【変人のサラダボウル 2】  平坂読/カントク ガガガ文庫

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おもしろさ全振りの群像喜劇、第2弾登場!

異世界の姫サラと女騎士リヴィアが岐阜に転移してきて早一ヶ月。

探偵の仕事を通じて友達や知り合いも増え、楽しい毎日を送るサラ。
惣助はそんなサラを学校に通わせられないかと、弁護士のブレンダに相談するのだが……。

一方、相変わらずホームレス生活を送るリヴィアも、宗教家の皆神望愛やキャバ嬢のプリケツ、チンピラのタケオなど怪しげな人々と再会してしまうのだった。

本格的にカオスになっていく人間模様の先に、果たして何が待つのか――。

平坂読×カントクが放つ、予測不能の群像喜劇第2弾、面白さ全振りで登場




ああ、親子なんかー。
突然出てきたサラと惣助の言語化された関係に、驚いてしまった。彼らの関係については、なんらそういう風に認識していなかったからなあ。
そもそも、惣助もサラも今までそれを匂わしたことはなかったし、それに惣助の年齢がね。アラサーってまだ三十代になってないって事じゃない。29歳よ。まだ若者じゃないさ。そりゃ、小さな子供が居てもおかしくはない年齢ではありますけど、サラはもう13歳(あとで数え年だと発覚して12歳になりますが)。さすがに大きい。子供にしては大きい。
それに、サラ自身、歳不相応に賢くふてぶてしく、異世界に放り出されながらもなんやかんやで惣助の探偵事務所に転がり込み、彼の仕事を手伝ったり、事務所でゴロゴロしたり、異世界分化に馴染み切ったり、と大層バイタリティ溢れた生態をした生き物でありました。
あんまり子供って意識なかったんだよなあ。探偵と小さな助手、という意識が先立っていたのかもしれません。
でも、惣助はサラのこと、ちゃんと子供だと……対等の人間として扱いながらもちゃんと子供だと認識してたんですねえ。
サラは最初から馴れ馴れしいくらいの距離感でしたけれど、遠慮も何もしてるようには見えなかったけれど、無神経とは程遠いこの娘のことです、きっと様々な気遣いがあったはず。
親子に至るために少しずつ少しずつ信頼を重ねていき、関係を縮めていき、なんてふうな様子は一切見えませんでした。そもそもあからさまに家族とか意識させるような風情もなかった。
だからこそ、というべきか。
ふと気づいたように、自然に俺の子供になるか?と尋ねた惣助に、問われて自然にうなずいてはにかんだサラのシーンは、なんだかとても素敵なものに見えたんですよねえ。
重く背負い込むことも、ゴテゴテと着飾ることも必要ない。彼ら二人が家族と成るのに、父子となるのにはただ頷きさえあればよかったのだ。
もちろん、現代社会においては実際に親子として認定される、世間に公の関係として認定されるには様々なハードルを超えなければなりません。異世界から現れて戸籍持ってない未就学児の子供を、本当の自分の子供にしてしまうとか、なにげに一般人にはハードル高いよね!? 弁護士に相談してどうにかなるケースじゃないよね!?
そこはそれ、探偵のいけない手管、になってしまうのですが、日本ここらへんやたらとハードル高いからなあ。時々突拍子もない隙間があいてる場合も多々あるのですけれど。
いやでも驚いた第二弾である。惣助とサラが親子になるという話に盛り上がってたら、思いがけぬ方向からさらなる親子関係が。あ、そうだったの!? そっちとも親子関係だったの!?
いや、前の職場の上司ってか所長とはなんか微妙に不穏な空気漂ってたから、色々と波乱含みの展開があるのかと警戒はしていたんだけれど、不穏な空気ってそういう意味での微妙な空気感だったのか。
なんかもう、完全に意識の死角ばっかり突かれてるなあ。
でもこれは地固めというか何と言いますか、お陰で惣助とサラの父子関係に関しても土台しっかりすると思うんですよね。独身の若い男親と小学生くらいの女の子の二人だけの家族だとふたりともしっかりしていても、ちょっと不安定なところ出てきてしまうじゃないですか。それを、爺ちゃん婆ちゃんに当たる人が出てきて後ろから色んな意味で支えてくれるというのなら、心配も消し飛ぶとまではいかないまでも、もしものときに頼れる家族が別にいるというのはやっぱり安心材料なのですよ。
ともあれ、元々あんまり心配の要素のない父子になるんですけどね。29歳の若さで突然こんな大きい子の父親になるって大丈夫か? と一瞬思ってしまうのですけれど、逆にまだ10歳にもならない幼児の父親になるのに比べたら、むしろ一人で立派にやってけるんじゃないかというくらいしっかりしているサラみたいな子相手のほうが、全然大変じゃないのかもしれません。手がかかりませんもんねえ。いや、サラ個人のキャラクターとして別の意味で手がかかるかもしれませんが。
これから思春期に突入していって、難しくなっていく年頃ではありますけれど、そっち方面に関しては出自故か、サラは大人だからなあ。もちろん、本当に思春期になったら精神面不安定になっていくかもしれませんけれど、そのへん含めても大人だからなあ。
むしろ、この微妙な年の差だからこそ拗れずにうまく行きそうな気がします。母親とか、特にイラなさそう。
……いや、マジで要らなさそうなんで、惣助に横恋慕してる女性陣はなかなか難しい局面になったんじゃないでしょうか。ってか、10年経ったら年の差17歳ってほんと微妙なんだよなあ。色んな意味で大丈夫だろうか。


さて、もう一方の異世界からの来訪者であるところのリヴィア嬢は、というと……なんとも波乱万丈というほかなく。本人、むしろ淡々と目の前の生活に没頭しているだけなのがまたなんともはや。
この娘、目の前しか見ずに生きてるなあ。刹那的とかじゃないんだけど、現状ホームレスにも関わらず将来に対してまったく不安感とか抱いてなさそうなの、まだ20歳と若いからなのか、それとも彼女個人の資質なのか。まずもって後者でしょうな、うん。
マジでヒモが一番似合うんじゃないのか、この娘。
紆余曲折の果てに、なんかバンド組む方向に突入しているのですが、いやほんとこの娘の人生どこに向かっていくんだろう。ちょっと面白すぎなんですけど。