【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 06】  之 貫紀/ttl エンターブレイン

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横浜ダンジョンからモンスターがあふれだす!?

横浜ダンジョンに分裂を繰り返すモンスターが発生!
ダンジョンからあふれ出せば、数日で、横浜が、関東が、日本が、世界が食い尽くされる可能性が!
ダンジョン内でケリをつけるべく駆け付けた芳村と三好は、伊織率いるチームIやサイモンたちDADメンバーと協力して事態の収拾にあたる。
しかし、事態を重く見た組織から秘密裏に持ち込まれたのは、小型の核爆弾だった!!

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携帯可能な小型核爆弾なんて、そりゃ冷戦の遺物だよなあ。
処理に失敗した場合、倍々ゲームの増殖によって日本どころか地球を埋め尽くすほどに溢れかえり兼ねないモンスターの発生に、アメリカの一部勢力が核の使用に動き出す。
核兵器の使用についてはアメリカ大統領の判断が必要とは言っても、これが一概にアメリカという国家の意思という訳でもないんですよね。ただ、意思決定に必要な情報をちょこちょこっと操作して、偏向させてしまうとあら不思議。
最悪の場合は核の使用が必要になるかもしれない、というもしもの話が、確定事項として進んでしまう。大統領にもそれが必要な措置である、という誘導がなされてしまう。
情報に恣意が介在すると、ほんとにヒドいことになるんですよね。現場で対処に当たる自衛隊やサイモンたちトップチームにも意図的に誤認を起こして、切羽詰まってモンスターを処理しきらなくても大丈夫、なんて判断を過つように誘導しているし。
アメリカ大統領をはじめとして、米国関係者の多くが本来なら核なんか当然使わずに済むなら使わずに済ましたいと考えているにも関わらず、これですもんね。おまけに、サイモンたちはスケープゴートにされるし。情報を握り、それを伝える範囲伏せる範囲を自由に出来る連中というのがいつの時代も一番ヤバいんだよなあ。

でも、そういう意味では芳村と三好も世界中で自分たちしか知らない情報を握った上で、それを誰に伝えるか、公開するか、秘密にしておくか、のキャスティングボートを握り続けているので、正しく世界の命運を握っているとも言えるんですよねえ。三好はその情報を使って近江商人として利益を握るのに勤しんでいるわけですし。
今回はついに、地球上にダンジョンが発生した詳しい理由原因についても知る羽目になっちゃいましたし。いや、これに関してはこの作品の世界観の設定の根幹に近い情報でありますし、もっとたどり着くまで時間がかかるものかと思っていたのですが、なんか交通事故並みに混乱のさなかに飛び込んできてしまったって感じだぞ!?
いきなり、核心にいるタイラー博士と遭遇してしまったわけですし。
しかし、やたらと地球人類のカルチャーがダンジョンの基幹部に流用されている以上、ダンジョンの成立に地球人が関わっているか、その知識を使われているんじゃないか、という話はずっとあったわけですけれど、単純に関わっていたどころじゃない混ざり方してたんだなあ。しかも、思ったよりもガッツリと。
しかし、こんな情報を得てしまっても芳村たちとしても、どーすりゃいいの、って話ではあるんですよね。広めていい話でもないし、かと言って誰かに伝えたからといってどうなるというものでもなく。なんか面倒くさいことは取り敢えず鳴瀬さんに投げとこう、というのそろそろ可哀そうになるのでやめてあげてw いや、まあこの際彼女に振っちゃうしかやりようがないのも確かなんですが。

でも、核が持ち込まれて爆発まで時間がないという段階でその事実を知った際に、ダンジョン内にいる芳村のために、三好ちゃん躊躇なく飛び込んでいったんですよねえ。スライムが充満している中に装備も何もなく、あと何分もなく核兵器が起動するって状況で。いつもふざけてる娘ですけれど、こういう姿を見てしまうとねえ……。
そしてそんな三好を追いかけて、助けに行こうとするサイモンさんたちマジいい人である。国家の軍人としては一部から嫌われたように失格なのかもしれないけど、間違いなく正義の味方寄りの人たちでヒーローなんだよなあ。
今回の一件で、サイモンたちには芳村がファントムだというの、確実にバレたとは言わないまでも状況証拠が揃いすぎているので、そろそろ疑いの段階通り越してる頃なんじゃないかなあ。さすがに、今回は誤魔化しようのない証拠が揃いすぎているし、三好ちゃんと芳村さんは基本的にごまかし方が下手すぎるしw

ともあれ、今回核の使用を目論んだ連中、強硬派?に関しては何らかの報いを受けてほしいものである。自衛隊の面々に犠牲者も実際に出ているわけですし。ダンジョンは核物質を破棄しても掃除してくれる、と誤解してえらい目にはあいそうだけれど、いわゆる強硬派そのものに直接ダメージが行くものではないしなあ。

あと、今回は誤植というか自衛隊の犠牲者が、あったりなかったりと場面によって表記が違っている部分があって、作者さんも修正文を公開しているみたいです。あんまり誤植とか矛盾とか気にならずに流しちゃうタイプなんだけど、今回のこれは広範囲に渡って食い違った描写が散らばってたからなあ、さすがに気になってしまいました。2版以降では修正されるんでしょうけれど。電子版でもそのうちくるかな?