【逆行の英雄 ~加護なき少年は絶技をもって女勇者の隣に立つ~ 2】 虎馬チキン/山椒魚 MFブックス

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打倒、魔王軍『火』の四天王。灼熱のバトルファンタジー、第二弾!

アランは、かつて魔王に挑み死んでいった幼馴染の勇者ステラの仇を討ち、魔王を倒した。
その直後、なぜかステラが生きている頃まで時間を逆行したアランは、今度こそ彼女を守るべく剣の腕を磨き、勇者の仲間として認められるまでに至る。
アランが勇者パーティーとしてステラと共に向かったのは、要塞都市国家『エルフの里』。
魔族を弱体化させるという神樹の力に護られた聖域だが、辿り着くとそこは、無数のドラゴンに襲撃されている真っ最中だった。
アランとステラ、そして仲間達は急遽ドラゴンの群れを迎撃することになり、人類最高峰の戦力として、次々にドラゴンを討ち果たす!
しかし彼らの前に、魔王軍が誇る圧倒的な実力を持った『火』の四天王が現れて――。
最強殺しの剣技を駆使して絶望の未来を切り開く、王道剣戟バトルファンタジー第二弾!!



前世において、勇者ステラが殺しきれなかった魔王を何十年も掛けて強くなって相打ちながらも殺しきったアラン。
世界全体からしてみると、魔王討伐のミッションは達成されたはずなんですよね。それがどうしてはアランは時間を逆行してもう一度人生をやり直すことが出来た。これ、不思議ではあったですよね。
アランとしては幼馴染を無為に見送って死なせてしまった後悔を、この新しい人生で一緒に戦うだけの強さを鍛え上げて一緒に旅することによって晴らすことはできるけれど、一方で世界全体として見るならば一度達成された魔王討伐をもう一度繰り返さなければならない。それって、下手をすると魔王討伐に失敗して今度こそ人界が滅びてしまうというリスクがあるわけだ。
どういう意図がアランを時間逆行させたのか。或いは何らの意図も介在しない幸運か、運命だったのか。と色々想像していたのですけれど、世界を司る女神様のこれ完全な温情だったのか。
同時に本当に無理してのことだったらしく、ちゃんとリスクというか条件付きだったのね。そりゃ、そんなに甘くはないか。しかし、アラン個人限定のリスクじゃなくて世界そのものに課せられたリスクだった、というのは想像の埒外でしたけど。
魔王を討伐するだけじゃ勝利条件達成されない、というのも何気に難易度跳ね上がってるんですけど!?
前回では、ほぼ人界滅びちゃってたじゃないですか。
とはいえ、これ何気に女神様としてはリスク無いんですよね。アランへのご褒美でありステラとの悲恋への応援であり、温情でもある時間遡行措置ですけれど、いわば駄目で元々で女神としてはこれ以上悪くはならないし、うまく言ったらみんなにとってハッピーエンド。
逆行前の世界はなんとかアランによって今代の魔王は倒せたものの、人界の被害は著しく人材の損耗はもはや回復不能なほどに至ってて、次の魔王侵攻が起こればまず防ぐ事は叶わない。
これは女神にとっても最低限の勝利を最善最大の勝利へと変換できるチャンスでもあったわけだ。しかも、失敗しても元の歴史に戻るだけ。したたかなじゃないですか、女神様。
結構雑というか、ポンコツのおっちょこちょい疑惑が濃厚であることが露呈してしまった女神様なのですがw

しかし、現魔王は史上最悪と女神に言われる慎重居士の策士なわけですけれど、この条件からすると完全に詰んでるんですよね。アランたちが失敗しても成功しても、何れにしても倒される事は確定なのか。
でも、これだけ頭脳派で強かと繰り返し強調されると、果たしてその通りに行くのかどうか心配になってくるな。歴史が巻き戻ったことに気がついて、何らかの手当をしてくるんじゃないか、と女神さまのおっちょこちょいっぷりを見ると、なんだか不安になってくる。

