【転生悪魔の最強勇者育成計画 1】 たまごかけキャンディー/長浜めぐみ オーバーラップノベルス

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無敵の悪魔流子育てが世界を救う!!
最強一家の規格外異世界ファンタジー!

下級悪魔に転生した元日本人・カキュー。
前世の知識を活かした修行の結果、いつしか横に並び立つ者がいないほどの実力を手にしていた!
しかし、異世界で自由気ままに旅をしていたところ、世話になっていた村が一夜にして滅ぼされたことを知る。
村の様子を見に駆け付けると――唯一生き残っていた赤子・アルスを発見。
村人たちから受けた恩義に報いるため、自身の正体を隠して育てることにしたカキューだったが――実はこのアルス、世界を救う“勇者”で!?
さらに、アルスを育てるために契約した“妻”は、人類最高峰の“暗殺者”!?
「どうせならアルスを世界最強の男に育てよう」
ところが、アルスを武術大会に参加させるために訪れた国で、権力者たちの陰謀に巻き込まれてしまう!
そこで家族を守るため、裏でこっそり暗躍することにして……?
無敵の悪魔流子育てが世界を救う!?
最強一家の規格外異世界ファンタジー、開幕!!

ちょっとややこしいですけど、一度人間から転生して下級悪魔になり、そこで地道にコツコツ幾星霜の年月を経ながら努力して公爵級悪魔を上回るとんでもない力を有するに至った、それがこのカキューと名乗る悪魔なわけです。
これだけでも転生なのですが、このカキュー。魔界が壊滅するような、神様と悪魔王の戦いに巻き込まれて、それまで居た世界とはまったく異なる異世界へと飛ばされてしまったのである。
異世界転移もしてるやん。
ともあれ、不意の事故で異世界に転移してきたので、この異世界側からすると完全にイレギュラー。他に追随を許さない力を持っているにも関わらず、この世界の天界勢力も魔界勢力もその存在を誰も知らない、フリーな存在となっているのである。
元々、元いた世界でも下級悪魔ながら責任だの何だのに縛られずに自由気ままに暮らしていたカキュー。さらに重ねてシガラミだの何だのから解き放たれたのだから、渡りに船ではあったのだ。
そんな彼が、たまたま拾ったのがアルスと名付けた赤ん坊でした。拾ったとは言うけれど、交流のあった村が自分が残してしまった悪魔の気配の痕跡によって聖騎士から因縁をつけられ、皆殺しにあってしまった、その唯一の生き残りがアルスであったわけで。
自由なカキューですけれど、彼は決して無軌道ではなく、むしろ義理人情に厚い所がある悪魔なんですよね。自分のミスによって親しくしていた人達を死なせてしまった、その罪悪感や責任感が彼の中にはしっかりとこびりついている。彼にとって、はじめて負うべき責任となったのが、この赤ん坊だったわけであり、彼らへの義理を果たすためにも立派にこの子を育ててやろう、という想いに繋がったのではないでしょうか。

だから、最初からカキューにとってアルスはちゃんと立派に育てる対象であって、ペットとか育成キャラクターという感覚じゃないんですよね。軽薄でちゃらんぽらんな態度だけれど、最初から彼は父ちゃんだぞー、とアルスに言い聞かせている。
赤ん坊の頃から、結構肉体とかに魔改造施しているような気もするけれど、あくまでポテンシャルをあげるだけで、カキューの好きなように思う通りに育ててるって訳じゃないんですよね。
早々に母親役を見つけてあてがったのも、子供には母親が必要だろうという基本理念だけではなく、ちゃんと自分以外の子育てや教育で意見を言ってくれる相手を求めた、ってのもありそうなんですよね。
そうして得たダークエルフのエルザは、まあ意見を戦わせるどころではなくパパにあんまり口出しさせない教育ママになってしまっているようでしたがw 
とはいえ、子は親の所有物にあらず。
教育方針こそあるものの、カキューもエルザも基本的にアルスにイメージや理想を押し付けず……いや、エルザは刷り込み刷り込みしてた気もしますけれど……、うん基本的に子供の望むままに伸び伸びと育てるイイ両親になってたんじゃないでしょうか。
おかげで、アルスは明るく賢く素直で良い子に育ちましたしねえ。いささか、父親に似て自由奔放に育ちすぎたような気もしますけれど。

基本親ばかという自認がカキューにもエルザにも多少はあったのでしょう。わりと早い目に使用人と称して、一方的に甘やかさないキッチリとした人間を傍に置こうとしたのは良い判断だったのではないでしょうか。
そうして、雇い入れたのが若い女の子とかではなくて、ムキムキがっしりのすげえ体格のお兄さん、というのがなかなか斬新でしたが。いや、強そうだけどどうしてムキムキマッチョにしたw
でも、そうして雇ったガイウスは戦うしか頭にない脳筋などではなく、冷静沈着で家事スキルも高い非常にお買い得の人材だったのです。これで礼儀作法にも通じていて筋肉だるまじゃなかったら、執事コース一直線だったのですが……やっぱり「戦士!」って印象以外ないよなw

こうして、一つの家族が形成されたのですけれど、小さいアルスの周りは三人ともちゃんとした大人なんですよね。カキューをちゃんとした大人と言うのは憚りがあるのですけれど、少なくともちゃんとお父ちゃんしていることは間違いないですし。
エルザさん、ダークエルフという長命種なのですが、1000年の寿命があるエルフで実年齢400歳というと、わりとエルフの中でもそこそこ年齢いってるんじゃないでしょうか。少なくとも、若い女性という域は通り過ぎているような。熟年、成熟した魅力を感じさせてくれる女性であります。
母親役をするなら、そりゃ少女エルフとかロリババアとかよりも、ちゃんと中身のしっかりした大人の女性を選びますよね。カキューの趣味とかではないのでしょうけれど……いい趣味してるじゃないですかw
ともあれ、やっぱりカキューもエルザもガイウスも、家族で身内ではあっても大人なので、あくまでアルスを見守る立場で立ち位置なんですよね。
そういう意味では、後半に登場してきた聖女ちゃんのイーシャとそのお付きで剣聖候補のエインはアルスの同年代。聖女ちゃんは特に年齢的にもアルスともどもまだ一桁台で、これ一応幼馴染の枠組みに放り込むことが出来るんじゃなかろうか。
というわけで、父にならって世のしがらみに囚われない純真さと伸び伸びとした自由奔放さで無茶苦茶するだろうアルスと、その小悪魔的性格と天真爛漫さでやっぱり無茶苦茶するだろう聖女ちゃんにつきあわされることになるだろう、エインくんの背負わざるを得ないだろう苦労が今からしのばれます。エインくん、真面目な堅物ってわけじゃなく結構ズケズケした物言いを聖女ちゃんにもしててこなれた雰囲気はあるんだけれど、圧倒的に常識人なんですよね。その分、どうしたって彼がちびっこたちに振り回される予感しかしないw

さても、その秘めたる実力はもう魔王も問題にしてないんじゃないか、というカキュー。魔王の復活とその暗躍が徐々に進んでいるわけですけれど、それに対抗するべく誕生した勇者さまは、パパに憧れその強さとかっこよさに夢中で、一生懸命その背中を追いかけている真っ最中。
いや、その人目標にしてしまうと魔王どころじゃなくなっちゃうよ!? とイイたいところでありますが、さてこの世界の枠組みからすら外れてしまいそうな最強家族の行方やいかに。