【デート・ア・ライブ アンコール 11】 橘 公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER DMMブックス
過去と向き合い、今を乗り越え、元精霊となった少女たちは、エンディング後の輝かしい未来を生きていく。
「――ふふ、なんだか不思議な感じだな」
十香ひとりのためだけに行われる卒業式。
「ならば始めよう。あり得るはずのなかった、八舞の戦いを!」
三人目の八舞と耶倶矢&夕弦の決闘。
「結婚って、意外と未来の話でもないんじゃにゃーの?」
二亜の一言によって、将来の伴侶と新婚生活を想像し始める結婚式。
「……ど、どんな手を使ってでも……落選してやる……!」
高校生となった七罪の生徒会長選挙。
そして崇宮真士と澪が士道たちへ繋いだ『大切なもの』とは――。


『十香グラディエーション』
卒業式に出られなかった十香のために、彼女のための卒業式をやろうというお話。加えて、先に大学に入学している士道たちに追いつくために、特別に大学入試試験を受けることに。
ラタトスクの謎の権力を使って大学も入学させるのかと思ったら、ちゃんと入試受けるのか。いや、時期外れの入試を受けさせてもらえるだけでも十分特別待遇ではあるんだけれど。それは十香もちゃんと認識してるんですよね。
てか、十香ってぽやぽやしてものを知らない世間も知らない人を知らない、と無知ではあるんだけれど、頭が悪いわけでは決してないんですよね。むしろ地頭は相当に優秀なんじゃないだろうか。
かと言って詰め込まれた知識見識に影響されて、なんか完全に別人キャラになってるのには笑ってしまった。いや、素直すぎて影響受け易いにも程があるでしょ!?w

卒業式の方はいつもの五河ファミリーの内輪だけの卒業式、ではなく学校やラタトスク関係者みんなが集まっての盛大なものに。十香の人望もあるんだろうけど、高校の施設貸してくれておまけに先生や生徒も集まってくれて、というのはこの来禅高校の校風なんだろうなあ、と思ったのはこの巻の最後のお話を読んだから。
この来禅高校の礎を作った彼女たちの事を思うと、余計に感慨深くなります。


『八舞トライアド』
まさかの風待八舞再び、である。八舞姉妹が二人に別れてしまったために、決して存在することがなくなった本来の八舞、それが彼女。厳密には、八舞姉妹が成長した上で合体した姿なので、元々素体となった風待八舞という少女とはだいぶ体型というかスタイルから性格も変わってきて、本来の彼女とは違ってしまっているみたいだけれど、それでも精霊の中で唯一元の人間に戻れなかったのが八舞なんですよね。
そんな彼女が現れての、士道とのデート。こうしてみると、耶倶矢と夕弦の合一人格なんかじゃなくて、明らかに三人目の八舞なんですよね。自分が存在し得ない存在であることは、八舞自身も納得して受け入れているし、二人の八舞姉妹として残った以上それは絶対に覆せない事実なんだけれど、風待八舞という娘がいたかもしれないというのは、やっぱり切なさが残りますよね。


『五河パートナー』
担任のタマちゃんと、ラタトスクの副司令の神無月の結婚式にかこつけての、元精霊の少女たちが妄想する士道との結婚生活。
……いや、意外と突拍子のないものがなくて、みんなわりとガチでリアルな結婚生活を想像してやがるw
琴里が、もう16歳になった途端に結婚する気満々なのは逸りすぎだろうと思わなくはないけれどw
あと、七罪の二人して怠惰に耽溺する生活は、これこそ本人の希望で妄想だろうなあw 七罪、実生活になると絶対にもっとしっかりしてしまうと思うぞ、士道ともども。
そして、みんなリアルに結婚生活を意識しているなかで、ひたすら自分の欲望に邁進している美九は筋金入りの変態だ。そして折紙は通常運転である。なんかもう千代紙がもう当たり前のように居るよね!?


『七罪エレクション』
ほんと七罪は好かれてるなあ。作者からも相当のお気に入りだと目される。
中学生組、いや今はもうみんな高校生になったから高校生組になるのか。琴里に四糸乃、七罪に六喰、それから崇宮真那の5人組はほんと好きですわ。ってか、真那はまだ高校生一年からやってるのか。
本来ならこのメンツでいうと、生徒会長なんてリーダーシップ取れそうなのってラタトスクの司令やってた琴里一択のはずなんですけれど、ここで七罪が持ち上がってしまう、というのは面白いなあ。
いや、ほんと七罪本人は不本意かもしれないけれど、抜群に優秀なんですよね。なんでか、思惑と違って裏目裏目に出てしまうとはいえ、精霊たちの中でも群を抜いて万能選手なんじゃないだろうか。前に出てグイグイと引っ張ることも出来るし、裏方に回って丁寧にサポートすることも出来る。性格的にリーダーシップ取るの苦手だろうし嫌なんだろうけれど、責任感あるし面倒見いいしで向いてるのは絶対向いていると思うぞ。


『精霊ストレンジャー』
ああ、最初全然気づかなかったけれど、これ本編で一度文明が滅びたあの平行世界なのか。普通に士道がいるから、思い至らなかった。いや、なんか変だとは思ったけどさ。狂三とのコンビが意外すぎたのかもしれない。その組み合わせはあんまり頭になかった。めっちゃ馴染んでたし。
でも、狂三ってあれで結構人に合わせるの上手いというか、狂っているようで対人能力は高いんですよねえ。意外と誰とでも息合うコンビになれるだけのコミュ力があるんだよなあ。けっこう、ツッコミ役でもありますしw
そしてこういう旅から旅の、ロードムービー的な振る舞いも似合う淑女なのである。むしろ、相方の彼女の方が人格が練られたというか、ちょっと大人になった雰囲気が漂っていてドキドキしてしまいました。


『澪オリジン』
今回の表紙も飾った崇宮澪が主役のお話。もはやすでに過去となった時代の話ではあるけれど、この頃のことを大切な想い出として胸に抱えている大人たちは、多いんだろうなあ。
澪の話はもっと大仰というか、彼女のエピローグ的な話になるのかな、と思っていたのですが、予想外に澪が学校に通い出した頃の日常回。ドタバタコメディが入った、学友たちとのわいわいと屈託なくはしゃぐ当たり前、というにはイベント盛りだくさんだけれど、それでも賑やかで穏やかでまだ何も起こっていない、ただ大事な人達との心の繋がりがあった、幸せだった時代のお話でした。
こういう日々があったからこそ、その後の展開が色々と胸にくるんですよね。そして、平和だった日々で澪たちが未来に残してくれたものも、確かにあったのであります。
最初の短編の十香の卒業式。あのイベントを許容してくれる学校として、来禅高校があるわけですけれど、その大本を澪たちが築いていたのを知ってしまうと、過去と未来が繋がった感じがして、何とも感慨深いものがありました。
でも、この過去の時代と未来の時代、両方に居る真那は色々と思う所あるんじゃないだろうか。特に兄に関してはねえ。士道は真那の兄だった人とは同一人物でもあるけれど、別人とも言えるわけですし。


まだ掲載されていない短編もあるらしく、短編集ももしかしたらもう一回くらいあるかも、とのこと。いずれにしても、次があったらそれがこの「デアラ」の本当の最後になるのかな。そう思うと楽しみでも在り寂しくも在り。