部のあの残念ヒロインズの方が戦闘のたびに盛大に被害撒き散らして破壊の限りを尽くしているようにみえるので、明らかにこっちの方が危ない連中なんですよねえ。
まあ彼女たちの活躍がないと、デスクロイツ以外の悪の組織はけっこうマジで悪い連中なので、ちゃんと正義を守っているとも言えるのでしょうけれど。
あと、触手はやっぱり女性怪人だと威力半減だと思いますよ、うんw

ともあれ、日常パートでの、というは怪人やヒーローとしてではなく、正体を明かした上での付き合いが増えたこともあって、ラブコメモードが一気に加速。一緒の学校に通うノエルと同じ組織の先輩後輩として一緒に居ることの多いクラエが先行してますけれど、女体化して織姫を名乗って女子学園に潜入してきたオルタくんと出会ってしまったことでいけない何かに目覚めつつある聖花とか、何考えてるかわからないぶん屈託なくオルタと仲良く接してくるルナとか、一気にこの2巻でラブコメ色も強くなってきて、なんとも盛り上がってきましたよ。