【ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います 2】  香坂 マト/がおう 電撃文庫

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イフールの町では年に一度“百年祭”というお祭りが開催される。しかし受付嬢3年目のアリナは、去年も一昨年も残業のため祭りに参加できていなかった!
 今年こそは憧れの百年祭を満喫する……そのためにも当日は絶対に定時死守!! 固く誓ったアリナだったが、祭りを数日後に控えたある日、受付嬢のカウンターには大挙して押し寄せる冒険者の姿が!?
「クリアすれば神域スキルが得られる」という裏クエストの存在……そんなデマを真に受けた冒険者達のせいで、アリナの百年祭参加は危機的な状況に!! じゃあどうする?→デマ発生源を叩き潰す!!
 かわいい受付嬢がボスと残業を駆逐する大人気シリーズ第2弾!!
アリナさん、この人戦い方だけじゃなくて仕事のやり方も力技一辺倒だな!
そもそも、残業の原因を無くすために自分でダンジョン潜って原因のモンスターをぶっ飛ばす、という発想自体が力技以外の何者でもないとしても、だ。
単純に定時で帰るとか残業を避けるというだけなら、仕事のやり方……というか捌き方を変えるだけでもある程度は処理できるんですよね。他の受付嬢の大半はそうやってるわけですから。
なんでアリナさん目立って仕事忙しそうなのかな、とは疑問だったんですよ。どうも仕事量に対して受付嬢の人数自体が足りてない様子はうかがえたのですけれど、それでもアリナさん以外の受付嬢、そこまで汲々と働いている様子ないんですよね。もちろん繁忙期には忙しそうにしてますけれど、残業地獄とか家に帰れなくて死にそう、とかそこまでひどいことにはなってないっぽい。
みんな多かれ少なかれ、引き受ける仕事そのものの量を減らす方法を取ってるんですよね。ところがアリナさんと来たら、自分の所に舞い込んでくる仕事は全部逃げずに引き受けている。調整とかやんないんですよ。それどころか、ほかが忙しそうにしてたらその分引き受けたりまでしている。
そりゃ、残業になるよ! 定時で帰れるかよ!
そうやって山ほど引き受けた仕事をどうやって片付けるかというと、ひたすら頑張る! 脳筋か!
パワーなんですよ、力で押し通ろうとするんですよ。戦術とか作戦とか考えずに常に正面突撃突破! なんですね。
この人の神域スキルがハンマーとして発現した理由もわからなくはないです。
まあでも、そんな風にしてきたから人から助けてもらうということもなかったのでしょう。仕事を一人で抱え込んでしまって、それを助けてもらおうという発想がない。その辺は慕ってる後輩ちゃんの口からも心配事として出てますけれど。
そういう彼女には、強引なくらい自分を押し売りするほうが相性としては合っているのかもしれない。ジェイドくん、完全にストーカー入ってますけれど、この男自分都合を押し付けてくるばかりじゃなくて、意外とスルリと相手が困っているところに滑り込んでくるんですよね。コミュ力が半端ない。パーティーのリーダーとして社交性や対人スキル、コミュニケーションスキルがずば抜けているのですよ。変態性さえなければ、少女漫画とか少女小説のイケメン万能生徒会長とか財閥の息子みたいな何でも出来て人当たりのよいパーフェクト人間のたぐいじゃなかろうか。
肉体的にも精神的にも打たれ強いし、安易な力の誘惑にもなびかないあたり堅実でもあり、一方で現状に甘んじない克己心もあり、と完璧かよ、という青年なんですよな。
一巻ではちょっとどころじゃないヤバいし空気読めないやつかとも思ったのですけれど、この2巻での頼もしい様子で評価爆上がりであります。
……アリナさんも満更じゃないんじゃないの?
いや、本気で嫌がってたら……嫌がってるようにも見えるけれど、それでも仕事手伝って貰ってお礼に飲みに誘ったり、強引に押し切られたとはいえお祭りでデートに誘われたのを受諾したり、って脈アリと思われても仕方ないんじゃないだろうか。押し切られてる、押し切られてるよアリナさん。
……チョロい?
うーん、チョロいとは言わないけれど、頑ななのは正面だけで意外と脇甘そうなんだよなあ。既にもう絆されているところもあるし、色々と仕事とかで助けてもらって感謝の念も抱いちゃってる。
鬱陶しいと思ってるしイラッとも来ているのだけれど、お祭りで一緒に回ってちゃんと楽しめてるあたり、相性は悪くないんですよね。本当に嫌なら一緒に居て楽しい気分になんかならないもの。

さて、前回の魔神復活劇でありましたが、どうやら偶然おきた一過性のものではなく、誰かの暗躍があった模様で、それどころか現在もその怪しい企みは動き続けているようで。
ってか、ギルドマスターのあの様子はどういうことなの!? え? 明らかに今回の一件では彼の画策もあったようにみえるんだけれど。はたしてこれ、便乗してのことで別に何か思惑があるのか、それとも……。さらに上役たちとの協議の場での様子を見ると、全然そんな素振りは見せていなかっただけに、かなり謎は深まってしまいましたよ、これ?

あと、ジェイルのパーティー「白銀の剣」のメンバーである黒魔導士であるロウと回復薬のルルリについても掘り下げられて、ジェイルたち三人のチームの様子もだいぶ馴染んだんですけれど、これって前衛役が定着しない流れですよね!? 事あるごとにアリナさんが臨時参戦する形になるのかしら。
ともあれ、あのロウくんの素っ気なくて仲間意識薄そうな雰囲気とは裏腹に、めっちゃ仲間思いで前のパーティーでのトラブルで滅入ってたルルリのこと気遣いまくってる様子、キュンキュン来てしまいましたがな。味のあるいい子やで、ロウくん。