とはいえ、アランが加わることになったステラを勇者とするパーティーはこれ、めちゃくちゃ安定感あるんですよね。ステラのワンマンかと思ったら、回復役のリンと後方支援魔術攻撃担当のエルネスタが優秀なんてもんじゃなく、これにどんな攻撃も捌き切る防御系前衛を任せられるアランが加わったことで、戦力バランス的に半端ない安定感が出てるんですよね。
史実では、前衛はステラと剣聖のブレイドの4人パーティーだったみたいだけど、ブレイドはあっけらかんとした好漢でイイやつなんだけど、自分の力を過信してる所があるわりに結構力不足で、盾役としても攻撃役としてもいささか力不足なんですよね。
これは早晩、後衛を守りきれなくなってても仕方なかったんだろうなあ。そう考えると、どんな強力な攻撃でも、加護じゃなく極めに極めたその剣の技術で捌くはカウンター決めるわするアランが加わることで、後衛への攻撃も防いでくれることから、ステラの自由度も跳ね上がるし、アランとステラの連携はもう息があってるどころじゃない以心伝心倍々マシマシですからね。
さらに、幼少時からのアランとの修行でステラの力も正史よりだいぶ上がっているはずなので、そりゃパーティー全体の能力もめちゃめちゃ底上げされることになりますわな。

これぐらいでないと、難易度ルナティックには挑めないよなあ。
敵魔王軍の攻勢も、全体としては正史よりも抑え込まれているものの、勇者パーティへのダイレクトアタックは、いきなり四天王の一人がパーティーが旅立った途端に襲いかかってきたように、圧がめっちゃ上がってるんですよね。いきなり旅の序盤も序盤で魔王軍の最高幹部が襲ってくるとは何事よ、てなもんですし。
とはいえ、それもかの四天王ドラグバーンの先走りで、魔王軍としては四天王を一人ひとり送りこむような各個撃破されそうな作戦は目論んでなかった、というのは怖い話である。ってか、魔王様、四天王まとめてぶつけてくるつもりなのか? そりゃ、歴代最悪だわ、やり方が悪辣すぎる。

しかし、武力偏重パワー重視のバトルマニアで、捌きとカウンター中心のアランとは相性が良かったとはいえ、かすっただけで消し飛びそうなドラグバーンの重厚な肉弾攻撃を徹底してその剣の技術で捌いていくアランの戦闘法は見てても痛快ですなあ。二刀流というのも映えますし、完璧にジャイアントキリング仕様なんですよね。
それでいて個人で戦うのではなく、後衛に攻撃が飛んでいっても全部捌いて防御してくれる、というのが安心感が半端ない。竜人が相手ということで、攻撃が殆ど通らないにも関わらず、あれこれと工夫手管を繰り積み上げてダメージ刻んでいくところなんぞ、剣戟バトルファンタジーとうたうのも納得の面白さでありました。
いや、戦闘シーンが楽しいと面白いなあ。

さて、次はというか既に敵四天王の一人、それも陰湿そうな謀略家が仕掛けてきていますけれど……これ、実は逆効果になってない!?
アランが全然危惧抱いていなくて、むしろ歓迎模様なのがちょっと笑ってしまうのですけれど、確かにこれってうまいこと転がったら超強化につながる展開ではあるんですよね。次の相手は性格悪くて、ドラグバーンみたいな気持ちの良い敵とは正反対みたいなので、思いっきりザマァして欲しいですけれど。

さても、一巻では先に勇者として召し上げられたステラに追いつくために、一人旅が大半だったアランですが、今回からはステラと合流ということで……ひたすらイチャイチャイチャイチャw
いや、修行に没頭していたアランの方はステラが命よりも大事というのは一貫しているのですが、それが色恋にまではまだ連結してないんですよね。もう意識しまくっちゃってるステラとは逆にそのへん無頓着なんですなあ。でも、無頓着だからこそ照れとか恥ずかしげもなくステラのこと宝物みたいに扱うこともあり、見ている周りからすると黄色い声をあげてしまうくらいのラブラブっぷりに見えてしまうわけですよ。
そりゃ、パーティーの女性陣、ステラにイケイケドンドンと背中押しますわ。ってか女子会と称してステラとアランの恋模様を堪能しすぎである、リンとエル。
その御蔭でパーティー内では悲壮感とか切迫感もありすぎず、結構メンタルに余裕があるというか色恋を楽しめる、鑑賞して騒いではしゃげる余裕があるというのは、頼もしいですし安定感にも繋がっているのですが。ブレイドくんが、変なチャチャ入れてくるかと思ったら普通に女ばっかりのパーティーで肩身狭かった、とアランの事歓迎してくれるわ、ステラとの仲も応援してくれるわ、とイイヤツだったので雰囲気もいいですし。いや、ブレイドくん、内面色々と増長してたみたいだけれどそれが表に嫌な形で出ないあたり、ほんと悪いやつじゃないというのがにじみ出てるんですよなあ。
微妙に力不足なの、早急にパワーアップして戦力としても頼もしくなって欲しいものです。
あと、アランはもう少しステラへの気持ちを自覚してくれ。そうしたらイチャイチャ度がさらに濃密になりますからw