【望まぬ不死の冒険者 8】 丘野優/ じゃいあん オーバーラップノベルス

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――不死者、吸血鬼を狩る。

眷属エーデルの異変を感じ取り、ハトハラーの村から都市マルトへと戻ったレントたち。
そこで目にしたのは、火に包まれ、屍鬼が闊歩する光景だった。
孤児院の地下でエーデルの無事を確認したレントは、街に潜む小鼠たちの力を借り、屍鬼を作り出した吸血鬼の捜索へ向かうことに。
金級冒険者のニヴ、聖女のミュリアスと合流し、屍鬼を討伐しつつ、犯人の潜むであろう《新月の迷宮》へ。
そこで特殊能力《分化》を使う吸血鬼との戦闘になるが、本命を達成するための囮と発覚。
ニヴに相手を任せたレントは街に繰り出し親玉を捜すが――
そこで遭遇したのはラトゥール家の使用人、イザーク・ハルトで……!?
強大な魔物と戦い、多くの謎を解き、そして強くなる。
死してもなお遙かなる神銀級を目指す、不死者レントの『冒険』、第8弾――!


ニヴ・マリス、わざわざ残って街を探索していたのに、結局潜伏していた吸血鬼たちを全然見つけられなかったのか。それどころか、用意されていた屍鬼の大群も気づかなかったし、新人冒険者たちの誘拐も止められなかったんですよね。
リナたちが攫われたのって、ニヴが現れて以降じゃないのかしら。何やってたんだとちょっと言いたくなるなあ。
複数の吸血鬼たち、のみならず彼らに屍鬼にされた新人冒険者たち元人間たちが無差別にマルトの街を襲い始めたところに、なんとか帰ってきたレントたち。
何気にシリーズはじまって以来の大事件である。今まで、強力なモンスターと戦ったりもしたけれど、依頼を受けてこちらから討伐におもむいたり、偶然に遭遇したりで、事件というわけじゃなかったんですよね。
それ以外にもしょっちゅうトラブルには舞い込まれたものの、振り返ってみるとわりと個人的なトラブルだったりで意外と大事にまで発展したような出来事はなかったんだよなあ。もちろん、個人規模のトラブルであっても、それらは余人が経験することのないような突拍子もない出来事だったり、歴史を覆すような真実が内包されていたり、とただ事ではなかったんだけれど、それでも今まではレント個人の事情くらいで収まってはいたわけだ。
ある意味、レントらしい遭遇具合だったのだけれど、それが、今回は街ごと大騒動に巻き込まれた襲撃事件である。
その解決のために、レントとロレーヌは再会した眷属の小鼠エーデルのもたらしてくれた情報を下に、黒幕が居ると思しき迷宮へと突入するのだったが……。
あれ? なんか今回の一件って誰が主役かというと、イザークくんじゃないの、これ?
レントは傍観者とまでは言わないまでも、あくまで黒幕だった吸血鬼とイザークの因縁に対しては脇役。イザークの介添えというか助っ人というか。いやまあ街を救うためにもこの吸血鬼は討伐しなくてはいけなかったので、助っ人も何もないのですけれど。でもイザークの因縁を思うとレントはわりと無関係w
こういう、地味に主人公らしい立ち位置から外れてしまうあたり、レントらしいの重ね塗りなのかもしれません。
あと、ニヴ・マリスはまたもや肝心のところで置いてけぼり。いや、黒幕以外の吸血鬼たちは彼女が引き受けてくれたのですから、役割は果たしていると言えるのかもしれませんけれど、でも肝心なときに思いっきり締め出されて「入れてー!」と叫んでいるのを見ると、ねえw

とはいえ、今回の一件には屍鬼になってたときに世話になったリナや、昇給試験で世話したライズとローナという若手冒険者たちも巻き込まれていましたからね。レントとしても他人事どころじゃなかったわけですけれど。手遅れじゃなくてよかったですよ。特にライズとローナの幼馴染カップルは。
リナの方は今回ついに元人間の眷属ということで、レントが引き受けることになってしまったわけですけれど。結局、レントは吸血鬼なのかそうじゃないのか。イザークはともかく、ラウラの方は通常の吸血鬼の範疇から外れているようなのでレントと似た存在の可能性もあるな、とも思っていたのですが、ラウラともまた系統が違うのか。彼女はレントの正体というか、彼がいったいどういう存在になっているのかについて正確に把握しているみたいだけれど。
あと、ロレーヌが悩んでいることってなんだろう。ラウラが解決できますよ、と言っていたのを見ると色々と想像してしまうのですが。

それにしても、レントは事後報告をちゃんとギルドにしたんだろうか。いやまあレントは存在進化のせいで意識を喪っていたわけだから報告なんて出来るはずもなく、その辺はロレーヌかイザークあたりがやってくれていたんでしょう。でないと、いつまで経っても帰ってこないレントにおおごとになっちゃいますもんね。
しかし、思ったよりもサクッと事件は解決してしまいました。件の吸血鬼がさっさと自分を生贄にして新たな迷宮主を創り上げてしまって、事態の真相を追求するすべがなくなってしまった、というのもあるんでしょうけれど。
何にせよ、何らかの勢力が動いているらしいというのがわかっただけでも大きな進展になるのか。
今後の目的として、各地の神話や伝承を追わなければならない、というのもラウラによって促されましたからね。これからは、マルトの街を出て各地を行ったり来たりするようになるんだろうか。
とりあえず、リナについてどうするのか。パーティー組むんですかね。あと、弟子はどうするんだ。アリゼの指導はレントもロレーヌもやってかなきゃいけないのに。
それを見越した、転移魔法陣の活用になるのかな。